策略
さて、所変わって恋詩の家。
女の子らしいピンクに包まれた部屋に、八糸と恋詩の2人きり。一般的に見れば、この2人は恋仲なのではと思う距離感だが、それは物理的な話であって精神的なものでは決してない。
ここで試しに恋詩の心の中を覗いてみよう。
『あぁ、八糸サマと同じ空気を吸えている。最高ッ!』
対して八糸は。
『はぁ、なんでこの部屋には鏡がないんだ。最悪…』
こんな風に銘々で考えていることがバラバラなので、これから始まる話し合いもどうなることやら、というわけである。
「…石ころ、手鏡ある?」
「は、はいっ。いま持ってきますね!」
ふんわり百合の香りがするロングスカートが八糸の背後を通り、そのまま部屋を出る。
しばらくして戻ってきた恋詩の手にはウサギをかたどった手鏡が。それを受け取ると八糸はすぐさま自分の顔をチェックし、フッと満足げな笑みを浮かべた。
その様子を確かめ、「それで、」と本題に移る恋詩。
「八糸サマ、本当に他のみなさんに神具を渡してもよろしいのですか?」
手鏡から目線を上げ、恋詩を見据える八糸。
「うん、そうすることで裏切り者がわかるからね。呪具を持つ者は神具に嫌われるんだよ」
そう言って彼は人差し指にはまった指輪を見つめ、深く息を吸うと、「みんなをもう一度集めるんだ」と息とともに吐き出した。
間が空いてしまい申し訳ありません!
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