スカウト
「…で、お前らは何者なんだよ?」
圧倒的な強さを見せたみきピロとワカツキにも物怖じせずに質問を投げかける疾斗。やはり異世界で初めて会った、自分と同じ現世の住人という事実が自然と彼の警戒心を和らげるのだろう。
「いいquestionだな。オレたちは神を守る『護衆』のメンバーだ」とみきピロが答えた。
「神を守る、か。そういえば俺が小さい頃じいちゃんがそんなこと言ってたな…」
これを聞いて表情を明るくするみきピロ。
「お前さんの祖父は護衆の中でも1番の実力者、『壱ノ手』だったんだ。だがある時いきなりいなくなっちまった」
「ああ」と疾斗が相槌を打つ。
「ウチの家系は自由人が多いから、いつかそのうち帰ってくるだろうって家族みんな思ってた。でもじいちゃんは今でも帰ってこない」
「ハヤト…」とヤルバーが疾斗の肩に手を置いた。彼にはその背中がどうしようもなく寂しそうに見えたのだ。
少しの沈黙のあと。
「そこでお前さんにお願いしたいことがある」と、みきピロが切り出した。
「新しい壱ノ手として護衆に入って欲しい」
「…は?」
あまりに驚いた疾斗にはこの一文字をひねり出すので精一杯だった。そして頭が情報を整理しようと活発に動き出した時に彼は気付く。整理しようにも情報自体を持ち合わせていないことに。
「“お願い”ってことは俺に選択肢があるってことだよな?」
「もちろんだ」
「じゃあ断る」
食い気味に言い放った疾斗はみきピロとワカツキを押しのけながら前に歩き出し、ヤルバーがその後を追う。
ここで引き下がるわけにいかないみきピロは疾斗の腕を掴んだ。
「どうしてだ。わけを教えてもらわんことにゃ…」
問われた疾斗はバッと彼の手を振りほどきながら答える。
「この下に、俺を待ってるヤツがいるからだ!」
「そりゃ、ひょっとしてヨンメルって子のことか?」
思いがけないみきピロの返答に疾斗は一瞬言葉に詰まった。
「なんでそれを…?」
「まぁ、いろいろな。それよりあの子は教皇に連れられて聖堂の外に出てったぞ」
「なんだと!」という言葉と共に疾斗の身体は動いていた。
しかし、相変わらず後ろを付いていくヤルバーはみきピロという信用ならない人物の言葉を信じて走る疾斗に対して不信感を抱くのだった。




