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令嬢ギロチン  作者: 近太夫
2の巻 令嬢立志伝
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71/74

71 呪いの数え唄

○【オ・ソレイユ中央病院の屋上】



 屋上へ出た ❝蜘蛛くも人族❞ ウォーウイルス発症の男性患者を追って、マノン・マドレーヌは階段を駆け上がり扉を開くと蜘蛛くもの糸が少女を強襲きょうしゅうする。



マノン

「ショヴスリ・ブロック!

 ショヴスリ・ブレイカー!

 ショヴスリ・カッター!」


 ガギィン! ギュゥン!

 シュキン! シュパ シュパ シュパ シュパ シュパンー!



 『フォルム・ドゥ・ショヴスリ』の、ショヴスリ・ブロックで護り、ショヴスリ・ブレイカーで両断し、

 そして側頭部でピコピコする蝙蝠こうもりの羽根は跳び、ランダムに動いて蜘蛛くもの糸は断ち切られた。



 とたんに、病院のビルは揺れ空気はよどみ、空が鉛色の雲へおおわれ、稲光いなびかりうなり。

 屋上のコンクリートがひび割れて裂け目より白き霧はあふれ ❝蜘蛛くも人族❞ の男性の身体が振動し、



蜘蛛くも人族❞ の男性患者

「ゥギャ━━━━━━!!!!!!」



 頭をきむしり一声叫んだかと思うと、

 蜘蛛くも男は常人の2倍もあろうかと云う1人の女性の影に取りかれ、髪は伸びて振りみだし、声はこの世のモノとも思えぬように変わり果て、呪いの語句をば指折り数えてあげつらう。



『赤の女王』の怨霊おんりょう

「我こそは『赤の女王』が怨霊おんりょうォォォ…


 ひとォつ、人影ひとかげが立っている

 ふたァつ、振り向けど誰もいない

 ィつ、水面みなもに顔だけ映らず

 ォつ、夜更よふけの窓に指の跡

 いつゥつ、いつしか灯りは消えて

 ゥつ、向こうで叫び声

 ななァつ、泣いて名を失い

 ァつ、やがて世間せけんに忘れられ

 ここのォつ、この道 帰れない

 ォで、遠退とおのく人が数える……」


マノン

「そんなのきませんよ!」



 … 怨霊おんりょうの『のろいのかぞうた』も、

 少女のアホ毛 ❝フェニックスのはね❞ の光りに焼かれ、フォルム・ドゥ・ショヴスリが解除されることは無い。



『赤の女王』の怨霊おんりょう

「おのれ〜

 我はもとうったえたり。人食いざめよ、れェェ!」



 怨霊おんりょうの一声で、特大な口を開き沢山たくさんの『人食いざめ』が降って来た!



人食いざめ

「シャーク! シャーク!」


マノン

「ショヴスリ・ウイング!」



 ピュイン!と鳴り、蝙蝠こうもりの翼が開いて一羽ばたき『フォルム・ドゥ・ショヴスリ』のマノン・マドレーヌは空へ舞う。



マノン

「ショヴスリ・アロー!」



 宙に踊るマノンが左手の人差し指と親指を前へ伸ばし右手で弓を引けば、頭頂部にきらめく ❝フェニックスのはね❞ のほむらは移りゆき、

 ポワン♪と光りを響かせて炎の矢が次々と飛んだ❕


 人食いざめはたちはドロップ・アイテムとなり、プリプリと蒲鉾かまぼこに蒸され、ホクホクと竹輪ちくわへ焼けてゆく。


 今度は、巨大人食いざめちて来た!!



巨大人食いざめ

「シャーク!! シャーク!! シャーク!!」


マノン

「ショヴスリ・ブーメラン!」



 ビシュゥ!と風を切って左前腕部ひだりぜんわんぶより ❝ショヴスリ❞ は、回転しながら空中へ飛翔ひしょうし、

 巨大人食いざめを頭から スパスパ スパパーン! とブツ切りにして、ショヴスリ・ブーメランはもどって来る。


 マノンは『赤の女王』の怨霊おんりょうの周りを旋回し、ちゅうね ❝月面宙返り❞ しながら ショヴスリ・アローをブツ切りざめへ打ち込めば、

 美味しそうな フワフワ半片はんぺんの出来上がり。



 錐揉きりもみに落下しながら、

 足の裏から素早く息を吸い、口をすぼめき出して、あごを引き胸を張りお腹は引っ込め腰を前へ出す、マノン・マドレーヌ。

 足は肩幅に内股で八の字へ開き膝に余裕を持たせ、両腕をX字から脇をめ引き込み、拳は肩の高さ逆八の字にかまえた。



マノン

ッ‼


 ❝宝刀一撃ほうとういちげきショヴスリき❞ チェストォォォ━━!!」



 ❝蜘蛛くも人族❞ の男に取りきし『赤の女王』の怨霊おんりょうの影へ、

 マノンは、左前腕部ひだりぜんわんぶに取り付けた『ショヴスリ』からはっする光りの突きをはなつ!!


 シュ❇バ✴バ❇バ✴バ❇バ✴バ❇バ✴━━━━❗❕❗❕



『赤の女王』の怨霊

「このうららさでおくべきかァァ……」



 そう言い残した『赤の女王』の怨霊おんりょうの姿は、光りの中で影が存在出来ないように、雲散霧消うんさんむしょうしてった。

 ❝蜘蛛くも人族❞ の男性は力尽ちからつき倒れ、

 マノンが彼の口と鼻を覆う糸のマスクをはがしサラマンダー・パウダーをかけると、引きつっていた表情は穏やかになってゆく。



貪狼どんろう

ひめぇ!」


マノン

「貪狼さま。」


貪狼どんろう

「ご無事で何よりです。」


マノン

「ありがとうございます。」


文曲もんごく

「… 我が姫よ。」


眷属けんぞく蝙蝠こうもり

「 ⎛⎝㇏^˶˃ ᵕ ˂˶^ノ⎠⎞ チスチス! チスチス!」



 メガネ男子 ⌐❍ω❍₎₎✴ 文曲もんごくはマノンの前で、赤い燕尾服えんびふくをひるがえして片膝をつき、敬意けいい忠誠ちゅうせいを示した。

 フォルム・ドゥ・ショヴスリの額当てになっている、眷属けんぞく蝙蝠こうもり も「姫、姫!」と言っている。



文曲もんごく

「か、勘違いしないで欲しい。

 姫に忠誠ちゅうせいは誓うし、命令にも従う。それが俺の役割だから。

 貴女あなたに頭を下げてる訳じゃない。❝盟約めいやく❞ にしたがい、敬意けいいを払っているだけなんだからなっ。」


貪狼どんろう

「ずるいぞ文曲もんごく。姫に敬意をあらわしたのはわたしが先だ。」



 キザな口髭くちひげにウエーブの有る長髪と薔薇そうびを揺らし、真っ白な燕尾服の貪狼どんろうも片膝ついて紫の薔薇ばらを、マノン・マドレーヌへ差し出した。



マノン

「め、命令だなんて、

 ₍₍(ฅ〃∇〃ฅ)՞՞՞ む、む、む、む、む、む、無理です〜」


文曲もんごく

ひめに、我が忠誠を受け入れてもらえないだとぉ?!……」


貪狼どんろう

文曲もんごくはともかく、わたくしは良いのでしょう? 姫。」


文曲もんごく

「姫!」


貪狼どんろう

「姫!」


文曲もんごく

「姫?」


貪狼どんろう

「姫?」


マノン

「(〃//∇//)꜆꜄꜆ ほえ〜〜」


アルコル

「ちょっと、貪狼どんろう文曲もんごくぅ。マノンちゃんを、からかってるようにしか見えないんだけどォ〜」


廉貞れんてい

「そおなの〜 マノンを2人でからかってるの〜」


マノン

「アルコルちゃん、廉貞れんていさま……」


タコ魔物 タコハチ

「騒動がおさまって、とりあえず良かったタコ C:。彡」


マノン

「そ、そうですか、良かったです。患者さまを移動させましょう。」


アルコル

「エレベーターが復帰してるわよ。」


廉貞れんてい

「廉貞が運ぶの〜 念力ねんりき〜」



 廉貞れんていは手を前へかざして、その身体は発光し、念力ねんりき〜は発動され ❝蜘蛛くも人族❞ の男性患者を持ち上げる。廉貞の声が低い訳ではない、だが「念力ねんりき〜」の時は声を低く発するのがコツらしい。



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