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ある武官の生涯  作者: 大島久嗣
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第六話 船に乗る

船に乗る。


幸い私は船酔いせぬたちで幾度かの外地も酔わずに済んだ。


こたびは連合艦隊へのお使いである。


せっかく内地に戻った途次、主上への奏上より前の追加任務である。


その、なんだ、本来の者が腹痛とあっては致し方あるまい。


苦笑してお預かりし、連合艦隊へと移動し、乗艦、御沙汰を大将閣下にお伝えしたところ、なぜか私が今後海軍では将官として扱うということになってしまったのである。少将閣下と呼ばれたが、いつの間にか二階級特進でもしたかと思ってしまった。




内地へ戻ると連隊代理指揮官としての戦果や、勅使としての慰労を兼ねての大佐昇進、および侍従武官付きから侍従武官心得と進んだ。また、金鵄勲章をさらにいただいた。




ちょうどそのころ、武官長の具合がよくなく次代の侍従武官長が指名されるとのことであった。あれは中将か大将がなるものである。乃木閣下もよろしいと思う。




中村覚中将がご指名を受けて侍従武官長につかれた。


彼は旅順の折に先頭に立ち奮戦した、率先垂範の良い男である。尊敬できる男である。心得として残り少ない現役であるが、彼の武官長としての経歴に傷がつかぬようよく補佐をしたいものである。

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