最初の試練
トレールを囲むごろつき達は手慣れた様子で。この場で殺す(バラス)つもりのようだ。
周りが喧嘩騒ぎによってライスから注意が削がれた瞬間。気配もなく、ごろつきの背後に回り込む。同じくルノも視界から削がれ。狙撃出来る位置に移動する。リコット、ライスはイスパネ、マリムの護衛に残り。ソーニアはニヤニヤしながら、みんなの様子を見ていた。
ごろつき達は荒事に慣れていた。それはトレールを囲み、逃がさないようにする様子からも分かる。しかし相手が悪かった。無造作にナイフ構えたごろつきに近寄り、最小限の動きから腹部にフック、ゴス悶絶しながら吐瀉物にまみれて沈んだ、隣の男が驚いた顔のまま左ストレートバキッ、顔面を変形させながら。数メートルは吹っ飛んだ。運悪く何人か巻き込み。囲みの一角が崩れた。
「なっ」
惚ける男の背後に音もなく回り込んだトレール、気配を感じた男が、振り返った瞬間。鳩尾に膝蹴りが突き刺さる。
「グエ………………………」
グルリ白目を剥いて倒れ付した。鼻を鳴らして、周りを見てみれば、何人かはいつの間にやら、矢に縫いとられ身動き出来ないごろつきもいた。それを見て、ニヤリ男臭い笑みを張り付け、ルノの仕業であると察した。
「やあ~楽しんで貰えたかな?」
場違いになる語り口で、ソーニアが周りで警戒心むき出しの傭兵達に口上を述べた。
「ぼくの名前はソーニア、かの有名な竜殺しオーリアの親友にして、辺境王ティムニート様の配下をさせてもらっていてね。皆さんご存知オーリアが皆さんがいる傭兵部隊を率いる毎になったんだが、勿論知っててこんな騒ぎを起こしたんだよね?」
ニィって音がしたような。絵に書いた優しげな笑み。
しかし内容は酷いこじつけである。であるが間違いでもなく、内容を聞いて青ざめるごろつき達、ソーニアはわかってるとばかりに神妙な顔で頷きつつ。獲物を狙う狩人の眼をしていた。
戸惑うのはごろつき達。日より見していた傭兵達である。
「君達はきっと。竜殺しの英雄が率いる僕達の実力を見せる場を。わざわざ用意してくれたんだよね?。まさか巨大種殺しのトレールと知らずに、彼女達にちょっかいかけるだけで、喧嘩売らないよね?」
ニィ擬音が付き添うな笑みを見て、ごろつきばかりか傭兵達まで言い知れぬ不安から、身を震わせていた。
ようやく気付く、かなりヤバイ相手に喧嘩を売っていた状況であると。それを気付かせつつ。引き際を用意してくれたこと。目端のきく傭兵は目のいろを変えて、真剣な目をしていた。
「くっうっ、煩い!、五月蝿い!、五月蝿いんだよ。なっ何が竜殺しだよ。何が辺境………」
ごとん。重々しい音がした後。わめいていたごろつきの頭が、落ちていた。
「僕達への侮蔑なら我慢したんですよ?。でもね残念ながらティム様への暴言は、例え何者でも許せませんね」
ニィっと笑っていた、いつの間にか手にはショットソードが抜かれていた、誰にも気付かれず。目の前のごろつきを殺ってのけた。それを見て、さすがに腰を抜かしたごろつき達。息を飲んだ傭兵達。ようやく死んだことに気付く死体は、血を吹き上げるように勢いよく血を撒き散らせ。鉄臭い匂いを振り撒いた。
「僕達は用があるので、それ片付けておいて下さいね」
ごろつき達に言い渡すや。ごろつき達は揃って怯えの顔で頷いていた。傭兵達は内心思った。容赦ないな、下手なことは出来ない。身を引き締めていた。
ソーニアは最低限、舐められない下地を作りほくそ笑みながら。用意された馬車を運び込んでいた。




