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〈十五夜 同刻・鬼灯堂〉
〈十五夜 同刻・鬼灯堂〉
「でもさあ、ひどい話やんねえ」
洋子を見送ると、憤慨した青炎こと青井加代が作業場の上がりかまちの前に仁王立ちになりながら輝夜にまくし立てはじめた。
「嫁を奴隷か何かだと思ってるんやろか。自分が寝たきりになったからって、洋子さんまで家にしばり付けるっておかしくない? 買い物以外の外出はダメで、あとは一日中、お姑さんの世話だけなんて、そりゃ酷な話やわ」
輝夜は黙って、絵付けをしながら加代の話に耳を傾けている。
「それに旦那も旦那だよね。洋子さんに厄介ごとを全部押しつけといて、自分は他に女つくって家に帰れへんなんて有りえへんわ。でもさあ、洋子さんはご亭主のことが本当に好きなんだね。お義母さんさえいなくなればって言う気持ち、なんかわかるわ。そやけど輝さん、あのろうそくで、ほんまにお姑さんはコロッと?」
なかなかおしゃべりの止まない加代をちらりと輝夜は見上げた。
「加代さん、もうとっくに零時も過ぎた。祐太が目を覚ましでもしたら寂しがるぞ。早く帰ってあげなさい」
「いやあ、ほんまや。はよ帰らな。明日も祐太のお弁当作ったらなあかんねん。ほんなら輝さん。今日はありがとう。またねえ」
加代はそそくさと、自宅へ急いだ。




