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侵略!骸骨軍団!

「えっと、東山とうやまヒナタっていいます。少し前まで親の仕事の都合で韓国に住んでましたが、血筋は純粋な日本人です。よろしくお願いします!」

教壇の前に立つ水色ショートカットの少女が元気よくお辞儀をすると、教室中にワッと温かい拍手が沸き起こった。

(えええええーーーーーっっっ!!!???)

その拍手の渦の中で窓際の席に座る千之ツムギだけは、目玉が飛び出んばかりに驚愕していた。

朝の通学路で本物のハンターを天までぶっ飛ばし、そのまま別れたはずがまさか自分のクラスに転校してくるなんて一体誰が予想できただろうか。

休み時間になるとツムギはすぐさまヒナタの席へと駆け寄った。

「いやー、まさか同じ学校の、しかも同じクラスになるなんて…! ヒナタ、なんでここに来たの?」

「あはは、私もびっくりしちゃった! 実は親の仕事の都合で日本に戻ってきたんだけど、なんかこっちのおじいちゃんがこの近くで小さいハンターギルドを経営してるらしくて。だったらその近くに住もうって、お母さんが言い出したの」

「へぇー、ギルドを! だからヒナタちゃん、ハンターの偵察部隊の推薦がどうのこうのって言ってたんだね」

ツムギが納得したように頷いた、その時だった。

突如として、校内にピンポンパンポーンとチャイムの音が鳴り響いた。

「生徒の皆さんに緊急連絡です。先ほど、本校の屋上に門が発生しました。警戒レベルは1。現在、ギルド連合へハンターの派遣を要請中です。生徒の皆さんは先生の指示に従い、校内から速やかに避難してください。繰り返します――」

「ええっ!?」

ヒナタがガタッと椅子を鳴らして立ち上がる。

「えーー!?今日私の日本の学校初日だよ!?なのに早退で終わりになっちゃうの!?」

「まあまあ、しょうがないよ」

ツムギは苦笑いしながらカバンを肩にかけた。

「警戒レベル1ならハンターの人が来ればすぐに終わるよ。明日には多分門も消えてると思うから」

ゾロゾロと避難を始めるクラスメイトたちの背中を見送る中、ヒナタは不敵な笑みを浮かべツムギの袖をぐいっと引っ張った。

「……ねえ、ツムギ」

「ん? 何?」

「どうせ避難するならさ、ハンターの人が来る前に私らでその門攻略しちゃわない?」

「えええっ!? 攻略って、私たちが!?」

「いいアイデアだゾ! 昨日あれだけ暴れたんだからレベル1の門なんて余裕もんだゾ!」

ツムギのカバンの中からピピがひょっこりと顔を出して賛同する。

「ちょっとピピ、見つかったらどうするの! ……でも、確かに昨日の感じなら、いけるのかな……?」

自分の手のひらをじっと見つめるツムギ。大好物のハンバーグを台無しにされた怒りがあったとはいえ、昨日は自分でも信じられないほどの怪力が出たのだ。

避難誘導の先生たちの目を盗み、二人は足早に屋上へと続く階段を駆け上がった。

屋上の重い鉄扉を開けると、そこには虚空に漂う不気味に青く拍動する空間の裂け目、門があった。」

「よし、いくよツムギ!」

「うん……! 変身っ!」

二人がカバンからステッキを取り出すと、まばゆい魔法の光が屋上を包み込んだ。

光が収まったとき、そこにいたのは制服姿の女子中学生ではなく、フリルとリボンをあしらった可憐な戦闘少女の二人組だった。

「よし、突入ーーーっ!」

ヒナタの掛け声と共に、二人は青い光の裂け目へと飛び込んだ。

視界が激しく歪み、次に目を開けたとき、そこは冷徹な空気が漂う灰色の石造りの巨大な回廊だった。まるで中世の古城の地下墓地のような不気味な空間。

カタカタカタカタ……。

前方から不快な骨の擦れ合う音が響いてくる。

暗闇の中から姿を現したのは、肉体が完全に朽ち果て、鈍く光る剣や弓を携えた無数の骸骨モンスター、スケルトンの軍団だった。

「うわ、出た! あれが今回の魔物…不気味…!」

ツムギが身構えるより早く、前衛のスケルトンたちが一斉に牙を剥いて襲いかかってきた。

ヒュンッ! シュバッ!

骸骨の射手たちが放った鋭い矢が、正確にツムギとヒナタの胸元へと突き刺さる。さらに、眼前に迫った骸骨の剣士たちが、容赦なくその錆びた鉄剣を二人の脳頭部へと振り下ろした。

キィィィン!!! ガギィィィン!!!

激しい火花が散り、金属音が回廊に響き渡る。

「ツムギ! 大丈夫!?」

ヒナタが慌てて叫んだが、攻撃をモロに喰らったツムギは、衣服のフリルをパタパタとはたきながら首を傾げていた。

「……あれ? 全然痛くないや」

見ればツムギの脳頭部を直撃したはずの鉄剣はまるで硬いダイヤモンドを叩いたかのように根元からバキバキに折れ曲がっている。胸に刺さったはずの矢もドレスの布地に傷一つ付けられず、ポロポロと床へ落ちて転がった。

「え、マジで? 私も全然平気なんだけど!」

ヒナタもまた、骸骨に何度も剣で斬りつけられていたがくすぐったそうに身をよじっているだけだった。

「昨日のウサギの方が、まだ攻撃力高かったよね」

「だね。これならただの動く骨董品だよ!」

完全に形勢は逆転した。

恐怖の骸骨軍団だと思われていた魔物たちは戦闘少女の異常な防御力の前にはただの脆い骨細工に過ぎなかったのだ。

「よーし! お邪魔しますの、右ストレートーーーっ!」

ツムギが華奢な拳をギュッと握り締め、目の前のスケルトンに向けて突き出した。

ズガァァァァン!!!

凄まじい風圧と共に放たれた一撃は、スケルトンの頭蓋骨を木っ端微塵に粉砕。その衝撃の余波だけで背後に控えていた数体の骸骨をもドミノ倒しのように巻き込み一瞬でバラバラのカルシウムの塊へと変えてしまった。

「! 」

吹っ切れたヒナタもまた、手をぶんぶんと振り回し、迫り来るスケルトンたちを次々とカチ上げていく。彼女が杖を一振りするたびに、ガキィィン!という小気味よい打撃音と共に、骸骨たちの肋骨や大腿骨が派手に宙を舞った。

「た、楽しいーーー! これ、めちゃくちゃストレス発散になる!」

「ヒナタ、はしゃぎすぎだよ! ほら、左からも来てる!」

「まかせて! はぁぁぁっ!!」

ヒナタの容赦ない回し蹴りが、スケルトン三体の腰骨を綺麗に粉砕する。

ツムギも負けじと、迫る骸骨の手首を掴んで一本背負いを決めコンクリートの床に叩きつけてバラバラにした。

カタカタカタ……ッ!?

あまりの理不尽な暴虐ぶりに、後衛にいたスケルトンたちが、心なしか恐怖に震えるように顎をガタガタと鳴らし、数歩後退りする。

しかし、戦闘少女たちのマッスルフルボッコは止まらない。

「私の日本の学校初日を、早退で終わらせようとした罪は重いんだからねーっ!」

「みんなの平和な学び舎、返してもらうからね!」

悍ましい数のスケルトンたちは次々と戦闘少女によって粉砕されていくのだった。

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