恋模様
食堂についてカレーライスを運ぶ。アゼル先生の前に座り、いただきますをした後、会話を交わすことなく食べ終わる。騒がしい周りをBGMにして食べるカレーライスはやはり絶品だった。否。騒がしい周りをBGMにしても絶品であった。ちょうどいいスパイシーな刺激があるルゥと、それに染まったホクホクとした具。少し固まり始めたご飯とマッチする。
アゼル先生は少し物憂げな様子でカレーライスを平らげていた。不味かったのだろうか?
俺はご馳走様をしたあと、すぐ皿を片付けある一点に視線を向ける。それは、俺の気を狂わすルミエラという天使のような女の子だった。ルミエラはいつも笑っていて、輪の中心で、みんなと仲良くできるが故にいじめっ子のヤツらとも仲が良かった。
ルミエラは他の友達と話した後に1人になった。俺はチャンスとばかりに話しかけに行こうとした。何も話すことを決めないままで。だが、いじめっ子の主犯格が俺を押しのけてルミエラの肩をつかみ、肩をだき、ルミエラははにかんだように笑う。俺はこの数秒の眼球に映るコマをまるで現実じゃないように見えてしまった。ふといじめっ子の主犯格が振り返り、歯茎を見せるほどの口で、半開きの目で、鼻の穴をかっぴらいた顔をこっちに向ける。歪んだ表情とも呼べるそれを見ながら、俺は話しかけようと傾きかけた体を正して、回れ右で教会のような雰囲気の食堂を後にする。大理石の床に映るうっすらとした自分の姿に地団駄を決め込みたくなった。だがそんなことをすればルミエラとの距離は彼方の距離になることは目に見えて分かっていた。とぼとぼと歩く自分の姿があいつらの目に映れば、きっと惨めでジュースの肴だろう。ならばすぐ姿を消す必要がある。簡単だ。ルミエラと遊びたい?手を繋ぎたい?なら外に行こう。外に出て、街に行って学べばいいのだ。そうと決まれば支度を始めよう。




