第38話:タワーディフェンス、あるいは『レベル上げ』の自動化
密林の中に突如出現した、七色に輝くゲーミング・タワー。
案の定、王都のルル王女が差し向けた「先行調査隊」という名のカモ……もとい、騎士団がやってきました。
「リ・センセン、敵は百名を超えているぞ! しかも魔導師の支援までついている。籠城するのか!?」
「イヴさん、籠城なんて言葉は12.0にはねえよ。これは『放置狩り』だぜ」
リ・センセン、最新の防衛ギミックと弾幕の力で、王都の精鋭を「効率的」に処理します!
※弾幕密度300%! 3300文字超のノンストップ・タワーディフェンス回です!
「——全軍、停止ッ! 報告にあった『光る巨塔』は、あれか……!?」
王都近衛騎士団、第三先行調査隊の隊長・カイルは、密林の開けた場所にそびえ立つ異常な光景を前に、馬を止めた。
そこにあるのは、石と木の文化で成り立つこの世界には、あまりにも不釣り合いな、漆黒の金属と七色の光(LED)で構成された巨大な塔だった。塔の最上階には、巨大な液晶パネルのようなものが設置され、そこには見たこともない文字が踊っている。
『祝・チャンネル登録者数 100万人突破!』
「……リ・センセン。あれ、何て書いてあるんだ? 王都の文字じゃないようだが、どこか不吉な予感がするぞ」
拠点の最上階テラスで、リ・センセンは特注のゲーミングチェアに深く腰掛け、コーラのような漆黒の飲料を煽りながら、空中に浮かぶホログラム画面を操作していた。
「あー、あれ? ただの宣伝だよ。……さて、家人们(リスナーの皆さん)。『密林タワー・防衛戦』の生中継、スタートだぜ!」
【1.8mのメッシ:キターーー!! 守城戦だ!! センセン、右から回り込もうとしてる一隊がいるぞ!】
【隣の王さん:見てよあの騎士たちの顔www『何だこの光る棒は?』って顔してるw】
【物理の張先生:リ・センセン、第4象限に設置した『誘導熱線タレット』の出力チェックは終わったか? 森林火災を起こさない程度に調整しろよ】
【課金王:ハハハ! 敵の数に応じてギフト追加だ! ギフト:『対人型・感電トラップ』投下!!】
(システム:超弩級ギフト『サンダー・グリッド・フィールド』が投下されました!)
「旦那、いいタイミングだ! ……よし、アンケートだぜ。最初の『洗礼』はどうする?
A:超高圧放電で気絶させる
B:植物の蔓で吊るして『さらし首』にする」
【(アンケート結果:A案 85%!)】
「——よし、効率重視で行こう。……イヴさん、出番だ。その聖剣を『避雷針モード』に切り替えろ」
「リ、リ・センセン……! また私の聖剣を、……そんな便利道具のように……っ! だが、あの方々の安全のためには、抵抗する気を削ぐのが一番か……」
イヴが溜息をつきながら、七色の重剣『ソラリス・レガシー』を塔の先端にある魔力集束器にセットした。瞬間、聖剣から漏れ出る七色の魔力が、ギフトで実体化した電力網へと変換され、塔の周囲の地面に目に見えない『電磁フィールド』が展開される。
「——突撃ッ!! あの不敬な塔を破壊し、リ・センセンを捕らえよ!!」
カイル隊長の号令と共に、百名の騎士たちが一斉に抜刀し、塔へと走り出した。
彼らは信じていた。数千年の歴史を持つ王都の剣技と、自分たちの勇気が、目の前の奇妙な建物を粉砕すると。
だが、彼らが塔から五十メートルの『デッドライン』を越えた瞬間。
バチィィィィィィィンッ!!!
「——ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!?」
「な、……体が、震えて……動けな……っ!!」
青白い電光が地面を走り、騎士たちの銀色の甲冑が、最高効率の『導体』へと変わった。一人、また一人と、騎士たちがダンスでも踊っているかのように激しく震え、白目を剥いて地面に崩れ落ちていく。
【隣の王さん:うわあああ! 全員感電ww エフェクトが完璧に 12.0 の正式服だw】
【1.8mのメッシ:見て、隊長の馬だけ逃げてったぞwww 置き去りww】
【物理の張先生:電圧の設定が完璧だ。心停止させず、神経系だけを一時的に麻痺させている。リ・センセン、なかなかのテクニックだな】
「……ははっ、これが『サンダー・グリッド』の威力だぜ。……さて、残った魔導師の連中はどうする? あいつら、後ろで必死に『魔法障壁』を唱えてるみたいだけど」
リ・センセンは、画面の隅に表示されている魔力反応を冷徹に指差した。
騎士たちが全滅したのを見て、後方に控えていた魔導師たちが、慌てて巨大な火球や氷の矢を塔に向けて放とうとしていた。
「リ・センセン、危ない! 奴らの魔法合唱だ。この塔の装甲がいくら硬くても、あれだけ集中すれば——」
「イヴさん、正式服の PVP(対人戦)で、詠唱の長い魔法がどれだけ無意味か……教えてやるよ。……ドローン、全機『カミカゼ・ハック』開始!」
リ・センセンが操作画面をフリックすると、空中に浮遊していた数機のドローンが、凄まじい速度で魔導師たちの頭上へと突っ込んだ。
ドローンから放出されたのは、攻撃用の爆薬ではない。
——超広帯域の『魔力ジャミング電波』。
「なっ……魔法が……霧散する!? 詠唱が、……構築できない!?」
「空飛ぶ鉄の虫が……私の魔力回路を掻き乱しているのか!?」
魔導師たちがパニックに陥り、杖を振り回す。だが、12.0の正式服プレイヤーにとって、詠唱を必要とする魔法使いは、ただの「歩くマト」に過ぎない。
【課金王:ハハハ! 完封だな! 圧倒的なテクノロジーの暴力! 気分がいいぜ!】
【匿名リスナー001:センセン、とどめは何にする?】
「とどめ? いや、殺しはしねえよ。……こいつらは『労働力』だ。……家人们、見てろよ。……システム、全自動拘束ポッド、射出!」
塔の側面から、数十個の金属製のカプセルが弾丸のように放たれ、地面に転がる騎士たちを一人ずつ『梱包』していった。
「——掃討完了。タイム、三分二十秒。……イヴさん、お疲れ。……さあ、これからこいつらに、この拠点の周りの『草むしり』と『道路舗装』を手伝ってもらおうか。……もちろん、無給でな」
リ・センセンは、カメラに向かって凶悪な笑みを浮かべ、サムズアップを送った。
それは、英雄の帰還ではなく、最悪の『地主』が異世界に誕生した瞬間だった。
【1.8mのメッシ:ブラック企業・密林支部、設立おめ!!www】
【隣の王さん:ルル王女、今頃泣いてるぞこれww】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
第38話、まさに『一方的な蹂躙』回でした!
リ・センセンの拠点防衛システム、エグいですね(笑)。
せっかくの騎士団の突撃も、電磁フィールドの前ではただのダンス大会に。
そして捕まった騎士たちは、そのまま拠点の整備スタッフ(奴隷)に。
リ・センセンの『異世界効率化計画』は、止まる所を知りません!
【作者からのお願い】
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4月18日の50話到達に向けて、このまま「連載RTA」を続行中!
第39話は、労働力(騎士団)を使った領地拡大、そして王都を震撼させる『リ・センセンの声明』。
お楽しみに!
それでは、第39話でお会いしましょう!




