護衆
武家屋敷の中。木製のテーブルを囲んで6人の人間が話し合っている。
白いヒゲが胸まで垂れ下がった老人が、目を覆い隠すほどの白眉をぐいと上げて言った。
「それにしても仙波殿は何処で油をお売りになっておられるのやら」
「仙波氏はトラブルメーカーでござるからなぁ。きっとまたドンパチやってるでござる」
そう言うマッシュルームヘアの男はアニメフィギュアのカタログを読みながら鼻息を荒くしている。
「もう、次郎左衛門さんも、ブン太さんも、話し合いに集中してください。八糸サマは素晴らしい人なので大丈夫です」
最後の理論は謎だが、そう言った黒髪ロングで、若干14歳の少女は確信を持った顔をしている。
「いいかげん本題に戻らねーか?」
革ジャンを着たオールバックの男が腕を組み、そう言った。
「問題は突如としていなくなった“壱ノ手”の席をどうやって埋めるかってことだろ?」
この場でまともな状態なのはこの男と、まだ言葉を発していないメンバーだけかもしれない。
ともかく、この男の働きかけで、場の空気は話し合い仕様に戻っていった。
「倉持殿はいったい何処へ行かれてしまわれたのか…。まさか駆け落ちということもありゃせんな」
天井を見上げる次郎左衛門。
「倉持氏に限ってそれはないでござるよ。ていうか歳考えてから言うでござる」
相も変わらずブン太はフィギュア雑誌を読み漁っている。
「…異世界、とか」
それまで黙っていた緑髪の少女がボソッと喋った。
「つ、ツキちゃん⁉︎」
「ワカツキ氏が喋ったでござる‼︎」
「…冗談」
「しかも冗談言ったでござる‼︎‼︎」
こんな具合に場がまた変な方向へ傾きかけていたその時、スッと襖が開いた。
八糸だ。
「八糸サマーッ!」
彼の姿を認めるなり、黒髪ロングの少女は表情をガラッと変えて八糸に飛びついた。
「またお前か、石ころ。ボクに触るなって何度言ったら分かるんだ?」
「これ、仙波殿。遅れてきたうえに湯ノ原殿に無礼を働くのはいかがなものか」
少しムッとして八糸は少女を自分から引き剥がした。
「それで、ボクのいない間に壱ノ手の空席について何か決まった?」
これに対してため息をつき、首を横に振るオールバック男。
「こいつらじゃまともな話し合いはできねー。そりゃお前さんもわかってただろ」
「ボクがいないとダメってことだね」
そう言って、八糸は2つ空いている席のうちの1つに座った。




