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令嬢ギロチン  作者: 近太夫
2の巻 令嬢立志伝
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70/74

70 血界

○【吸血鬼ヴァンピール文曲と、蜘蛛人族が居る部屋】



 霊犬れいけんが、張り巡らされた蜘蛛くもの糸をよちよちけながら、進んで征くと広い空間は現れ、

 ヒューマン型女性の上半身に下半身は蜘蛛くもの ❝蜘蛛人族❞ が1名。その他、腕が6本に脚が2本の数名の ❝蜘蛛くも人族❞ が、張り巡らされる蜘蛛の糸へ張り付き、そして全員が口と鼻を自らの糸で包み込む。

 眼では暗きもやがグルグルと渦となりウォーウイルスの発症を見せた。


 これと対峙たいじするは、

 蜘蛛くもの糸へ逆さでぶら下がり、血剣を二刀流に持つメガネ男子 ⌐❍ω❍✴ 吸血鬼ヴァンピール文曲もんごく、その後ろで蜘蛛くもの糸に巻かれた人影の数名が有るのを確認できる。



蜘蛛くもの糸に巻かれた人影

「…… ニャン…」



 そしてこの状況は、貪狼どんろうの眼には当然のこと、マノンの眼にも共有きょうゆうされた。



○【オ・ソレイユ中央病院、施設内の4階廊下】



貪狼どんろう

「ほぅこれは、見目麗みめうるわしき ❝蜘蛛くも人美女❞❤」


マノン

廉貞れんていさまの ❝念力ねんりき〜❞ でマスクを取り去るのは難しそうですね…」


貪狼どんろう

「姫、糸に巻かれた人たちを助け出しさえすれば、我ら紫微一族しびいちぞくは真の力をお見せ出来るでしょう。」


マノン

「―――― 貪狼どんろうさま、糸に巻かれた人々が壁際かべぎわなのは幸いかも知れません。

 隣の部屋に入って見ましょう。」



○【文曲と蜘蛛人族が居る部屋の、隣の部屋】



 蜘蛛くもの糸に巻かられた人々の壁1枚を挟む隣の部屋へ、2人は入ってみる。そこは準備室で狭く誰も居ない。



マノン

「ショヴスリ・アイ!」



 少女の頭頂部に ❝フェニックスのはね❞ はきらめき✨

 クゥゥンと鳴って『フォルム・ドゥ・ショヴスリ』の額当ひたいあてから左目へゴーグルが伸び、透視力は発動される。



マノン

「分かりました、この壁はボードと骨組みで仕切ってあるだけです。

 案外たやすく破れますよ。」



 貪狼どんろうの残りの持ち札は。


雪兎ゆきうさぎゆきちゃん

「 ꒰⑅꜆ᐢ ᎔ . ᎔ᐢ꜀꒱ うさうさ! うさうさ!」

 触れたものを溶解ようかいさせる酸の毒をき散らす。


アヒルのアヒちゃん

「 (∩o・Θ・) あひー! あひー!」

 ドロドロに溶けた熔岩温泉に浮く。


辰子たつのこ辰子つこちゃん

「 (╯˶ˊ◕ᴗ◕˶)╯りゅうりゅう! りゅうりゅう!」

 相手の神経を焼く程の強烈な光りを放つ。



マノン

「先ず、貪狼さまの薔薇結界ばらけっかい✿1枚を、糸に巻かれた皆さまと、壁の間へ発生させます。」


貪狼どんろう

薔薇結界ばらけっかい✿」


マノン

「次に、半球の領域薔薇結界りょういきばらけっかい✿で、糸に巻かれた皆さまを糸ごと包み込みます。」


貪狼どんろう

領域薔薇結界りょういきばらけっかい✿」


マノン

「隣のこの部屋から、ゆきちゃんさまが壁を溶かして穴を開け…」


貪狼どんろう

ゆきちゃん、出ておいで❤」


雪兎ゆきうさぎゆきちゃん

「 ꒰⑅꜆ᐢ ᎔ . ᎔ᐢ꜀꒱ うさうさ! うさうさ!」



 雪兎ゆきうさぎの木札が宙におどり、ゆきちゃん登場❤

 雪ちゃんは、触れたものを溶解ようかいさせる酸を壁に向かって発射した!

 みるみる溶けていく壁。



マノン

領域薔薇結界りょういきばらけっかい✿は向こうへ残して、

 薔薇結界ばらけっかい✿ごと糸に巻かれた皆さまをコチラの部屋へ引き入れましょう。」


蜘蛛くもの糸に巻かれた人影

「ニャン……」



 これで上手く、蜘蛛くもの糸に巻かれた人々を隣の部屋へ避難させることに成功したのだ。


 すると、フォルム・ドゥ・ショヴスリの額当ての眷属けんぞく蝙蝠こうもり が、マノンへ話しかけてきた。



眷属けんぞく蝙蝠こうもり

「 ⎛⎝㇏^˶˃ ᵕ ˂˶^ノ⎠⎞ チスチスチス、チスチス!」


マノン

「分かりました。

  さまから、文曲もんごくさまの伝言です。

 いぬさまを部屋から引き上げさせて、部屋の出入り口も結界けっかいで、封じて欲しいとのことです。」


貪狼どんろう

「かしこまりました、姫。

 いぬちゃん、戻っておいで❤


 ♡薔薇封印ばらふういん✿ に、御座います。」



 人狼ルー・ガルーの貪狼どんろうが、眷属けんぞく霊犬れいけん いぬちゃんを自分たちの居る部屋へ呼び寄せ、

 吸血鬼ヴァンピールの文曲もんごくと、❝蜘蛛くも人族❞ のウォーウイルス発症者の居る部屋に、♡薔薇封印ばらふういん✿ をほどこして仕舞えば、

 パッと、薔薇の香りに紫の花弁はなびらう。



○【吸血鬼ヴァンピール文曲と、蜘蛛人族が居る部屋】



文曲もんごく

惨劇さんげき血界けっかい』❗

 さあ、歓喜の時間です。」



 空間は赤く染まり、

 血界内けっかいないの血液が月光へ引き寄せられ、❝蜘蛛くも人族❞ たちは動けなくなり、


 吸血鬼ヴァンピールが、上半身がヒューマン型の ❝蜘蛛くも人族❞ の首筋を一撫ひとなですると、それまでウォーウイルス感染症から険しく引きつり、それでも美しさを残していた表情は、

 失楽しつらくの色に肌は粟立ち身を一度ブルッと震わせ、ただその時を待っていた。



○【文曲と蜘蛛人族が居る部屋の、隣の部屋】



 半球の領域薔薇結界りょういきばらけっかいしに、何が起こるか興味津々の表情を崩さぬマノン・マドレーヌは、その様子を水族館の如く張り付き凝視する。



貪狼どんろう

「姫にはちょっと、刺激が強いかな♡」


マノン

「何か良くないことでも起こるのでしょうか❔……

 (〃//∇//)꜆꜄꜆ ほ、ほえ〜〜」


貪狼どんろう

「吸血鬼ヴァンピールなので文曲もんごくは、吸血ですねェ〜」


マノン

「お、男の人の血も吸うんですか?…」


貪狼どんろう

「吸うんじゃないですか、ちゃんとサラマンダー・パウダーの治療もしてますから。


 そんなことより姫、蜘蛛くもの糸に巻かれた彼らを外に出しましょう。その前に ❝サラマンダー・パウダー❞ を振りかけて。」


 パラパラパラ〜



マノン

「₍₍(ฅ〃∇〃ฅ)՞՞՞ ほえ〜〜〜

 … ショヴスリ・カッター〜〜〜」


 シュキン!      シュキン!

      シュキン!      シュキン!


貪狼どんろう

「ひ、姫、危ないですよ。あ、あ、あ、あっ❤」


マノン

「すいません貪狼さま、ドキドキします;」



 文曲もんごくの吸血シーンに頬を染めるマノンは正確な仕事を果たせず、飛ぶ蝙蝠こうもりの翼も少女の心持ちを現し、

 貪狼どんろうのウェーブした長髪をかすめて定まらない。

 ショヴスリ・カッターは今、使うのは危ないので『フォルム・ドゥ・ショヴスリ』の側頭部へ収め。



マノン

「ショヴスリ・ブレイカー!」



 ギュゥン!と鳴り、左手首からひじまでの前腕ぜんわん部に装着された、三叉に別れるショヴスリの真ん中の剣が伸び、それをもってしてやっと蜘蛛くもの糸を切り終える。



蜘蛛の糸に巻かれた人影

「―――― ニャン……」



 糸に巻かれた中より最初に出て来たのは、

 黒髪マッシュより立ち上がる白い ❝猫人族❞ の耳、やはり白の長いフルテイルの10歳ほどの少年であった。



貪狼どんろう

「しっかりするんだ、少年!」



 ❝猫人族❞ の少年を抱える貪狼、しかし次に糸の中から飛び出したのは、


 ❝蜘蛛くも人族❞ の3人!

 やはり口と鼻を蜘蛛の糸でおおい、ウォーウイルス感染症に対するサラマンダー・パウダーの効力が薄く、

 手から蜘蛛くもの糸を吐きマノンを、貪狼どんろうを襲う。



マノン

「ショヴスリ・ブロック!」



 ガギィン!と鳴り左前腕部のショヴスリの三叉の両側が開いて、

 上半身はヒューマン型の男性で下半身が蜘蛛くもの ❝蜘蛛くも人族❞ の、両手から飛び出る糸を弾き、

 〈ショヴスリ・ブレイカー〉でマノンは糸を断ち切った。



貪狼どんろう

領域薔薇結界りょういきばらけっかい✿」



 貪狼どんろうは ❝猫人族❞ の少年をかばい、半球の ❝領域薔薇結界りょういきばらけっかい✿❞ で蜘蛛くもの糸を防ぐ。紫の薔薇の花弁は踊り、

 その中には当然、いぬちゃん ◤˶^㉨^˶◥ と、

 ゆきちゃん ꒰⑅꜆ᐢ ᎔ . ᎔ᐢ꜀꒱ も一緒だ。



貪狼どんろう

辰子つこちゃん、君にいたい❤」


たつの子 辰子つこちゃん

「 (╯˶ˊ◕ᴗ◕˶)╯りゅうりゅう! りゅうりゅう!」



 貪狼どんろうはタツノコの木札をちゅうへ舞わせ、たつの子 辰子つこちゃんを呼び出すと、辰子つこちゃんの伸びるつの点滅てんめつする……

 バギッ❕っと目の前は真っ白な光りへ呑まれ、神経を焼く程の強烈な光りを放った。


 2人の ❝蜘蛛くも人族❞ は昏倒こんとうしそこへ倒れている。だが、マノンともう一人の、上半身ヒューマン型男性 ❝蜘蛛くも人族❞ 患者の姿はもう無い。

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