【幕間】アズーたちの進む道
時間は遡り、疾斗と別れ、正剣兵団への復讐に向かったアズーと谷賊のフィーナ、ベイラルたちは道中の宿でひと休みをしていた。
「それにしてもさ」と谷賊の長の娘、フィーナ。
「こんなちんちくりんがあの正剣兵団に復讐しに行くってのは改めて考えるとすごいことだね」
優しげな目をしてアズーの頭を撫でるフィーナをベイラルがまじまじと見つめる。
「姐さん、ホントにおれらだけで正剣兵団に殴り込みかけるんかヤ?」
「そうさねぇ…。やっぱり人手が必要ってとこか」
フィーナが斜め上に目をやりながらそう言うと、「でも人手ったって谷賊の他の連中じゃ正剣兵団相手に相打ちもさせてもらえんヤ」とベイラルが肩を落とす。
そこにそれまで黙っていたアズーが、「強い人たちを呼んでこれたらいいってことだよね?」
「そ、そうヤ…?」
こんな子どもに心当たりがあるのかと言わんばかりのベイラル。フィーナはアズーの次の言葉をじっと待つ。
「…じゃあ、商都ヴェミリに行こう!」
フィーナが驚いて「ヴェミリだって?」と聞き返す。
「ヴェミリにいるのはほとんどが商人だよ、そんなヤツらに何ができんのさ?」
「僕が行きたいのはヴェミリの外れにある漁師の村、ラペットだよ」
これにベイラルが呟く。
「なおさら分からんヤ。漁村に行って何を…?」
「ラペットに住んでるのは、僕が住んでたルァヴィンっていう村から移住した人たちなんだ。その中に、たまにルァヴィンに遊びに来てたお兄ちゃんがいて、すっごく強かったから絶対助けになるよ!」
少し考えたあと、「よし」と頷くフィーナ。
「アズーがここまで言ってんだ。乗ってやるよ、その話!」
こうして一行は商都ヴェミリ郊外のラペットという漁村に向けて出発するのだった。




