表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者と魔王の息子は一般人です  作者: イマノキ・スギロウ
13/15

13.追跡

次回は早ければ今日の夜にでもアップします。遅くとも明日の朝には間に合わせます。


 魔王とセブリナ、ヴァネルは正人の身体を乗っ取った集合思念を外に出さないように結界内に閉じ込めると、どうにかして抑え込もうとしてた。


「ふははは、閉じ込めるだけでおしまいか? 元魔王と人間よ」


「正人を人質にしておいて図に乗るな貴様!!」


「くぅ、正人君の身体でなければ……」


「ちくしょう、ヘタに取り押さえようとすると電撃魔法でこっちがやられちまう」


 集合思念は常に正人の首に右手を当てていつでも乗っ取った身体を殺せる状態にしており、結界に閉じ込めたまでは良かったものの、そこから先を三人は攻めあぐねていた。


「どうするんです? 正人君の身体が人質では下手に魔法を使う訳にも……」


「勇者が戻ってくれば前と同じようにあいつを引き剥がせるはずじゃ、それまで時間を稼ぐしか……」  


「ふむ、そうだな、あの男が出てくると厄介だ。早々にこの結界を解いてもらおう、従わなければどうなるかわかっておろう?」


「く、やはりそう来るか」


 正人(集合思念)が自分の首に当てた右手に魔法の光を発しながら結界の解除を迫る。


「早くせよ!」


「…………わかった」


 正人の命がかかってる以上、魔王としては従うよりほかなく、結界はゆっくりと消失した。


「では、いずれまた魔族王国が復活した時に会おう」


「ま、待て貴様を逃がすわけには…」


 魔王の制止もむなしく、正人(集合思念)は窓を突き破って夜の街へと飛んで行ってしまった。


「お、追わないと」


「けど俺ら空飛べねーぞ?」


「問題ない、奴は我が追う。お前たちはうちのバカ亭主が戻ったら状況を伝えてくれ」


「わかった」


「あの、先ほどから思っていたのですが、勇者様は携帯かスマホはお持ちではないのですか?」


「……あ、」



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「…という訳だ、あの時倒したと思っていた集合思念があろうことか正人の身体を乗っ取って魔族の国を作ろうとしておるのだ、」


 非常事態に考えが狭まっていた魔王は持っていたスマホでようやく事態を勇者伝えながら夜空を飛んでいく正人(集合思念)を追っていた。


「≪なるほど、それはやっかいだね。あの時握りつぶすよりも時空の彼方にでも飛ばしておけばよかったな≫」


「お主、やることが常識外れのくせにどうしてこういう可能性に関しては無頓着なんじゃ?」


「≪今はそれを言っても始まらないよ。それより僕がそっちに着くまでにまだちょっと時間が掛かるからそれまで見失わないようにお願いね≫」


「……そういえばお主、どこまで酒のつまみを買いに行っとるんじゃ? やたら帰りが遅いが……」


「≪ママがおいしいソーセージを、って言うからちょっと品揃えの良い店のある隣の県まで走ってたんだ≫」


「この大馬者が! そんなもん近所のスーパーで構いはせんわ!! さっさと戻ってこい!!」


「≪はいはい、今県境を超えたからあと40分くらいでそっちに行くよ≫」


「40分か……」


 勇者が到着するまでの残り時間、正人(集合思念)に気付かれずに監視しようと魔王が考えていると、空を飛び続けていた正人(集合思念)が徐々に高度を下げ、公園に着地した。


 ――――何をするつもりだ?


 身体の各部から魔法の光を発し、その光が伸ばした腕の一点に集中したかと思うと、光球となって正人の伸ばした腕の先に居た猫に命中した。


「な、」


 その光が当たった猫はみるみる身体が膨れ上がり、筋骨隆々な猫の頭を持つ人型の生物へと変貌した。


 ――――あれは魔物生成魔法、なるほど、周囲の動植物を配下にして領土を得てから魔族を作るつもりか。


 正人(集合思念)の行為を分析しつつも、これ以上放置して事態を悪化させるのはまずいと判断し、魔王は正人(集合思念)の前に姿を現した。


「やめよ、これ以上この世界を乱すな!」


「ふん、そちもしつこいな、だがいいのか? 余の邪魔をするのならば」


「…………なんの策もなく出てきたと思うなよ?」


「ほう、どうするのかな?」


「こうさせてもらう!」


 魔王両手を振りかぶると、公園に降りる前からあらかじめ紡いでいた発動に時間のかかる二つの魔法を同時に展開した。


「結界魔法? 今更余を閉じ込めてどうする? この身体がどうな……まさか!?」


「気づいたか、そう、確かに今発動した魔法の一つは結界魔法だ。並みの力ではヒビも入らんだけの強度がある。そして……もう一つがこの結界内にいる限り、我も含めて全ての魔法を無効化する魔力攪乱陣じゃ!」


「そういうことか、確かに魔法が使えなければこの身体を即座に害するのは難しい。…………しかし、一手遅かったな。余の下僕よ、あの無力な女を始末せよ」


「ガルルル」


 正人(集合思念)によって生み出された猫型魔物は命令を受けると、牙をむき出しにしてじりじりと魔王との距離を詰めてきた。  


「ふん、本物の正人が反抗期になった時の良い練習になるわ。こい! 相手になってやる!!」


 魔法による身体強化格闘術や広域殲滅を得意とする魔王がその魔法の一切を捨てて今、近接戦による戦いを始めようとした。


 正人と彼を取り巻く者達の長い一日はまだ終わらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ