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【書籍四巻】定年後は異世界で種馬生活【コミカライズ】  作者: 街のぶーらんじぇりー【種馬書籍四巻/コミカライズ】
第六部 ハーレム満喫

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第417話 そういう気持ちはアリマセン……よね?

 そういう大切な場所へ初めて触れたのであろう男の手に、メルセデスの声は完全にテンパってしまっている。けど、みんなを守るバリアを緩めないのは、さすがに優秀な魔法使いだな。よし、このままいけばなんとか耐え切れるだろう。ブレスが途切れたその時が、お前の死ぬ時だぜ、トカゲくん。


 そんなことを考えて勇気を奮い起こした俺は、無意識に右掌の指に力をこめてしまったようだ。えもいわれぬふにゅりとした絶妙の手触りが、俺の手に伝わってくる。


「あああぁん! こ、この破廉恥な種馬男が、私の無垢な、む、胸を……」


「あ、も、申し訳ありません……」


 平謝りしつつも、手を離すわけにはいかないぞ。たった今、パーティーの安全は、メルセデスの魔力が維持できるかどうかにかかっているのだからな。決して右手に伝わる、手のひらサイズのミカエラよりちょっと小さいプッチ◯プリンの感触を、俺が楽しみたいからというわけではないぞ。自慢の暴れん坊将軍が元気になってしまっているのは生理現象だ、仕方ないのだ。


「だけど、魔法は絶好調ですわね。これなら、しばらくは頑張れそうですわ!」


 気づけば彼女の頬は少女らしい血色を取りもどし、だらだら首筋を濡らしていた冷汗も、今はすっかり引いている。多少揺らぎを見せていた水バリアも安定して、厚みを増してる。リントヴルムはまだブレスを吐き続けているけど、水膜越しでもびんびん伝わってきた炎熱が、やや緩んできたようにも感じられる。


 そしてようやく、リントヴルムと俺たちの我慢比べに、決着がつく時がきた。


 いつまでも続くかと思われた炎の勢いが徐々に失われ、最後に小さな一塊の炎をちょろりと吐いて、枯れる。


「よしっ、今しかないわ。いくわよイレーネっ!」


「はいっ、奥様!」


 中剣を振り上げたイレーネさんが、残った左前脚に向かい、大きく回り込んで攻撃のチャンスをうかがう。すでに右前脚をグレーテルに奪われているリントヴルムは、怒りの咆哮を上げてイレーネさんにその牙を向けた、その時。


「はあああっ!」


 そうさ、イレーネさんはおとり、真打ちはもちろんグレーテルだ。鋭く高音の気合とともに、魔銀の斧が大上段から振り下ろされると、その刃面からプラチナ色の光束が、まるで扇のように放射される。


 その光が消え、斧の主が小さく息を吐くと、一メートル半位もあろうかという地竜の首がズルリと滑るようにずれて……その醜悪な頭部が、ぐしゃっというような音を立てて迷宮の床に落下した。


「見たわね、ルッツ? 私の戦いはどうだった?」


 我が愛しき幼馴染が、グレーの瞳をキラキラと輝かせ、平らな胸を誇らしげに張りながら、俺のほうを振り返った。


    ◇◇◇◇◇◇◇◇


「う~ん、ちょっと読み違えちゃったわね。竜のブレスにはある程度準備時間が必要だと思っていたのだけど……いきなり吐いて来たのよね」


「たぶん、直前にゲシュペンストたちが侵入したから、警戒していたんじゃないのかな」


「そうかもね。おまけにあのブレス、ものすごく持続時間が長かったわ。メル様がこらえてくれなかったら大変なことになってたところね。メル様、素晴らしい防御魔法でしたわ」


 グレーテルの手放しの賛辞にぐっと胸を張ろうとした高慢皇女が、何かに気づいて眉をつり上げる。


「いっ、いつまで卑しき手で触っていますのっ! 無礼、いや、不敬ですわっ!!」


 あ、しまった。ボスが片付いたというのに俺はそのまま皇女の背中にぴったりとへばりついて……右手が彼女のちっぱいを、しっかりホールドしたままだったのだ。


「いいからもう、放しなさいっ!」


 強引に振りほどかれたと思った次の瞬間、俺の右頬が、ばちーんと派手な音を立てた。どうやらお転婆皇女様の全力ビンタを食らったらしい。お姫様にしては腰がグッと入った、見事な一発で……たぶん華奢な手形が、俺の顔にはしばらく残りそうだ。


「いたた……」


「帝国皇女の高潔な誇りを蹂躙した罪は重いですけど……こ、これで許して差し上げますわ!」


 殴られた上に叱られるってのは実に納得がいかないけど……このくらいでチャラにしてくれるってのなら、それもいいか。そんなことを思って微妙な表情を作る俺に、突然彼女が向き直って口角をキュッと上げた。


「でも、貴方の魔力は、とても心地よかったですわ!」


 とびきりの笑顔を向けられて、一瞬俺の心臓がギュッと収縮する。えっ……こんなイヤな奴なのに、なぜ今だけはこんなに可愛いんだろう。


 自分の言いたいことだけをいい捨てて、プイッと後ろを向くや侍女さんの方に走って行ってしまったメルセデスの方をぼうっと眺める俺に、妻たち愛人たちが生暖かい視線を向けてくる。


「あ〜あ、また惚れっぽいルッツの悪い癖が出そう……」

「仕方ありませんね、これがルッツ様ですから」

「また側室が増えて……いえ、皇女様じゃ側室にするのは難しいのではっ!」

「そうなると、愛人になっちゃうのでしょうかぁ?」


 いや、なんで君たちは、俺がメルセデスと「する」っていう前提で話してるのよ? さすがにあの高慢皇女は、ないわ……と信じたい。


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