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人さらい
翌早朝、疾斗たち3人はフィーナとベイラルに見送られ、ヨンメル救出のため、アブソールへ向けて出発した。
まだ日の光がうっすらと広がっている程度で、足元がおぼつかないながらも3人はセダワン渓谷を教都がある方角へ進む。
渓谷を出た辺りで、アズーがヤルバーに質問をした。
「フィーナちゃんとどんなお話したの?」
「ん、まぁそれは…」
ヤルバーが言いかけたその時、「待ってくれェェェ!」と後方からものすごい声をあげて走ってくる者が。
ベイラルだ。
「いったい、どうしたんだ?」
疾斗が訊くと、息が整わないままに彼は答えた。
「教皇…騎士団のヤツらが、突然、襲ってきやがって、フィーナ姐さんが、フィーナ姐さんが…!」
「フィーナが?」
「…さらわれたんヤ!」
あまりの衝撃に言葉を失う3人。しかしヤルバーが気を取り直し、「まさか、放っとく、なんて言わないよな?」と疾斗に目をやった。
「ハヤト…?」
気が気でない様子で彼を見つめるアズー。その両手は固く組まれている。
「助けに行こう。フィーナをさらった中には絶対に等星の称号を持つヤツがいる。そいつにヨンメルのことを聞き出すんだ」
疾斗の眼にはギラギラしたなにかが見てとれた。それに気づいたベイラルは、いつかの疾斗の暴走を思い出し、一抹の不安を覚えていた。




