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TCG販促アニメでどう足掻いても敵役の私が開き直って悪役RPをエンジョイするお話  作者: 木津 吉木
インタルード3

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事後処理及び反省会/いつかの未来の一幕


悪夢としか思えない苦痛に満ちた夢から私は覚めた。

ゆっくりと瞼を開けると消毒液特有のツンとした臭いと真っ白な天井が目に入る……体を起こそうとするも、意思に反して体は反応をしない。



「だ……れ、か…」



辛うじて出た声もか細く、自分の物とは思えなかった……扉の開く音と共に看護師が来て驚いた表情を浮かべた。そのままどこかへ走って行き、入れ違いに沢山の人達が入ってきてにわかに騒がしくなる。

その喧騒を聞きながら、再び私は意識を飛ばした。

……もう一度意識を取り戻した時には幽蔵(ユウゾウ)とカタルの二人がそこにいた。



「起きたか裁刃徒(サバト)!!」


「急に動かないで下さいよ、キミ生きているのが不思議な状態だったのですから」



心配そうな幽蔵(ユウゾウ)とカタルの手を借り、体を起こす……酷く全身が怠い。ほんの少し水で口を湿らせるだけでもかなりの時間を要した。



恐怖連合(ダークアライアンス)の襲撃があったとは聞いたが……何があった?」


「…………優義徒(ユギト)処置(・・)をしようとしたが失敗した」


「!!」



カタルの方は察していただろうが幽蔵(ユウゾウ)の方は寝耳に水だっただろう。

目を見開いた後に、彼は私の胸倉を掴み声を荒らげる。



「お前……まさかその為に行ったのか!?」


幽蔵(ユウゾウ)、私の目の前で患者に乱暴しないでいただけますか?まあ、キミの気持ちは分かりますけどね」



乱雑に手を離され、ベッドに再び沈む……幽蔵(ユウゾウ)から視線で早く続きを話せと促され、休息を求める体に鞭を打ち口を開く。

《《アレ》》が処置を振り切った事、再処置の為に"ギアスファイト"を行い負けた事……恐らくは二度とこのような事をしないようにナニカをされた事。



「……確かにレントゲンを撮った際に心臓の辺りに妙な影が映りましたね」


「恐らくはソレだろう……対処法が出来るまで、私はアレに手を出せなくなったということだ」


「そうでなくてもその体たらくだ、完全に動けるようになるまでどれくらい掛かるんだ?」


「ウチの裏技を使っても最短で半年は掛かります……年単位は覚悟していて下さい」



半年……それは困る。数ヶ月後に開かれる【ドレッドギアス】の全国大会にはその成り立ちに【ドレッドギアス】が深く関わっている神聖制約教団(ホーリーギアス)の人間、通例では日本支部長である者と他数人が運営に携わる事となっている。

……数日後にはその打ち合わせがある。非常にマズイ。



「……幽蔵(ユウゾウ)、どうしよう」


「困るくらいならこの大切な時期にやらかすな馬鹿」


「…………すまん」


「はぁ……一週間は何とか引き伸ばすがそれまでに代理を決めなければいけないな。候補は?」


「一番は最武野(モブノ)だ……人柄は良くはないが、職務には真面目だからな………人柄は良くないが、背後に後ろ暗い事の無い人間は彼だけだ」



本当に人柄さえ何とかすれば彼は日本支部長の座についてもおかしくはない……だが、そこだけはどうにも出来ないのが最武野(モブノ)という人間だ。

ふと、入院着だからと気が付かなかったが首に掛けているいつもの重さが感じられない事に気がつく。



「……カタル、ペンダントを知らないか」


「キミが運び込まれた時には持っていませんでしたよ、そこの机に所持品は並べてあります」



横目に見れば確かに見当たらない……震える手でデッキケースを取ればその中には【ルシファー】のカードが無いのも確認出来た。

…………やられたな。



「…………あのペンダントは教皇猊下からいただいた物で、言わば日本支部長の証とも言えるものだ」


「おい……まさか」


「……アレ(・・)に盗られたな。あの口の上手さだ……何かしらやるぞアレは」



嫌な予感しかしない……だが、もはや何も出来ない私はただここで目を瞑るしか出来なかった。





ーーーーー



ほんの少しだけ、大司教様の雰囲気が変わられたように思える。

そう思う私はこの神聖制約教団(ホーリーギアス)鏡富市支部に所属しているただのシスターです。日々やがて帰ってくる救世主様へ祈りを捧げ、大司教様たちに加えて時折この教会に身を寄せる方身の回りのお世話に勤めております。

ただ、善き人である事を認め善き人を守ろうとしているこの神聖制約教団(ホーリーギアス)は真面目しか取り柄が無かった私にはとても心地の良い場所です。



「■■さん、この書類を皇導(オウドウ)様の所に運んでもらっていいかな?」


「はい!」



一枚一枚は軽くとも、大量に重なればそれなりの重量になります……少々非力な私は何とか途中までは無事に歩けましたが、階段を降りる途中でバランスを崩してしまいます。中空にばら撒かれた書類を『拾うのが大変だなぁ』とどこか遠くの出来事のように思いながら来るであろう衝撃に目を強く瞑りました。




……


………?



いつまで経っても痛みが来ない事を不思議に思って目を開けると、視界いっぱいに白が映りました。



「お怪我はないですか?」


「無いです……って、だ、だ、大司教様!!?」



そう、私は大司教様に階段から落ちた体を受け止められていたのです。

体のラインを隠すゆったりとした服装と男性にしては高めの声質、物腰の穏やかさも相まって女性説が囁かれている大司教様ですが……受け止められて分かりました、男の人です!だって、なんか、胸の辺りが硬い!!



「あ、ああああの、すいません!大司教様に受け止めてもらうなんて畏れ多い……あっ!書類!!」



慌てている私が面白いのか大司教様は楽しげに笑っておられました。

そして、私が急いで書類掻き集めますが辺りに散ったそれを拾うのは大変でした。



「これですね……お手伝いしましょう」


「いえ!いえ!大司教様にお手を煩わせてしまう訳にはいきません!」



パタパタと走り回って書類を集める私を大司教様はどこか寂しそうに見ていた気がしました……全てを集める事は出来ましたが幾つかの書類は折れたり汚れが付いたりと散々な見た目になっています。



皇導(オウドウ)様にお届けしないといけないのに……怒られちゃう」


「ジュンくんの所に行くのですね……私も用事があるのでついて行って良いですか?」



仮面を被ったままこてんと首を傾げる動作が妙に幼く見えてびっくりしました……思わず『いいですよ』と伝えると、そのまま書類の半分を持っていく大司教様。その足取りは嬉しそうで、やっぱり少し変わられたと思いました。

前までの大司教様はもう少し落ち着いていたと思います……心優しい所は変わられていませんが、もう少し感情を抑えていました。

……私の個人的な感想としては今の大司教様の方が好ましいです。感情を見せている姿に人間味を感じられるから、とても親近感が湧きます。

……なので、今でも信じられません。

大司教様があんな事をされるなんて……何かの間違いではありませんか?悪いものに取り憑かれていたとか……実は脅されていたとかそういう事はありえませんか?

私は……私たちは信じています。

大司教様は……優義徒(ユギト)様は何も悪くないのだと。





──供述調書、175番■■ ■■氏の内容より一部抜粋














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