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令嬢ギロチン  作者: 近太夫
2の巻 令嬢立志伝
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72/74

72 政略結婚

○【オ・ソレイユ中央病院内、特別室。窓からは中庭フェニックスの木の上で、フェニックスが羽根を休める姿が見える】



 後日、マノン、ギヨティーヌ、そしてマダム・ローズの3名がテーブルをかこみ、

 皆は別席へ居並ぶ形で会談は再開された。



ギヨティーヌ

あらためておうかがい致しますわ。

 〈マノンさん下さい〉だなんて… 何を考えて居られるんですか? マダム・ローズ。

 息子さんいらっしゃいましたっけ?」


マダム・ローズ

「いえ、娘だけです。

 そうですねぇ〜 話して仕舞おうかしら。うふふ


 ねえマノンさん、貴女は『人生はチャレンジだ!』とお考えになりますか? これから ❝帝立ていりつレネット魔法学院まほうがくいん❞ に入学するのでしょう?」


マノン

「はい、周りが許して下さるのなら、そうしたいと…

 させて頂きたいと考えています。」



 少女は言葉づかいに気を付けながら返答を返す。まるで面接試験を受けているかのように――――



マダム・ローズ

「伝統ある、レネット魔法学院の特色をご存知かしら。

 皇帝のご子息しそく・ご息女そくじょなど、ご帝家ていけへ一貫教育を提供する教育機関としての役割を担い、その後は、

 ギヨティーヌさんのような各領主かくりょうしゅ貴族のお子さまも対象とする、新しい教育体制で発展してきました。

 『フェニックスの眼』を持つ貴女あなたも、新体制の一環いっかんとして入学を許されたのですね。」


マノン

「はい、そうですマダム。

 帝立ていりつレネット魔法学院まほうがくいんの、ソフィー・シュー先生から推薦すいせんを頂きました。」



 ソフィー・シューはギヨティーヌの幼馴染おさななじみであり

り、

 帝立レネット魔法学院で現在 ❝魔動蒸気機関まどうじょうききかん❞ の研究を行いながら教員職にく人物だ。



マダム・ローズ

「現在の ❝皇帝こうてい❞ も、先帝せんていも、せんていも、学院の卒業生にあらせられます。


 そして次期 ❝皇帝❞、ジャン・ラ・キャン皇太子こうたいしが学生として、帝立レネット魔法学院へご在学ざいがく中でらっしゃいますわね。

 ご存知でした?」



 少女はさらに身をただし返答する。



マノン

「はい、ぞんげております。」


マダム・ローズ

「宿屋のお手伝いで、様々なお客さまとお話ししてらっしゃるからかしら、立ち居振る舞いもお勉強すれば修得しゅうとくできますね。

 後は ❝覚悟かくご❞ だけです……」



 マダム・ローズは、チラとギヨティーヌを見やり、マノンへ向き治ると、



マダム・ローズ

「マノンさん、貴女あなた、皇太子とご結婚なさいな。」


マノン

「…… えっ?!」


ギヨティーヌ

「―――― マダム・ローズ! ご冗談を……」



 驚くマノン、ギヨティーヌ、アルコルたちを尻目に、マダム・ローズ・タルトは言葉を続けた。



マダム・ローズ

「当初は、ギヨティーヌさんをと考えていたのですが。そうですね〜

 ギヨティーヌさん皇太子と結婚し……」


ギヨティーヌ

「お断りします!」


マダム・ローズ

「即答ですかっ。ぅウン!」



 ギヨティーヌはかぶせ気味に拒否し、

 マダム・ローズは、少し咳払せきばらいをされ引き続き言葉を重ねる。



マダム・ローズ

帝家ていけは代々、❝犬人族❞ 系統で有ることはご存知かしら?

 マノンさんは ❝犬人族❞ の現在14歳ですね、皇太子こうたいしは16歳なんですよ。皇太子の写真はご覧になったこと有ります? ❝犬人族❞ の特徴が出てらっしゃるでしょう。」



 ジャン・ラ・キャン皇太子の写真を取り出し開いて、少女へ見せるマダム・ローズ。

 彼女は言葉も出ない。



マダム・ローズ

「先ずマノンさんには、ギヨティーヌさんの妹になってもらいます。タタン家の養女ようじょですね。

 それから ❝マハートマー❞ を補佐ほさする最高職『摂政せっしょう』や『関白かんぱく』を代々に渡りつとめてこられた ❝ラクシャク家❞ の養女になって頂きます。

 そして皇太子の婚約者こんやくしゃになります。


 大丈夫です。わたくしの娘の嫁ぎ先がラクシャク家なんですヨ、そして、❝マハートマー❞ におつかえする女官にょかんを、ただいまやっておりまして、

 わたくしも昔は女官だったんです! 夫と一緒になるに当たり ❝デーヴィーマーター❞ を下りてまいりましたが。

 心配いりません。ギヨティーヌさんのご両親さまも、すでにご承知しょうちです。」



 早口気味にまくしたてる、マダム・ローズ・タルト。

 ❝デーヴィーマーター❞ とはラ・キャン帝国の宗教である聖母教せいぼきょうの聖母教国のことであり、宗教指導者 ❝マハートマー❞ が御座おわすターラーラヤ山脈へ浮遊する宗教都市である。



ギヨティーヌ

「えぇぇぇっ?! ちちはは政略結婚せいりゃくけっこんに承知ですってぇ〜〜〜

 初耳ですわ……」

(なるほど両親ともにマダム・ローズと共闘して、わたくしをラクシャク家の養女ようじょに入れ皇太子と結婚させる計略けいりゃくを、だいぶ前からっていた訳ですのね〜)


マダム・ローズ

「ですから最初はギヨティーヌさんが、お輿入こしいれする方向で、お話しを進めていたんですよぉ。

 ところがギヨティーヌさん、居なくなったじゃないですか! 山籠やまごもりでしたっけ? なに考えてるんですかッ?!」


ギヨティーヌ

「ぐぬぬ…」

(わたくしを槍玉やりだまに上げることで、わたくしが反対できないようにするさくですか! 中々やりますわねマダム……)


マダム・ローズ

(当然ですギヨティーヌさん、貴女が何を目指しているのか、その一端いったん垣間見かいまみることは出来ました。

 ですがそれとは別のお話しです! 先ずは貴女あなたを落とさなければならないと解っていますからねッ。)


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

       ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



 ギヨティーヌ・タタンと、マダム・ローズ・タルトで展開されたフィールドはつかり合い、火花を散らすッ❕❕


 肝心かんじんの、マノン・マドレーヌをいてけぼりにして――――



マノン

「え、えっ? あの、あのっ……」


アルコル

「マノンちゃんはどうしたいの、それで良いの?」


マノン

「―――― 急に結婚なんて……」


アルコル

「そうよね、急に無理よね。

 たいへん良いお話しなのですがお断りさせて頂きます。

 (*,,ÒㅅÓ,,) キッパリ」



 ❧ゴスロリ❦冥土めいど❥アルコルちゃん★彡 は、メガネの地味目なメイドの時より強気だ。

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