子守唄
恐る恐る戸を開ける。誰も居なかったことを安堵した。ただ机の上にはメモが1枚。
〝許してくれ。お前の親友を助けるために。〟
親友?俺に親友はいない。親友と呼べる人に出会ったことはない。多分これはイタズラだ。きっといじめっ子共にここの居場所がバレたのだ。それの嫌がらせに違いない。きっと親友すらいないことを抉るために。
資料室は暗くなっていった。夜に近いのだ。たしかに、赤い空に変わりはないが、暗くなるのだ。元々薄暗いのが更に。で、街のガス灯は光を増して男女のツレが多くなっていく。朝になれば、消えた少年少女達として、新聞の特集に組まれることもある。きっと夜は憧れなのだろう。夜という時間帯で駆け落ちや遊びはきっとロマンチックに映るのだろう。ロマンチックに逃げるのはきっと嫌なことを抱えていたことがあったのだろう。親が口うるさいだの友達が嫌だの。だから、一時的とどこかで分かっていてもロマンチックに逃げるのだろう。そういう面でロマンチックとは夜に売られる事柄なのだ。だからこそ、ロマンチックに体を売らないようにしたい。
「、、、いつか売りそうだけどな。」
つい口走るほどに疲弊してるのかもしれない。俺だったなら子守唄で済ましたいところである。
そんなことを思っていでも時間の無駄だと分かっていたので、自分の部屋に行くことにする。夜飯を食べられる気分にはならなかった。自分の部屋は狭い個室で机と椅子、ベッドがあれば部屋は埋まるほどだった。そして紙とペンを取り出して、街であったことを書いて眠ることにした。
~深夜~
ふと目が覚めてしまった。横を見るとなにやら人影があった。もしかしたら先程の、メモを置いていった奴かもしれない。何かしようとしているに違いない。人影は開いたドアの向こうに居るまま、ずっと止まったままだった。きっとこちらが気づいたのにあちらも気づいたのだろう。ただ静止したままだった。少し身を構えた。いつでも逃げられるように。




