「出し惜しみは無しで行きましょう」
「私のターン……カウンターブースト」
白掟 裁刃徒第一ターン
ライフ:10
手札:5 ターンカウンター:2
「【焦土天機の従機】をサモン。効果発動、デッキトップを一枚破棄する……破棄されたのは白と赤を持つ【焦土天機の哨戒機】よって、全ての相手プレイヤーに一ダメージを与え、ライフを1回復する」
お父さんのデッキの切り込み隊長である【従機】が私に向かって爆薬を投下してきます。
モンスターの格的に、そこまでの爆炎ではありませんが……やはり、炎は嫌いです。
そしてお父さんの元に救援物資が投下されます……それを受け取るのは"ギアスモンスター"である【神聖なる人形天使マスティマ・TheCiel】……【メタトロン】では無い。
白と黄のモンスターである事から、白を含む【焦土天機】のカードの使用は問題なく行えますが……赤のカードを使うには少し手間が掛かります。
【焦土天機】を使ってはきますが、お父さんの本来のデッキとは違うと見て良いでしょう……油断はしません。
ユギト ライフ:10→9
裁刃徒 ライフ:10→11
「ターン終了だ」
「堅実な立ち上がりですね……このターン、私はサバトさんにダメージを与えられませんし困りましたね」
手札に目を落としますが……ここ最近、活躍し続けている【ザドキエル】と【ベリアル】が既に手札にいます。
【焦土天機】軸なのでこちらのターンカウンターを削ってくるのは見えています。
幸いにも向こうのデッキも大型モンスターを多用する……ならば
「約定アビリティによりデッキから【黒き神の印】を手札に加えます。そして、ドローをスキップしてカウンターブースト」
ユギト 第一ターン
ライフ:9
手札:6 ターンカウンター:2
約定 【強壮なる使者】 CC:0
「【強壮なる使者】の効果でコストを2減らしアーティファクト【黒き神の印】を発動します」
私の影の中から出てくる奇妙な形の箱に収められた黒光りする宝石は私を象徴する神器です。
【強壮なる使者】によって毎ターンドローをせずにサーチを行える事と【黒き神の印】自身の効果とも合わせた二重のコスト低下は非常に強力なコンボです。
「またそのカードか……面倒な」
「強いカードですからね、出し惜しみは無しで行きましょう。コストを2減らして【堕落の黒鴉】と【邪聖天ベリアル】をそれぞれコスト:0とコスト:2でサモン」
くすんだ茶髪の少年堕天使【ベリアル】の肩には真っ黒なカラスが降り立ちます。
そして、やれやれと言わんばかりに直ぐさま自身を光の粒子へと変えて姿を消しました。
「【ベリアル】の場に出た時の効果で【神聖なる使徒カマエイドス】を手札に加えます。さらに、【堕落の黒鴉】の効果で【ベリアル】を破棄、デッキトップに悪魔モンスターである【邪聖天の色欲アスモデウス】を設置。破棄された【ベリアル】の効果でデッキからその【アスモデウス】を破棄して【天魔襲来】を手札に加えます」
ぐるぐると調子よく回る私のデッキにお父さんの眉間の皺がまた深くなります。
そのままコスト:0にまで軽減された【カマエイドス】をサモンし、そのまま【焦土天機の従機】を撃破していきます。
「ターン終了です」
「よく回る……一ターン目でそこまで盤面を整えるか」
「だってサバトさんが使う子たちが苦手なんですよね……火は嫌いです」
「そうか……私は好きだがな。私のターン、カウンターブースト」
白掟 裁刃徒第二ターン
ライフ:11
手札:4 ターンカウンター:4
お父さんがらしくなく指を鳴らすと、彼の周りに四本の水柱が昇ります。
「第四使徒【神聖なる水奇術師アルセーヌ】をサモンする」
【神聖なる水奇術師アルセーヌ】
青・白 コスト:4 使徒
A:3 B:3
このモンスターは攻撃されない。
場のカードにカウンターが乗せられた時に発動する。自分はカードを一枚引き、相手の墓地のカードを一枚選択してゲームから取り除く。
この効果で取り除いたカードはこのモンスターが場を離れた時に元の場所に戻る。
一ターンに一度自分のターンに発動出来る。ゲームから取り除かれたカードを自分の手札に加える事が出来る。
水柱が一箇所に落ちたかと思うと、そこに全身を鎖のような装飾で絡め取られた燕尾服を纏った細面の青年──【アルセーヌ】は常よりも青白い肌でどこか虚ろな様子でこちらにステッキを向けてきます。
「そのモンスターはカタルさんのエース……【マスティマ】といい、まさか」
「第一使徒【神聖なる人形天使マスティマ・TheCiel】の効果発動」
【神聖なる人形天使マスティマ・TheCiel】
黄・白 コスト:6 使徒・天使
A:3 B:1
このモンスターの効果はギアスゾーンにいる時にも発動出来る。
このモンスターがギアスゾーンにいる時に、自分の場に神聖なるモンスターが場に出た場合、発動出来る。自分の場のモンスターに操糸カウンターを乗せる。
操糸カウンターを乗せたモンスター一体を選択して発動できる。操糸カウンターを取り除く事でそのモンスターを自分の手札に戻し、再度場に出す事が出来る。
【マスティマ】が至極面倒そうに指を動かすと、ビクンと体を震わせる【アルセーヌ】……そして彼女の運指に従うように滑らかに、しかし自分の意思に反しているのでしょう。その動きはまるで人形のようでした。
「私の場に神聖なるモンスターが出る度に操糸カウンターを乗せる……カウンターが乗せられた瞬間に【アルセーヌ】の効果発動。私はカードを一枚引き、さらにお前の墓地のカードを選択してゲームから取り除く」
「それはダメです、スペルカード【殉ずる魂】を発動します。【カマエイドス】を破棄し、【アルセーヌ】を封印します」
「……良いだろう、通す」
間一髪、カウンターが乗せられる前に発動する【殉ずる魂】。私がかざしたカードから放たれた光を浴びた【アルセーヌ】はホッとした様子でその身から色素を失わせて動きを止めました。
【マスティマ】が何度か無理やりに動かそうと指を動かしていますが、封印されている状態では無駄です。しばらくして、苛立った様子で動きを止めました。
しかし、焦りました。私の【強壮なる使者】と【黒き神の印】のコンボよりもさらに相性の良い……デザイナーズコンボとも言えるあの動きは"ギアスモンスター"として"ギアスゾーン"に配置されている【マスティマ】を狙う事は不可能なので【アルセーヌ】を狙うしか出来ない……その【アルセーヌ】もチラリと見えたテキストによれば攻撃されない能力持ちです。
スペルやモンスターの効果によって何とかしなければいけませんが……【アルセーヌ】にばかり気を掛けているとお父さんのエースである【メタトロン】が来た時に対処が出来なくなります。
「ターン終了だ」
「……一つ、質問をして良いですか?」
それに……先ほどの言葉が気になります。
「第四使徒が【アルセーヌ】で第一使徒が【マスティマ】……残る第二と第三使徒、サバトさんの方の教団聖剣士達のエースとか言いませんよね?」
「ファイト中に敵に塩を送るような言葉を私が言うと思うか?」
「思いませんね」
「ならば聞くな、愚か者め」
……うっかり言ったりしないかと思いましたがダメですね。
でも、多分私の考察は合っています。
お父さんの教団聖剣士……後のメンバーはお母さんは知っていますがもう一人いたという事しか知りません。
……やはり、違和感があります。
何故、名前を冠しているのが焦土天機ではなく神聖なるなのでしょうか?
カード紹介
【神聖なる人形天使マスティマ・TheCiel】
白の神の第一使徒、天の星が示す支配の化身。
"ギアスモンスター"が置かれているゾーンにいる時に発動するという珍しい効果持ち。実質的に、防ぐ事が出来ないカウンターの設置からのブリンク効果は悪さしかしない。
他の三使徒とのデザイナーコンボの始動役。




