8 リードの秘密 その2 ~船長が鼻血を出したわけ~
「船長、あの……」
メアリーちゃんからの失恋がほんの少しだけ癒えた頃、カインの元にやってきたのはコック長だった。
「どうした」
「ちょっと気になることが……」
コック長が告げに来たのはリードのことであった。
「最近食事を残すことも多くて……。どんなに具合が悪くても完食していたデザートも、最近手を付けないし、何かの病気だったら心配だなぁと」
自分も最近は船室に引きこもりきりだったので、リードを含む船員との食事はしばらくなかった。
「私が聞いてもうんともすんとも言いやしねぇし、キャプテンにだったらなにかいうかなぁと」
言葉は交わしているが、近頃は事務連絡が主だった。それどころかリードの顔もロクに見ていない。
「……俺は本当に馬鹿だ」
もしリードが病を患っていたとしても、彼はそれを絶対に口にしないだろう。
拾われた負い目があるのか、リードは常にカイン達を一線を引いていた。それを見抜いた先代の航海士から、ちゃんと見てやれと言われてきたのに、今の今まで完全に失念していた。
気がつけば、カインは船長室を飛び出していた。先代のようにもしリードがいなくなったらと思うと、いても立ってもいられなかったのだ。
そのままリード専用の寝室に飛び込めば、リードは……。
「……ノック、しろって言いましたよね」
着替えの途中だった。だがその体は男と言うよりもむしろ……
「おっぱい!」
「他に言いようがあるでしょう! それに指ささないでください!」
「お…ぱい」
そしてキャプテンは、鼻血を出しながら失神した。




