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第六話 決壊する影

 空気が張り詰める。




 その中心に立つのは、二人。




 服部半蔵と、猿飛佐助。




 互いに一歩も引かない。




 静寂の中、風だけが二人の間を抜けていく。


「来い」




 半蔵が静かに言う。




「望み通り、決着をつけてやる」


「望み通り、か……」




 佐助は笑う。




 だがその目は、笑っていない。




「違うな、半蔵」




 槍をゆっくりと構える。




「これは“選別”だ」


 次の瞬間――




 消えた。


 ドン!!




 地面が爆ぜる。




 佐助の踏み込みは、これまでとは別次元だった。




「速い……!」




 お凛が息を呑む。


 ギィン!!!!




 激突。




 槍と刃が、正面からぶつかり合う。




 火花が散り、衝撃が森を揺らす。


「どうした、半蔵!!」




 佐助が吠える。




「これが本気か!?」


「……まだだ」




 半蔵は静かに応じる。




 だが、その足は――わずかに沈んでいた。


「ならば――見せてやる!!」




 佐助の体から、黒い気配が噴き出す。




 それは炎ではない。




 もっと濃く、重く、禍々しいもの。


「鬼火とは、炎ではない」




 低い声。




「“魂を燃やす力”だ」


 ボォォッ!!!




 その瞬間、佐助の全身が黒い炎に包まれた。




 地面が焼け、空気が歪む。


「……あれが、完成形……!」




 影丸が呟く。


「行くぞ」


 消えた。


 次の瞬間――




 ズドォン!!!!




 半蔵のいた場所が、完全に吹き飛んだ。


「半蔵様!!」




 お凛が叫ぶ。


 だが。


「……そこか」


 声は、上。


 ヒュッ――




 半蔵が空中から落ちる。




 その刃は、一直線に佐助を捉えていた。


 ギィィィン!!!




 再び激突。




 だが今度は――


「押し負けている……!」




 お凛の声が震える。


 佐助の力が、明らかに上回っていた。




 押す。




 押す。




 押し潰す。


「これが……“力”だ!!」




 佐助が吠える。




「影に生きる時代は終わった!!」


 ドン!!!!




 衝撃。




 半蔵の体が、地面へと叩きつけられる。


「半蔵様……!」


 その瞬間。


 ――ドクン。


 異音が響いた。


「……何?」




 お凛が振り向く。


 そこにいたのは――




 影丸。


 だが、様子がおかしい。


 ドクン……ドクン……


 鼓動が、外に漏れているようだった。




 そして――


 ボッ。


 炎が、灯る。


「やめろ……」

挿絵(By みてみん)



 影丸が呟く。


「出てくるな……」


 だが、止まらない。


 ボォォォッ!!!


 青白い炎が、影丸の全身を包み込む。


「影丸!!」




 お凛が叫ぶ。


 振り向いたその顔は――




 すでに“別の何か”だった。


「……見つけた」


 低く、重い声。




 影丸ではない。


「器……発見……」


「……やはりな」




 佐助が立ち上がる。




 その目は、歓喜に満ちていた。


「それだ……それこそが“核”だ」


「やめて!!影丸!!」




 お凛が叫ぶ。


 だが。


 ヒュン。


 一瞬で距離が詰まる。


 ドン!!




 お凛の体が吹き飛ぶ。


「がはっ……!」


「……排除対象」




 影丸が、無機質に呟く。


「味方も、敵も……関係ない……」


「影丸……!」




 その声に。


 ピクリ、と反応があった。


 だが、すぐに消える。


「邪魔だ」


 その瞬間――


 ガシッ。


 影丸の腕を、誰かが掴んだ。


「……そこまでだ」


 服部半蔵だった。


「……離せ」




 影丸が低く言う。


「離さん」




 半蔵の声は、静かだった。


「お前は、まだ――忍だ」


 その言葉が。


 深く、刺さる。


「……にん……」


 炎が、揺れる。


「……おれは……」


 その瞬間。


 ズドォォン!!!


 炎が暴走した。


 半蔵ごと、吹き飛ばす。


「半蔵様!!」


 地面が割れ、森が崩れる。


 そして。


 その中心に立っていたのは――


 完全に覚醒した“核”。


 影丸だった。


 その目には、もはや感情はない。


「……全て、燃やす」


 闇が、崩壊する。

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