【幕間】八糸の暗躍
「遅いんダナ…」
フォルタール大聖堂の最下層、妖星の間でダナが腕を組み、貧乏ゆすりをしている。
「まさかヨンメルちゃんがココにいないことがバレちゃった…?」とキョルメ。
「それはおそらくあり得ないんダナ。この作戦は1等星と教皇しか知らない極秘のもので、絶対に漏れることはないんダナ」
ダナが自信満々にそう言うと、「ホントにそう言い切れるかな?」という声が2人の背後から聞こえた。
「誰ダナッ!?」と振り向いたその先には、机の上に座った銀髪の美少年が。彼は側にあった果物を一つ取ってかじる。
「うん、もう少しボクみたいに美しい果実を置いた方がいいよ…」
かじりかけの果物はそのままに、彼は机から降りると自己紹介を始めた。
「ボクは仙波八糸。キミたちの作戦を贄の運び屋に流した者の仲間だ」
非常に分かりやすい説明。しかしどんなに分かりやすくても今のダナとキョルメには理解できない言葉だろう。
「内部の人だったら分かるけど、あなた部外者だよね…?」
いつもの調子ではいられないキョルメはこの状況を飲み込むために、ひとまずは攻撃的な意思は感じられない、八糸という男に質問を投げかけた。
「もちろんボクは教皇騎士団の一員なんかじゃない。でも内通者がいるのは確かだよ。キミの思いもよらないところに…なんてね」
つまり教皇騎士団の中に裏切り者がいて、その人物が八糸たちに作戦を教え、最終的に贄の運び屋である疾斗のところに情報が届いたというわけだ。
「ということはいま贄の運び屋は教皇様と生け贄のところに向かっているということダナ。こうしてはいられないんダナ!」
走り出す彼を、「待って、ダナっ!」と追いかけるキョルメ。
2人が走り去っていくのを見送りながら、「指示とは違うけど、面白いからイイよね。倉持のじいちゃん?」と八糸は独り言を呟くのだった。




