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贄の運び屋  作者: ニシキメサイコ
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黒幕

まずレヌァスンにいたとき、あたしは教皇(きょうこう)のもとで働く研究者の1人にすぎなかった。


それがある時、“ある呪具”を拾ってしまったの。それは頭の回転を異常なまでに速くする、『一瞬のひらめき』という呪具だった。


それからというもの、あたしは次々に新しい発明をして、気付いたら『四肢戦士』の1人になっていた。


え、四肢戦士とはなにかって?


教皇のそばに仕える、4人の選ばれた者につく称号よ。あたしの他にはゴンディさん、タレスさん、あとガンゾールゾさんがいるわ。


あれ、知らなかったの? まあいいか。


そうして教皇に近づいたあたしは、レヌァスンを統(す)べる教皇の黒い考えを知ってしまったの。


ここからは分かりやすいように、疾斗の世界のことを仮に『現世』と呼ぶわね。


教皇はなぜか知らないけれど、現世の存在を知っていた。そして、“あるもの”を使って現世に進出、支配しようとしたの。


あたしはそれを知って、止めようとした。でも自分の命をかけるのはためらいがあったから、あたしはせめてこのことを現世の誰かに伝えることにした。


それから空間転移装置を作り、早速現世に転移したわ。そしたらなんと、レヌァスンと現世では時間の流れ方が違って、あたしは驚くほど早く老化してしまった。


だから老化防止クリームを開発して、その問題は解決したのだけど、本当の問題はそこから。


『誰に言うか』よ。


「異世界から侵略者が来ます」なんて言ったって、信じてくれる人がいるわけがない。けど、信じてくれそうな人を見つけたの。


あたしはその時、大学に通っていた。もちろん『一瞬のひらめき』は使わずに入学したわよ?


まあそれはそうとして。友だちもできて本来の目的を見失いかけていたあたしは、周囲に勧められるがまま疾斗、あなたと会った。


「この人なら信じてくれる」


そう感じたわ。それまで、考えて行動してきたあたしが、“感じた”の。


でも、なかなか言えなかった。あなたを巻き込みたくないって気持ちが、あなたを知るたびに強くなっていって…言えなかった。


そうしているうちに時間が経ち、ついに言おうと決心したその日、なんの因果かあなたはレヌァスンへと飛ばされてしまった。


これが真実よ。


あたしもそこへ行きたいけれど、空間転移装置の燃料はレヌァスンでしか取れない…。


だからあたしの願い、これだけ聞いて。


あなたがその眼で見て、やりたいと思ったことをして。


それだけがあたしの…



ブツッ

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