【幕間】教皇騎士団妖星の間にて
教皇騎士団 妖星の間。
そこは、2等星以上の称号を持つ者だけが入ることを許される聖域。フォルタール大聖堂の地下にあり、中は洞窟のような造りだ。
さてそんな妖星の間の、奥の祭壇に灯してある緑色の炎に照らされる人物が3人。
1人はギアン・スピカス。疾斗を死の一歩手前にまで追い込んだ2等星の男だ。
コートのような丈の長い紺色の服を着て、自他共に認める2本組の名刀『砂刃』をこすり合わせている。
残りの2人は、赤い学ランのような服を身にまとった長身の男と、身長がその男の半分しかないのに、サイズも見た目も同じ服を着ている女で、2人とも服の左胸の部分に星が1つ輝いている。
「ダナ様、キョルメ様。ファルガスト教皇が仰っていた『贄の運び屋』ですが、難なく倒すことができましたよ」
そうギアンが切りだした。
ダナと呼ばれた長身の男は「ふむ」と考えてから、
「心音が止まったのを確認したのダナ?」と訊いた。
これにハッとするギアン。「意識がなくなったことしか…」
「詰めが甘いわね、これだから2等星は」
幼女のような見た目、声質をしたキョルメという女は鋭い眼光でギアンを睨みつけた。
そしてサッと表情をかえたかとおもうと、
「キョルメたちはそんなヘマしないよねー。ねぇダナ?」と言ってダナにくっついていった。
「あ、あぁ。分かったからくっつかないでほしいんダナ…」
静かに身を引くダナ。口元ではかすかに笑っていても、眉間には深いシワができている。
しかしそんなダナの態度を全く気にしない様子のキョルメ。
2人をただ眺めているギアン。
この状態が数分続いた後。なんの前ぶれもなく、妖星の間と連絡室をつなぐアナログな管から、かすれた男の声が聞こえてきた。
「妖星の間で待機中の2等星に告ぐ。大聖堂第二階層に不審人物の侵入を確認。現在、3等星数人が交戦中だが、こちらが劣勢。直ちに侵入者殲滅にあたるように」
相当焦っているのか、ガシャンといって連絡は切れた。
この放送を聞いたギアンは手ぐすね引きながら、「私の手柄がまた1つ増えてしまいますねぇ」と部屋を出て行く。
完全に扉が閉まるのを確認したキョルメは、再びダナにくっついていこうとした。しかし、
「ヌヒヒヒッ。お二方、わたくしめがここに居ることに気づいてくだされ」
という声に邪魔をされる。
そこには腕が左右に2本ずつ生えている男がいた。アゴには白い髭が生えているが、歳はまだ二十代で、若さゆえかヒゲの先端を結んで洒落た格好にしあげている。
「おお、デシャオか。いいとこ…いや、いつからそこにいたんダナ?」
「もちろん最初から、にございますよ。ヌヒヒヒッ」デシャオはアゴ髭を撫でた。
彼らの話はまだまだ続くのだが、そろそろ我らが主人公の物語を進めるとしよう。




