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かわいそうな旦那様‥  作者: みるみる
19/33

19、ベラは全てを失った、が‥


テオが両親から、リリアと離縁について両親と話していた頃、ベラは失意のどん底にいました。


ベラの愛するラスター侯爵の奥様が、妊娠したのです。


「‥ラスター、あなた私だけを愛してるって言ったじゃない‥。なのに何で奥様が妊娠なんかするのよ‥。あなたは奥様を愛していないと言いながらも、抱いたのね。‥私だって、あなたと結婚して‥あなたの子を産みたいのに‥。」


ここ最近のベラは、失意のあまり自棄になっていました。取り巻き達を頻繁に家に招いたり、一人でも賭博場へ行ってみたりして、寂しさを紛らわせていたのです。


すると、賭博での借金が膨れ上がり、亡き夫の遺した遺産も食い尽くし、とうとう領地や私財を国に没収される事になってしまったのです。


夫の遺産というのは‥‥この国では子供のいない未亡人にも、夫の所有していた財産の三分の一を「寡婦産」として相続する権利が与えられていたのです。


ベラの元夫は高齢の為、親兄弟は既に他界しており、お子もいなかったので、ベラがそのまま領地の三分の一を相続したのでした。


他にも、夫の財産から一定金額を年金で受け取る「寡婦給与」制度もあった為、ベラはそれらを利用して生活や屋敷の管理をしていたのでした。


膨れ上がった借金のせいで「寡婦産」として持っていた領地を没収されたベラに、更なる不幸が訪れました。


リリアの誘拐事件の容疑者として取り調べを受けたのです。幾つかの証拠も出てきた為、容疑は確定し、ベラの元々持っていた貴族の地位も返上し、「寡婦給与」も打ち切られる事になったのでした。



‥‥何故リリア誘拐事件の容疑者としてベラが疑われるようになったのか?


それは、ベラの屋敷にモルガン伯爵が頻繁に入り浸る為、捜査をしていた警備隊がベラの屋敷に張り込みをしていたからです。張り込み中に、ベラがリリアの誘拐を仄めかす言葉を口にしたのを聞いていたのでした。


ベラはその場でお城の中にある取り調べ室に連行されました。最初は連行される事に対して抵抗していたベラですが、警備隊が王命で動いていると知り、観念したのでした。


取り調べの中、ベラの侍女がとうとう良心の呵責に耐えかねてベラの犯行を裏付ける証言をした事が証拠として承認され、ベラの容疑が確定したのでした。


ベラの取り巻きのモルガン伯爵も、ベラと同じく貴族の地位の返上を申し付けられたのです。




ベラが失意の中、屋敷へ戻って自分の荷物をまとめていると、テオがやって来ました。


「‥‥テオ様、私‥この屋敷にもう住めなくなってしまったの‥。知り合いに騙されて賭博場へ連れて行かれて、多額の借金を背負ってしまったの‥。これからどうすれば良いのかしら‥‥。」


テオの前で、ベラはこれみよがしに泣き崩れました。


「‥ベラ、君さえ良ければ僕と結婚しよう。リリアと正式に離縁できたんだ!それに両親も反対しなかった!」


「嬉しいわ、テオ。早く結婚しましょう!」


ベラはテオに抱きついて喜びました。


『ああ、これでまた贅沢が出来るし、賭博や愛人達との逢瀬も出来るんだわ。』


ベラはテオにキスをしながら、そんな事を考えていました。


全く懲りないベラに、相変わらずベラに騙されっぱなしの情けないテオ‥‥二人はこの後、共に落ちるところまで落ちていく事になるのでした。


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