試験・1
「業持ちの方は左手の扉にそれ以外の方は右手の扉に」
「ウチこっちかー。またあとでねー!」
「うん!またあとで!」
そうアレクトに別れを告げ人間だけが集まる試験会場へと向かった。人混みの中で一瞬だけ見えたアレクトの尻尾が、左手の扉の向こうへ消えていった。
すでに開いてある扉の横には「人間用入隊試験場」と書かれた看板が壁に立てかけられていて、奥にはたくさんの人がおり、椅子に座らせられていた。空調の効いた冷たい空気と、大勢の緊張した息遣いが入り混じっている。
「入隊希望者の者かな?机の上に受験番号が書かれてるからその椅子に座ってくれ」
中に入るとそう兵士に言われ、自分の受験番号を探し座った。自分の席は前から3番目の左端から2番目の席で左隣の席はまだ空席のままだった。
荷物を椅子の下に置き机の上を見ると
ー
筆記試験
国語、数学、社会、統合版
指示があるまで開かないようお願いします。
ー
と書かれた試験用紙が置かれていた。
試験のために用意した復習用の問題用紙を見返していると、前から教官と思われる人が現れた。
「よーし、お前らあと約1分で筆記試験が始まる。制限時間は100分、私語は禁止、カンニングその他もろもろあるがとにかく禁止行為をした者は即失格だ!では、試験かい…」
「ちょっと待ってくださーい!」
全員の視線が入り口に集まり
そう叫び入ってきたのは白髪と青い瞳が特徴的な1人の女の人だった。息を切らし、髪も乱れている。
「まだ…間に合います…よね…?」
「あぁ、あと2秒遅れてたら終わりだったがな。だが今ここ全員の試験を遅らせたことに関しては事実だから、減点をしておく」
「は、はい…」
彼女は悲しみつつも安心したかのようにため息を吐き、みな彼女の方に視線を集め空席の左隣の方に向かい座った。
(なんか私に視線集まってるみたいで恥ずかしいんだけど)
そう思っている間に教官の「試験開始!」の合図と共にみなペンを持ち目先の試験用紙に集中した。
会場内には時計の秒針が動く音、ペン先の音、監視をしている兵士の足音、様々な音が響き渡る。窓の外では雲一つない空が広がっていたが、それを気にする余裕は誰にもなかった。
「試験終了!ペンを置け!置かなかった者は即失格とする!」
そう教官の大声と共にペン先の音はやみ、みなペンを机の上に置いた。手首の疲れを感じ、無意識に指を伸ばした。
「この後は身体検査だ。これから横列ごとにあの右奥に見える扉に入り整列する。そこから順番に名前を呼び、身体検査をする」
「返事は!」
「「はい!」」
そう言われると、みな試験に安堵したのか少しずつ喋り声が聞こえ始めた。




