2.「再会とはじめまして?」
人を掻き分け、間を抜けるように進む。
見失わないようにかつ離れないように、後ろについて行く。
幼馴染だという確証があった訳じゃない。
ただの勘違いかもしれない。
それでも……
「知らないまま後悔するよりマシだ」
逸る気持ちを抑えつつ、駆け出していた足はさらに加速していく。
人気が多い中心街から離れ、壁沿いに進んでから数分が経っていた。
右を見て、左を見て、一息つく。
(……完全に見失った)
追いかけていたがいつの間にか姿は消えていた。
更にさっきの広場からはかなり離れてしまったせいで道に迷ってしまい、途方に暮れていた。
「…どうしたものか」
「なにかお困りかい?」
右の耳元で囁く声にびっくりし、咄嗟に手で押えて声の主から離れた。
そこに立っていたのは自分と同じ位の歳の子で金髪に、赤い目をしている。
「あはは、ごめん。驚かせちゃったかな、ボクの名前はベルって言うんだ。よろしくね」
その子は自己紹介すると、右手を前に差し出した。
こちらもベルの差し出した手を握り返す。
「俺は隼瀬結斗。よろしくな、えーと…ベル君」
「ボクは女の子なんだけどなー。でも君とは歳も近そうだし普通にベルだけでいいよ」
短髪に半ズボンのような服装、胸も……だからてっきり男の子だと思ってしまった。
「ご、ごめん。お、俺も結斗だけでいいよ」
女の子だと思うと急に緊張してしまい、握った手をすぐ離してしまう。
「で、ユイトは何で困ってたんだっけ?」
「……女の子を探しているんだ。その人が、死んだ幼馴染に似ていて、もしかしたらと思って…」
幼馴染と確定していないのに、その人を探していると言われたら誰だって引くだろう。
それなのに…
「分かった。一緒に探そ!」
「無理なら無理でって、即答!?」
「だって大切な人なんでしょ?だったら2人で探した方が早く見つかるかもしれないしね」
「…ありがとう」
「そう言えばその子の特徴とかない?」
「えっと…ロングの茶髪に碧眼、背は俺より少し小さいはず…」
街を歩きながらベルに探している女の子の特徴を言っていた。
それでも、よく見れなかったから少し自信がない。
「ふーん、じゃあまずは大広場から探してみよ!」
俺は相槌を打ち、ベルについて行くことにした。
歩いてから20分くらいが経つと大きい円形の広場が見えてきた。
日は少し傾いていたが当分はまだ明るいだろう。
真ん中には噴水のようなものがあり、賑やかだった。
ゆっくりと向かっていたが、少し先の方で探していた女の子が見つけた。
いてもたってもいられず走り出していた。
「待ってくれ詩音!!」
目の前にある階段を下り、女の子を呼び止めた。
「ずっと…ずっと死んだと思っていた。あの日俺、なんも出来なくて、一人で泣いて…助けたかったのに助けられなくてごめん!」
気が付けばこの3年間、言えなかった思いを全部吐き出していた。
「でも詩音が生きててほんとに──」
「ごめんなさい。確かに私の名前はシオンだけど……あなたは誰なの?」
「……は?」
その言葉1つで、俺は頭が真っ白になっていた。
「…なーんだ、幼馴染じゃなかったのか。感動の再会を見れると思ったのにさ」
後ろからゆっくりと近づく足音が聞こえた。
「……ベ…ル…」
「最高の笑顔になったその表情をボクのコレクションにしようと思ったのになー」
手には大きなナタを持ち、距離が縮まる。
「しょうがないよね、じゃあね」
そう言い残し、目の前まで笑顔を向けたまま飛びかかってきた。
恐怖で体は動かず、抵抗出来ずに刃は首元まで届き──
─気づいた時には、俺の体は広場に落ちていた。




