ある約束
デシャオの予想外の言葉に唖然としてしまうヤルバーだったが、しばらくして落ち着いたようで、「おいおい。まさかアンタ、自分がモナモナだとでも言いたいのか?」と、おちょくってみた。
モナモナとはこの話では二度三度名前が出ている4本腕の大猿である。
だがデシャオはどう見ても人間のようだ。ましてやモナモナの2番目の特徴である、体長の2倍もの尻尾も生えてはいない。
全くの冗談であった。ヤルバーにとっては。
しかし、「ヌヒヒッ。よくお分かりに」とデシャオがうなづいたのだ。
「何言ってんだ…?」と再び固まるヤルバー。
そんな2人はお構いなしに、疾斗とギアンのギリギリの命のやり取りは今も続いている。
「シュッシュッ!」
疾斗が二段蹴りを繰り出すも、あまりの拙さにギアンが苦笑する。
「なんですか、それ。さっきまでの攻撃はまぐれだったみたいですね」
たしかに、どうしたことだろう。闇ハヤトの時は言わずもがな、意識が疾斗に戻った直後も素晴らしい運動神経を見せていたというのに、今の彼ははっきり言って戦闘のド素人にしか見えない。
「あれ、おかしいな…」
首を傾げながらピョーンピョーンと軽く跳んでみる疾斗。こうやって不調を直そうとしているのだ。
「悪あがきはやめて諦めてください」とギアンがため息をついた。
彼は決して平和主義者などではない。彼が進んで戦いに臨まないのはある人物との約束からであった。




