72 政略結婚
○【オ・ソレイユ中央病院内、特別室。窓からは中庭フェニックスの木の上で、フェニックスが羽根を休める姿が見える】
後日、マノン、ギヨティーヌ、そしてマダム・ローズの3名がテーブルを囲み、
皆は別席へ居並ぶ形で会談は再開された。
ギヨティーヌ
「改めておうかがい致しますわ。
〈マノンさん下さい〉だなんて… 何を考えて居られるんですか? マダム・ローズ。
息子さんいらっしゃいましたっけ?」
マダム・ローズ
「いえ、娘だけです。
そうですねぇ〜 話して仕舞おうかしら。うふふ
ねえマノンさん、貴女は『人生はチャレンジだ!』とお考えになりますか? これから ❝帝立レネット魔法学院❞ に入学するのでしょう?」
マノン
「はい、周りが許して下さるのなら、そうしたいと…
させて頂きたいと考えています。」
少女は言葉づかいに気を付けながら返答を返す。まるで面接試験を受けているかのように――――
マダム・ローズ
「伝統ある、レネット魔法学院の特色をご存知かしら。
皇帝のご子息・ご息女など、ご帝家へ一貫教育を提供する教育機関としての役割を担い、その後は、
ギヨティーヌさんのような各領主貴族のお子さまも対象とする、新しい教育体制で発展してきました。
『フェニックスの眼』を持つ貴女も、新体制の一環として入学を許されたのですね。」
マノン
「はい、そうですマダム。
帝立レネット魔法学院の、ソフィー・シュー先生から推薦を頂きました。」
ソフィー・シューはギヨティーヌの幼馴染であり
り、
帝立レネット魔法学院で現在 ❝魔動蒸気機関❞ の研究を行いながら教員職に就く人物だ。
マダム・ローズ
「現在の ❝皇帝❞ も、先帝も、先々帝も、学院の卒業生にあらせられます。
そして次期 ❝皇帝❞、ジャン・ラ・キャン皇太子が学生として、帝立レネット魔法学院へご在学中でらっしゃいますわね。
ご存知でした?」
少女はさらに身をただし返答する。
マノン
「はい、存じ上げております。」
マダム・ローズ
「宿屋のお手伝いで、様々なお客さまとお話ししてらっしゃるからかしら、立ち居振る舞いもお勉強すれば修得できますね。
後は ❝覚悟❞ だけです……」
マダム・ローズは、チラとギヨティーヌを見やり、マノンへ向き治ると、
マダム・ローズ
「マノンさん、貴女、皇太子とご結婚なさいな。」
マノン
「…… えっ?!」
ギヨティーヌ
「―――― マダム・ローズ! ご冗談を……」
驚くマノン、ギヨティーヌ、アルコルたちを尻目に、マダム・ローズ・タルトは言葉を続けた。
マダム・ローズ
「当初は、ギヨティーヌさんをと考えていたのですが。そうですね〜
ギヨティーヌさん皇太子と結婚し……」
ギヨティーヌ
「お断りします!」
マダム・ローズ
「即答ですかっ。ぅウン!」
ギヨティーヌは被せ気味に拒否し、
マダム・ローズは、少し咳払いをされ引き続き言葉を重ねる。
マダム・ローズ
「帝家は代々、❝犬人族❞ 系統で有ることはご存知かしら?
マノンさんは ❝犬人族❞ の現在14歳ですね、皇太子は16歳なんですよ。皇太子の写真はご覧になったこと有ります? ❝犬人族❞ の特徴が出てらっしゃるでしょう。」
ジャン・ラ・キャン皇太子の写真を取り出し開いて、少女へ見せるマダム・ローズ。
彼女は言葉も出ない。
マダム・ローズ
「先ずマノンさんには、ギヨティーヌさんの妹になってもらいます。タタン家の養女ですね。
それから ❝マハートマー❞ を補佐する最高職『摂政』や『関白』を代々に渡り務めてこられた ❝ラクシャク家❞ の養女になって頂きます。
そして皇太子の婚約者になります。
大丈夫です。わたくしの娘の嫁ぎ先がラクシャク家なんですヨ、そして、❝マハートマー❞ にお仕えする女官を、ただいまやっておりまして、
私も昔は女官だったんです! 夫と一緒になるに当たり ❝デーヴィーマーター❞ を下りてまいりましたが。
心配いりません。ギヨティーヌさんのご両親さまも、すでにご承知です。」
早口気味にまくしたてる、マダム・ローズ・タルト。
❝デーヴィーマーター❞ とはラ・キャン帝国の宗教である聖母教の聖母教国のことであり、宗教指導者 ❝マハートマー❞ が御座すターラーラヤ山脈へ浮遊する宗教都市である。
ギヨティーヌ
「えぇぇぇっ?! 父も母も政略結婚に承知ですってぇ〜〜〜
初耳ですわ……」
(なるほど両親ともにマダム・ローズと共闘して、わたくしをラクシャク家の養女に入れ皇太子と結婚させる計略を、だいぶ前から練っていた訳ですのね〜)
マダム・ローズ
「ですから最初はギヨティーヌさんが、お輿入れする方向で、お話しを進めていたんですよぉ。
ところがギヨティーヌさん、居なくなったじゃないですか! 山籠りでしたっけ? なに考えてるんですかッ?!」
ギヨティーヌ
「ぐぬぬ…」
(わたくしを槍玉に上げることで、わたくしが反対できないようにする策ですか! 中々やりますわねマダム……)
マダム・ローズ
(当然ですギヨティーヌさん、貴女が何を目指しているのか、その一端を垣間見ることは出来ました。
ですがそれとは別のお話しです! 先ずは貴女を落とさなければならないと解っていますからねッ。)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ギヨティーヌ・タタンと、マダム・ローズ・タルトで展開されたフィールドは打つかり合い、火花を散らすッ❕❕
肝心の、マノン・マドレーヌを置いてけ堀にして――――
マノン
「え、えっ? あの、あのっ……」
アルコル
「マノンちゃんはどうしたいの、それで良いの?」
マノン
「―――― 急に結婚なんて……」
アルコル
「そうよね、急に無理よね。
たいへん良いお話しなのですがお断りさせて頂きます。
(*,,ÒㅅÓ,,) キッパリ」
❧ゴスロリ❦冥土❥アルコルちゃん★彡 は、メガネの地味目なメイドの時より強気だ。




