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国境戦線


 しばし時間は戻る。国境軍から一騎、始皇帝に呼ばれ。急遽都に向かったサムライマスターケビンを嘲笑うかのように。魔族の尖兵10万もの兵が静かに迫っていた。


「申し上げます!、てっ、敵兵が国境に迫ってると。たったいま報せが届きました」


 国境軍を任されていた副官シイナ・タカイチは部下の焦った伝令を。昼食中に聞いて血の気を失って、思わずお茶を吹き出しながら、愕然としていた、やがて脳裏に言葉が染み込み。漠然とした不安を覚えた。


「………………詳しく話せ」


 枯れたがらがら声がようやく出せた。ようやく意識が切り替わり自分から、将として戻り。緊急事態だと認識するや、軍人として、ケビンの副官として、冷静にならなくてはならない。強く言い聞かせた。

 ようやく冷静な面持ち。キリリとした眼差しで先を促した。軍人としても有能なシイナだが、切り替えの速さ、感のよさから。歴戦の部下から信任が厚く、ケビンからも信頼されていた。武芸の腕こそその辺の兵と大差ないが、内政、人事の把握能力が高く。武官と言うよりも内官と言った側面が強い、がそれは裏を返せば、副官としては有能な人材である。


  


  一通り話を聞き覚えたシイナは、表面こそ。平静を装うも。顔色が悪くなるのも仕方ない。問題は魔族に10万もの兵があることに驚き。見回りの話から、どうもエルフの被験者達。獣人、魔族以外の、亜人達のようだと分かるや表情が変わっていた。


(まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい。完全に上とケビン様の想定外だ………………………、これどうする?)


  嫌な汗を背にかきなが、直ちに軍の準備をさせた。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆






  国境軍と魔族軍が開戦したと一報を聞いたセドロア戦国は、防衛戦力として直ちに総勢4万5千の先見兵を集めた、その他傭兵5000、冒険者800、民兵3000。竜殺しの英雄に任された傭兵はおよそ500。数の上ではおよそ5万4千あまり、約二倍近い敵に、先見部隊の兵は、絶望的な戦いに赴くと、戦意が低い。



日が昇ると同時に。都から出発した。セドロア軍は、20日をかけて南西に下り。国境から内陸部にあたる平原にて陣をしいていた。

  

 対して、魔族の兵は、平原の境目。大河を側面に陣をしいており。ややセドロア軍が、陣地、兵力、策略において不利は否めなく。士気はセドロア側が低いのは否めなく。余波は傭兵。冒険者からの不安な声が、夜毎響くのも無理ならず。1日遅れの夜町が敷かれると。不安を抱えた男達はこぞって春を買いに向かい。あぶれた兵やごろつきは酒で紛らわす。

それも出来ない将兵は、愚痴を漏らしながら、決戦の不安を誤魔化していた。


そんな中で僅かな朗報があるとすれば、国境に配置していた6000の生き残りと、ケビンの副官シイナ・タカイチ少将が生きて合流できたこと。敵軍の情報が手に入ったこと。その点だけが唯一の救いであり。セドロア戦国の皇帝の剣ケビンが、一軍を率いてきたことから。敗軍の兵は僅かながら合流した軍勢よりも士気が高いのはお笑い草である。やはり一国の英雄と呼ばれてはいるが、都の兵にとってはあまり信用しておらず、また実戦経験の少ない都の軍人は、国境防衛軍(叩き上げ)よりも。訓練だけのエリートであり、練度はあるが……………………、実戦経験の少ないさから、自分が戦うことの意味する認識が低い、


 

「よく無事でいた!」

普段は剣豪実地、自分にも部下にすら厳しいケビンだが、公平な人柄であり、都の軍人とは違い。素直に副官シイナ・タカイチの無事を喜んでいた。しかし元は平民上がりのシイナを心よく思わない者も多い。


(ふん死に損ないが)


 侮蔑した眼差しで、茶番劇を眺めるリンドウ・ゴウタイは、貴族でありながら、武官となった変わり種である、もっとも貴族とは名ばかり下級騎士爵の三男であり、元はセドロアと関係ない小国の出である。


  セドロア戦国は、生まれに関係なく、己の能力を示した者を厚遇する国である、そうした成り上がり者も多くリンドウ・ゴウタイは、今まで都の防衛軍の一つ黄軍にて、三人いる副隊長の一人である。この戦はリンドウにとって。立身出世の絶好の機会であった。手っ取り早く皇帝の剣ケビンの副官にと淡い思惑も、裏切られた様子で、小さく舌打ちしていた。


(まあいい、これからだ俺の力を見せるチャンスはあるか)


欲望に満ちた笑みを浮かべながら、明日からの戦に、思いを馳せる。


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