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令嬢ギロチン  作者: 近太夫
2の巻 令嬢立志伝
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62/74

62 生物兵器

マダム・ローズ

「そうですか、ギヨティーヌさんもそうおおもいになりますか… これは、

 第3次世界大戦を起こそうとしているのかも知れませんね。

 非戦闘員ひせんとういんである一般住民に被害者が出る戦争が、世界大戦ですから。


 第1次世界大戦は毒ガス。第2次世界大戦は爆撃。

 そして、第3次世界大戦は生物兵器せいぶつへいきなのかも知れません…

 マノンさんはどう思いますか?」


マノン

「わたしですか?…

 ❝世界大戦❞ 以前の戦争は、どうだったんでしょうか?」


マダム・ローズ

「❝世界大戦❞ 以前は、

〈これからココで戦争をやりますから、どいて下さい〉と言って、一般の住んでいる人たちに移動してもらい、兵士同士が戦争をやっていましたね。

 移動させられるのも大変ですが、ニュース速報で戦況せんきょうが伝わって、応援したり、悲しんだり。

 今のスポーツ選手のようなヒーローになって、人気の出た司令官しれいかんがいたり。


 今でも、当時人気のあった司令官の名前をかんする商品が売っていますよ。」


ギヨティーヌ

(―――― 前世ぜんせでも有りましたわね、『ナポレオン』とか、世界各国の提督ていとくをラベルにしたシリーズの商品が!)


マノン

「そうなんですか……」


マダム・ローズ

「あと重要なのは、お金です。

 兵器開発へいきかいはつが専門の一族がいて、その中の一つの兵器が戦争以外にも使えたので大金持ちになりましたね。

 『◇◇賞』と一族の名前を付けた賞を、各方面へ世界的に出しています。」


マノン

「『◇◇賞』は兵器開発からなんですか?!」


マダム・ローズ

「そうですね。

 他には、国が売り出す ❝公債こうさい❞ で、桁違いな大金持ちになった一族もいますね。

 しかも戦争の情報を操り、勝った国が負けたかのように思わせてです!

 この時の ❝公債❞ はお金の返済がない代わりに、永久に利子りしがもらえる物だったのですが。


 ❝公債こうさい❞ を発行している国が戦争で負けたら、この ❝公債❞ が売り買いされている価格は、高くなる? 安くなる? どっちでしょうマノンさん。」


マノン

「安くなります。」


マダム・ローズ

「そうです、安くなります。では、なぜですか?」


マノン

「国が無くなるかも知れません。」


マダム・ローズ

「そうですね、戦争に負ければ国が無くなるかも知れませんね――――

 無くならないまでも、利子が払えなくなるかも知れません。


 このように、

 ❝公債こうさい❞ をワザと売り、その国が〈戦争に負けた?〉とみんなを勘違かんちがいさせて、紙クズ同然に安くなった ❝公債❞ を大量に買い戻しました。

 実は〈戦争に勝っていた〉と知っていたから出来たんですが。これで ❝公債❞ 価格は暴騰ぼうとうして莫大ばくだいな大金持ちになったんです!


 これを ❝昔おこったこと❞ と思ってはいけません。今も情報操作じょうほうそうさは当たり前に行われているのだと、知っておいてください。」


ギヨティーヌ

「戦争はお金になるんですのね〜」

(前世で読んだ ❝兵法書へいほうしょ❞ でも、実際に戦う戦場側から書かれていますから、〈お金がかかるから短くやれ〉いやむしろ〈お金がかかるから戦争は止めておけ〉くらいの勢いですのに。

 1番良いのは『戦わずして勝つ』ことと書いてありますから……)


マノン

「戦争が無くならないはずですね!」


マダム・ローズ

「生物兵器が、お金儲かねもうけに使われなければ良いのですけれど……


 ではあえて、戦争に意味があるとしたら何でしょう。

 ハイ、ギヨティーヌさん!」


ギヨティーヌ

「…〈戦争は政治の延長〉ですわ。

 外交の1手段で、自国に有利な条件を引き出すのが目的です。

 期間は短く、戦争する側からすればお金がかかり過ぎますもの。戦死者も出ますし…

 後は、自国内で戦争をやってはいけません。戦争が長期化すれば色々と、政治的に支持が得られなくなるかも知れません。


 ❝上・中・下❞ で言うなれば、

〈戦わずして勝つ〉のが上策。

〈外交で勝つ〉のが中策。

〈戦争で勝つ〉のが下策。


〈戦争で勝ち〉が、下の上。

〈戦争で引き分け〉が、下の中。

〈戦争で負け〉が、下の下。ですわね!


 ただし、有利な条件で政治目的を達成できそうなら戦争は合理的ごうりてき、と言う考えも有ります。

 その際、忘れてなりませんのは… 勝てると踏んで始めた戦争でも、予想どおりにいかず負けるかも知れない、と言う危険性です。負ける時は、負けるべくして負ける。

『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』と、申しますからね!


 それと〈ワザと負けたと見せかけて最後に勝つ〉と言う計略けいりゃくが有りますから、勝ったと思って図に乗ってはいけません。

 思わぬ伏兵ふくへいが潜んでいるかも…『勝ってかぶとめよ』深入りは禁物ですわ!」

(… あっ、しまった。調子に乗って話し過ぎましたかしら……)


マダム・ローズ

(ギヨティーヌさん……

 山籠やまごもりに行くと、置き手紙1枚を残して姿を消す1年前。

 剣の先生を吹き飛ばした辺りから、教えてもいないことをペラペラ喋りだしたり、石を素手で割ろうとしたり。言動と行動が可笑しくなりだしたんですよね…)

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