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第36話:空飛ぶバグ、あるいは王女への『物理的』な挨拶

アンケートの結果、リ・センセンが選んだのは「正面突破の空中強襲」!

ギフトで実体化した飛行ボードと、イヴさんの聖剣から漏れ出る七色の魔力。

それは騎士団の目には、神の怒りか、あるいは世界の終わりの兆しに見えたことでしょう。

「リ・センセン、これ本当に止まれるんだろうな!?」

「止まる? 12.0の移動スキルに『減速』なんて概念はねえんだよ!」

全リスナーが見守る中、リ・センセンが王女ルルの天幕へ向かって、音速でダイブします!

※今回も弾幕増量中! 3200文字のノンストップ・アクションをお届けします!

「——全方位、迎撃用意ッ!! 弓兵隊、放てぇぇ!!」


王都近衛騎士団の指揮官が、裏返った声で叫んだ。

 密林の緑を背景に、朝日を背負って突進してくる『光り輝く何か』。それが人間……あるいは狐人族であると認識するまで、彼らには数秒の時間が必要だった。


ヒュンヒュンヒュンッ!! と、空を埋め尽くすほどの矢の雨が、リ・センセンたちへと降り注ぐ。


【1.8mのメッシ:うおっ、矢の数がヤバい! 弾幕ゲーかよww】

【隣の王さん:センセン! 避けろ! 蜂の巣になるぞ!!】

【物理の張先生:計算上、あの速度で移動している物体に矢を当てるのは至難の業だ。……だが、弾幕の密度がそれをカバーしている。リ・センセン、障壁を展開しろ!】


「避ける? 効率が悪りぃな。……家人们、見てろ。12.0の『パッシブ・スキル』ってやつをよ!」


リ・センセンは飛行ボードの上で、不敵に笑いながら片手を横に振った。

 彼の周囲には、地下遺構で吸い出した『古代データ』の残滓が、半透明の幾何学的なシールドとして展開されている。


パキパキパキッ!! と、空中で矢が次々と弾け飛ぶ。

 それは物理的な防御というよりは、リ・センセンの周囲の『空間の判定』そのものが書き換えられ、飛来物が接触した瞬間に「無効化」されているようだった。


【課金王:ハハハ! まさにチート! 運営がキレるレベルの無双だな!】

【匿名リスナー777:イヴさんの顔が風圧で大変なことになってるぞww スクショ撮ったわw】


「リ……リ・センセン! 矢が当たっていないのは助かるが……目の前! 目の前に天幕が迫っているぞ!! このままでは激突する!!」


イヴがリ・センセンの腰に必死にしがみつきながら叫ぶ。

 彼女が手にする七色の聖剣『ソラリス・レガシー』は、彼女の意思とは無関係に、周囲の魔素を吸い上げて過剰なまでに発光していた。今や彼女たちは、密林に落ちる流星そのものだ。


「安心しろイヴさん。……正式服の着地ランディングは、いつだって『衝撃波』で解決するもんだ」


リ・センセンは天幕の真上で、飛行ボードの出力を限界まで逆噴射させた。

 「——全リソースを『着地判定』へ転換! システム、座標固定ッ!!」


ドォォォォォォォォン!!!


王都騎士団のキャンプの中心で、巨大な爆発音が響き渡った。

 砂塵が舞い上がり、衝撃波によって周辺のテントが次々と吹き飛ばされる。

 駆け寄ろうとした騎士たちは、目を開けることすらできず、地面に這いつくばるしかなかった。


やがて、ゆっくりと砂塵が収まっていく。

 クレーターのように凹んだ地面の真ん中で、リ・センセンは片手をポケットに突っ込み、もう片方の手でドローンカメラの角度を調整しながら、平然と立っていた。


その隣には、足がガクガクと震え、今にも膝をつきそうなイヴ。そして彼女の手には、この世のものとは思えない輝きを放つ七色の剣。


「……よぉ、ルル。……朝の散歩にしては、少し賑やかすぎたか?」


リ・センセンの視線の先。

 衝撃波で半壊した豪華な天幕の中から、顔を真っ青にして、震える指でリ・センセンを指差す一人の少女がいた。

 王女、ルル・ド・王都。彼女の周囲を固める近衛兵たちは、リ・センセンの放つ異様なプレッシャー(と、背後でブーンと飛んでいる不気味なドローン)に圧倒され、一歩も動けずにいた。


「き、……貴様……リ・センセン!! どこまで私を愚弄すれば気が済むのですか! 聖域を荒らし、挙句の果てに私の陣営を破壊するなど……っ!」


「荒らした? 心外だな。俺はただ、地下で『忘れ物』を回収してきただけだぜ」


リ・センセンは、カメラのレンズをルルの顔にズームさせた。


【1.8mのメッシ:ルルちゃん、今日もいいリアクションww 100点満点だぜw】

【隣の王さん:見てよ、あの近衛騎士たちの顔。完全に『バグに遭遇したデバッガー』みたいな顔してるw】

【物理の張先生:リ・センセン、彼女の背後にいる魔導師たちが、君の『紋章』を解析しようとしている。……無駄だとは思うが、念のためジャミングを強化しろ】


「ルル、お前に一つ忠告だ。……お前らが『神』と呼んで崇めてる奴らはな、意外と……適当だぜ。バックアップはゴミ溜めに捨てるわ、バグは放置するわ。……そんな奴らの言うことを聞いてるより、俺の配信の『会員メンバーシップ』にでもなったほうが、よっぽど有益な未来が見れるぜ?」


「何を……わけのわからないことを……! 衛兵! 衛兵は何をしているのです! この不敬者を捕らえなさい!!」


ルルの叫びに、ようやく我に返った騎士たちが剣を抜いて一斉に飛びかかってくる。

 だが、リ・センセンは一歩も動かなかった。


「——イヴさん。……『新装備』の試し斬り、やっていいぜ」


「……ふぅ。……承知した。リ・センセン、貴様の無茶には後でたっぷりと説教をするが……今は、この溢れ出す力を抑えるので精一杯だ」


イヴが、七色の重剣をゆっくりと横に一振りした。

 ただ、軽く振っただけだった。

 だが、その瞬間——剣から放たれた『虹色の斬撃』が、空間そのものを切り裂き、突撃してきた騎士たちの武器を、紙細工のように一瞬で蒸発させた。


「な……っ!? 私の、ミスリルの剣が……!?」

 「馬鹿な……振っただけで……空気が、燃えているのか!?」


静まり返る戦場。

 イヴ自身も、自分の引き起こした現象に目を見開いている。

 リ・センセンは、その様子を満足げにライブ中継しながら、視聴者に向かってウィンクを送った。


「家人们、見たか? これが12.0正式服仕様の『パッチ適用済み・イヴさん』だ。……さて、ルル。……交渉の時間だ。……お前、俺の『拠点』を作るための土地、余ってねえか?」


リ・センセンの傲慢な要求が、王都軍の真っ只中で響き渡る。

 それは、異世界の歴史が正式に『バグ』によって書き換えられ始めた瞬間だった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


第36話、まさに『暴力的な交渉』回でした!

リ・センセン、着地と同時に衝撃波をぶっ放すあたり、本当に周りの迷惑を考えていません(笑)。

そしてイヴさんの聖剣『ソラリス・レガシー』。

一振りでミスリルを蒸発させるその威力に、王都騎士団は戦意喪失寸前です。

ルル王女、果たしてリ・センセンの「土地よこせ」という無茶苦茶な要求に、どう答えるのでしょうか?


【作者からのお願い】

「イヴさん無双、気持ちいい!」「ルルちゃんの困り顔、最高ww」と思った方は、ぜひ**ブックマーク(BM)と、下の評価ボタン(★★★★★)**をポチッとお願いします!

皆さんの評価が、リ・センセンが手に入れる『新拠点』の豪華さを決めます!


4月18日の50話到達に向けて、今日も「不眠不休のデスマーチ」状態で連載中!

第37話は、王女との緊迫した(?)交渉、そして新たな勢力の影。

物語はさらに予測不能な方向へ……!


それでは、第37話でお会いしましょう!

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