第35話:凱旋と、荒れるコメント欄(弾幕の嵐)
神の武器『ソラリス・レガシー』を手に入れ、地獄の地下遺構から生還したリ・センセン。
しかし、地上で彼を待っていたのは、感動の再会……ではなく、さらにカオス化したリスナーたちの『要求』でした。
「リ・センセン、武器だけ強くて本人のレベルが低いのは『映え』ないぞw」
「家人们、わかってるって。……じゃあ、ちょっと『運営』の度肝を抜く帰還を見せてやるよ」
※今回は弾幕密度200%! 視聴者参加型のカオスな展開でお届けします!
「眩しっ……。おい、イヴさん。やっぱり太陽の光は目に毒だな。12.0のダークモード設定が恋しいぜ」
リ・センセンは、崩れかけた遺跡の入り口から密林へと足を踏み出し、右手で目を覆った。地下の青白い冷光に慣れた目には、異世界の朝日があまりにも暴力的だった。
彼の背後からは、まだ自分の手にある『七色の重剣』の重みに戸惑っているイヴが、フラフラとした足取りで続いてくる。
だが、リ・センセンの視界は、地上に出た瞬間に爆発した「通知」によって埋め尽くされていた。
【1.8mのメッシ:うおおおお!! 生還おめ!! センセン、生きてたか!ww】
【隣の王さん:見てくれよこのイヴさんの剣! エフェクトがバグって空間が歪んでるぞ! 運営、これ放置していいのか?w】
【物理の張先生:リ・センセン、右腕の火傷はどうだ? データの過負荷で神経系が焼かれたはずだ。すぐに止血と魔力洗浄を行え】
【匿名リスナー444:おい、それより見ろよ! 密林の外に『騎士団』のキャンプが設営されてるぞ。ドローンを回せ!】
「……ああ? 騎士団だと?」
リ・センセンは眉を潜め、空中に浮かぶドローンの操作権をリスナーへ一部開放した。
「よし、家人们。誰か適当に偵察してこい。ただし、墜落させるなよ。ポイント高いんだからな」
【(システム:リスナー『1.8mのメッシ』がドローンの操縦権を獲得しました!)】
【1.8mのメッシ:よっしゃ! 任せろ! 爆速で行くぜ!!】
画面が激しく揺れ、ドローンが密林の木々を縫うようにして急加速する。画面の端には、リスナーたちの興奮したコメントが滝のように流れていく。
【隣の王さん:メッシ、運転荒すぎww 酔うわ!!】
【課金王:ハハハ! もっと近づけ! 王都の奴らがどんなマ抜けな顔してるか見せてくれ!】
ドローンが捉えた映像には、密林の境界線に整然と並ぶ、白銀の甲冑を纏った一団が映し出されていた。その旗印は、紛れもなく王都の近衛騎士団のもの。しかも、中心には豪華な天幕が張られ、そこにはリ・センセンも見覚えのある『あの小娘』の姿があった。
「……リ・センセン、あれは……ルル殿下の直属部隊ではないか!? なぜ、こんな場所まで……。やはり、地下遺構の異変を察知されたのか?」
イヴが表情を硬くし、反射的に七色の重剣を構える。剣から放たれる圧倒的なプレッシャーが、周囲の原生林を震わせ、鳥たちが一斉に飛び立った。
「いや、違うな。……家人们、見てろ。奴らの視線は遺跡じゃなくて、……『俺の配信』に向いてる」
リ・センセンは冷徹に分析した。
王都の天幕の前には、巨大な水晶球が設置され、そこにはリ・センセンの生放送画面が(解像度は低いが)映し出されていた。この世界の魔導師たちが、リ・センセンの『ドローン信号』を逆探知し、ライブ中継を傍受しているのだ。
【1.8mのメッシ:うわっ! 逆探知されてる!? センセン、これ『垢バン』の危機じゃねえか?】
【物理の張先生:論理的には、この世界の魔法体系で配信信号を完全に解析するのは不可能だ。……だが、王都の魔導師たちが『現象』として観測しているのは間違いない】
「ははっ、面白い。……運営じゃなくて、ゲーム内のNPCが配信を見て対策を立ててるってか。これこそ正式服にはない『神展開』だぜ」
リ・センセンは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
普通なら、ここで隠密行動に移るか、逃走するのが正解だ。
だが、コメント欄はすでに『お祭り騒ぎ』を求めて加速していた。
【隣の王さん:センセン、逃げるなよ! ここはド派手な『凱旋』を見せてやれ!】
【課金王:賛成だ。あのルルとかいうガキに、本物の『格の違い』を教えてやれ。ギフト投下! 『空中機動用・強化外骨格』を実体化させろ!】
【(システム:超弩級ギフト『スカイ・ストライダー』が投下されました!)】
「……旦那、話がわかるじゃねえか。……よし、家人们。アンケートを取るぜ。帰還のスタイルはどっちがいい?
A:ステルスで背後から暗殺
B:空から超火力で降臨」
【(アンケート結果:B案 98%!)】
「——決まりだ。……イヴさん、しっかり掴まってろ。……地上の連中に、12.0の『環境破壊』ってやつを教えてやるよ」
リ・センセンが地面に手を触れると、ギフトによって実体化した機械部品と、周囲の『鉄樹』が瞬時に融合し、巨大な飛行スライドボードへと変質した。
「な……何を……リ・センセン、まさかその……浮いている板に乗って突っ込むつもりか!? 無茶だ、相手は近衛の弓兵隊が——」
「無茶を形にするのが、配信者だろ?」
リ・センセンはイヴの腰を強引に抱き寄せ、ボードの上に乗せた。
「——フルスロットル! 行くぜ、家人们!!」
バォォォォォォン!!! という爆音と共に、リ・センセンたちは密林を突き抜け、王都軍のキャンプに向けて『空からの強襲』を開始した。
【1.8mのメッシ:いっけぇぇぇぇ!! センセン、そのままテントに突っ込め!!】
【隣の王さん:イヴさんの顔、真っ青で草www】
【物理の張先生:加速度 G の計算を誤るなよ! 地面に激突したら即死だぞ!】
朝日に輝く七色の重剣と、空を飛ぶ狐人族。
その異様な光景に、王都騎士団の陣営はパニックに陥った。
「て、敵襲——!? いや、あれは……リ・センセンか!!?」
リ・センセンは、叫ぶ騎士たちを見下ろし、カメラに向かって中指を立てた。
「——よう、ルル。……『神装備』のお届けだ。受け取り拒否は認めねえぞ!!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
第35話、弾幕とギフトによる『空中強襲』回でした!
リ・センセン、せっかく地下でシリアスな真相を知ったのに、地上に戻った瞬間にこれです(笑)。
リスナーのアンケートに全力で応える姿、まさにストリーマーの鑑ですね。
そして、イヴさんは相変わらずリ・センセンの無茶に巻き込まれて、せっかくの聖剣が『飛行ボードの重し』にされています。
果たして、ルル王女はこの「空飛ぶバグ」にどう対処するのか!?
【作者からのお願い】
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皆さんのアンケート投票が、リ・センセンの次の『無茶』を決定します!
4月18日の50話到達に向けて、今日も「不眠不休のライブ配信」状態で執筆中!
第36話は、地上での王女との直接対決。
リ・センセン、今度はどんな『物理的論破』を見せてくれるのでしょうか?
それでは、第36話でお会いしましょう!




