↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の運び屋  作者: ニシキメサイコ
37/114

収束

襖から入ってくる日光と机に置かれたカンテラの灯(あかり)が皆の慎重な面持ちを照らした。


口ばかりではなく、実際八糸が来てから皆の話し合いに対する態度は劇的に変わったのだ。


「さて、最優先で決めるべきは壱ノ手の空席をどうするかなんだけど」


八糸はシャーペンをクルクル回しながら、続ける。


「ボクは倉持のじいちゃんを捜すより、新たな人物を選んだ方がいいと思う」


これにピクッと眉を上げて反応したのは次郎左衛門だ。


「ほう。ならばどのような者が適任とお考えかな?」


八糸はこの質問を待っていたようにニヤリと笑った。


「倉持のじいちゃんの孫だよ」


場が少しだけ騒がしくなった。


「そもそも壱ノ手に孫なんかいたのかよ?」


オールバック男は疑るような上目遣いで八糸を見る。しかし何も読み取れなかったらしく、浅いため息をついた。


「…みきピロ、感じ悪い」


ワカツキと呼ばれている少女は丸メガネごしに、オールバック男、みきピロを見据える。


「うるせーよ。このスーパーロックンローラーの幹弘(みきひろ)様が感じ悪いわけねぇだろ。てかなんだその呼び方…」


「もう、いい加減にしてください!」


バンッ


卓を叩く音に、その場にいる皆は息を飲んだ。


「湯ノ原氏…」


「八糸サマの素晴らしい声が聞けないじゃないですかッ!」


一斉に椅子から転げ落ちる一同。しかし八糸だけは全くその通りという顔で座っている。


痛そうに腰をさする次郎左衛門が八糸に問うた。


「し、しかし仙波殿、“あの方”への断りなしに事を進めて良いものですかな?」


ここまで淀みなく話していた八糸であったが、この質問ばかりはほんの少し悩む様子を見せた。


「さすがにつっこむか…」と、声にならない声で呟き、八糸は答える。


「実は“あの方”の了承はもうもらってるんだよね」


「ほう。それなら誰も文句はありますまい」


いつも通りの次郎左衛門は、食い下がって確認をするほどの心配性なのだが、今日は違った。


そうしてバチンと両手を合わせると、「では、倉持殿の孫とやらに委ねてみようじゃありませぬか」と笑った。


「さすが次郎左衛門、話がわかるねー」と、八糸もつられて笑う。


なんやかんやあったがこうして話し合いは収束したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。