「破棄しすぎだろそれ!?」/「本当に勘弁して下さい」
「俺のターン、ドロー!」
百火 第三ターン
ライフ:6
手札:5 ターンカウンター:4
あの【ランスロットⅡ】とかいうモンスター……アーティファクトの効果もあって倒すには苦労しそうだぜ。
「【炎熱破壊人バンカ】をサモン!その効果で【騎士は消して引かず】を破棄するぜ!」
「させるか!スペルカード【黒曜の戒め】を発動!!」
【黒曜の戒め】
黒 コスト:3 スペル・黒曜石
自分の場のモンスターが黒曜と名のつくモンスターだけである時に発動出来る。
相手が発動した効果の対象を自分が選ぶ事が出来る。
【バンカ】が地面に振り下ろしたハンマーから出た衝撃波が【ランスロットⅡ】に全て吸い込まれていく……アイツは片膝を着くも、倒し切ることは出来なかった。
「【バンカ】の効果対象を【ランスロットⅡ】に変更する」
「くそ……対象になったカードが破棄されなかったからデッキからカードを破棄しないぜ。ターン終了だ」
残りの手札はモンスターへダメージを与えるカードばっかりだから意味は無い……あのアーティファクトが厄介すぎる!
「はっ!白掟様を倒したのはやはりまぐれだったようだな!私のターン、ドローせずにカウンターブースト!!」
ジュン 第三ターン
ライフ:11
手札:6 ターンカウンター:5
「このターンで終わらせてやろう……スペルカード【黒曜神の神託】を発動!!」
【黒曜神の神託】
黒 コスト:6 スペル・黒曜石・神器
自分の手札のカードを一枚破棄し、自分はそのコスト分デッキの上からカードを墓地へ破棄する。
この時に黒曜と名のつくカードを破棄していた場合、デッキの上から破棄するカードの枚数を二倍にする。
急に寒気がした。
黒い結晶に覆われた触手が地面からたくさん生えたかと思うと、オウドウの兄ちゃんの体を撫でるように触っている。
その内の一本を手に取り、唇に触れさせたかと思うと手札を一枚ソレに持たせていった。
「手札のコスト6の【黒曜騎士ガラハドⅩⅢ】を破棄し、そのコストの倍である十二枚のカードを破棄する!!」
「十二枚!?」
破棄しすぎだろそれ!?けども、止める手段の無い俺は捨てられていくカードを見る事しか出来なかった……
「良い落ちだな。破棄された【黒曜騎士ガラハドⅩⅢ】の効果で私はデッキ外からカードを一枚選ぶ」
【黒曜騎士ガラハドⅩⅢ】
黄・黒 コスト:6 騎士・使徒
A:3 B:3
このモンスターは自分の場に黒曜騎士モンスターがいるならば場に出せない。
相手モンスターの攻撃宣言時に自分の場にモンスターが存在しない時に発動出来る。墓地のこのモンスターをデッキに戻し、このターンの終わりまで自分はダメージを受けない。
このモンスターが破棄された時、自分は【聖杯の奇跡:人命復活】【聖杯の奇跡:星雲招来】【聖杯の奇跡:私心転心】の内、一枚をデッキ外から手札に加える。
このモンスターはデッキに一枚しか入れられない。
オウドウの兄ちゃんの前に浮かぶ三つの金色のカップ。
その内の一つに触れると、それは一枚のカードとなった。
「私が選択するのは【聖杯の奇跡:星雲招来】……そのまま発動だ!」
【聖杯の奇跡:星雲招来】
黄・白 コスト:1 スペル・騎士
自分と相手の場のカード全てを破棄する。
この効果は無効にされない。
このスペルはデッキに入れられない。
空に黒い穴が空いたかと思うとソレにすごい勢いでカードが吸い込まれていく。
場には何も残らない……でも後続のモンスターが来ない?
「もしかして……もうデッキに出せる黒曜騎士がいないのか?」
「…………俺はアーティファクト【朽ちたる黒曜の処刑場】を発動する」
何も答えずにカードを使うオウドウの兄ちゃん……図星だったんだろうな。
でも使われたカードの影響で辺りの景色が一変した。
薄暗い空、崩れた城は黒い結晶が所々生えていて地面には幾つもの鎧とか武器の破片が落ちている。
【朽ちたる黒曜の処刑場】
黄・黒 コスト:3 アーティファクト・騎士・黒曜石
自分の手札を一枚破棄して発動する。
以下の効果から一つを選び使用出来る。
・自分の墓地から黒曜騎士モンスター一体を手札に加える
・自分のデッキから黒曜騎士モンスター一体を墓地に送る
・自分の場の黒曜騎士モンスター一体を手札に戻す
「手札を破棄し、デッキから【黒曜騎士パーシヴァルⅦ】を破棄する」
デッキからカードが捨てられたかと思うと、ガランガランと鐘の音が鳴り響く。
そして十二個の黒い結晶が俺たちの周りに生えてきたかと思うと、それが砕かれて中から黒曜騎士達が出てくる。
「このカードのコストは自分の墓地の黒曜騎士モンスターの数だけ少なくなる……」
それぞれの騎士たちが武器を構えて跪く。その真ん中に向かってオウドウの兄ちゃんの"ギアスモンスター"が歩いていく。
「誓約サモン!旧き神の祝福を受け、無念の騎士よ再起せよ!【黒曜騎士キングアーサーI】!!」
【黒曜騎士キングアーサーI】
黄・黒 コスト:13 騎士・黒曜
A:4 B:4
このモンスターは自分の場に黒曜騎士モンスターがいるならば場に出せない。
このモンスターのコストは自分の墓地の黒曜騎士モンスターの数だけ少なくなる。
このモンスターが攻撃した時に自分の墓地に黒曜騎士が同名モンスターを含まずに十二体いるなら発動出来る。自分はファイトに勝利する。
このモンスターの効果は無効にされない。
このモンスターはデッキに一枚しか入れられない。
大剣を構え、こちらに向けてくる【アーサーI】
その剣に周りの黒曜騎士達が力を注ぎ込む。
「バトル!【アーサーI】で攻撃し、その効果を発動!!墓地に黒曜騎士モンスターが十二体いるならば、私はファイトに勝利する!!」
眩いばかりの光を放つ大剣、その光に黒曜騎士達に生えていた黒い結晶がボロボロと崩れていく。
何かを言う前に、俺に向かって振り下ろされる大剣……そして、"ギアスディスク"が無慈悲にも俺の敗北を告げてくる。
皇導ジュン
EXTRA WIN
──その場にばったりと大の字になって倒れる俺の耳に大人げない笑い声が聞こえてきた。
「フハハハハ!どうだ、私の力は!ざまぁないな少年!!」
「特殊勝利って……マジかよ」
「だからいっぱいモンスター墓地に落としてたんだっぺな〜」
「殴り倒すのも特殊勝利を狙うのも自由自在、それが我が騎士黒曜騎士だ」
嬉しそうに解説をするオウドウの兄ちゃん。
体を起こそうとした俺に水兎が手を差し出してくる。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ……あーくっそ、負けたの悔しいー!!次は負けねぇからな、オウドウの兄ちゃん!!」
うがー!と頭を抱えて叫ぶ俺に指を指して大笑いするオウドウの兄ちゃんだけど、俺が兄ちゃん呼びをすると怪訝そうに見てきた。
「に、兄ちゃん……?なんだその気安い呼び方は」
「なんか、アンタそんなに悪い人じゃなさそうだし……ユギトより歳下なんだったら兄ちゃんで良いだろうって思ってさ」
「白掟様を呼び捨てにするとは恐れ知らずの無礼者だな、コイツ……だが少年よ兄ちゃんではなくさん付けにしろ、様付けでもいいぞ。私の方が貴様より強いからな!」
また大きな声で笑ってくるアイツにちょっと腹が立って、言い返してやる。
「次やったら俺が勝つ!兄ちゃん呼びが嫌なら呼び捨てにしてやるぜ、オウドウ!!」
「さては貴様歳上への敬意が無いな?何度やっても私が貴様如きに負けるわけが無いわこのクソガキめ!!」
"ギアスディスク"を構えたオウドウに内心『キレやす過ぎだろ』と思いながら、俺も構えたら声を掛けられた。
「何を道の真ん中でしているのですか、ジュンくんにヒャッカ少年……」
ーーーーー
「何を道の真ん中でしているのですか、ジュンくんにヒャッカ少年……」
私の言葉にジュンくんとヒャッカ少年が勢い良く振り返ります。
遠くからでも見えた黒い結晶に覆われた城と天を衝く光にジュンくんが"ギアスファイト"をしているのが分かりました。
近づけば笑い声やヒャッカ少年の怒る声が聞こえてきたので二人が戦っていたのが分かりました。
「は、白掟様……いえ、これはちょっとした護衛の一環で……」
「ユギト!!またアンタ悪だくみしてるんだろ!!」
視線でジュンくんに黙るようにと合図をし、ヒャッカ少年に向き直ります。
悪だくみと言われても心当たりがありません……《《今の所》》は勘づかれるようなことはしていません。
困ったので顎に手を当てて悩んでいますと、後ろでずっと黙っていた父が声をあげます。
「……《《また》》とは?」
「なんでもありません!!彼の気のせいですよ「気のせいじゃねぇよ!だってこの前の京都とか」わー!わー!わー!そうだこっちで少しお話しましょうかヒャッカ少年!!」
ガシッとヒャッカ少年の肩を掴み、そのまま抱き上げてみんなから少し距離を離しました。
暴れるヒャッカ少年には悪いですが、これも仕方の無い事です。
「いきなり何すんだよ!?」
「ごめんなさい……しかし、どうしてもその話を今はされてほしくないのです。あの人は……私の父です」
「父って……父ちゃん!?に、似てねぇ……」
似てないのは知ってます……私は母寄りの顔立ちですからね。でも瞳の色は同じなんですよ?
「多分、しばらくは父はこの街にいます……その間だけは私のしてきた事をどうか黙っていていただけませんか……?」
「……父ちゃんにバレたらマズイから?でも自業自得じゃん」
「それは分かってます……でも、お願いします。何でもしますから……本当に勘弁して下さい」
両手を合わせて拝んでいれば、ヒャッカ少年が溜め息を吐きます。
「分かったよ……でも、何でもするって約束忘れんなよな!」
「大丈夫です、私は約束は守りますから……前にファイトをした時の何でも話すという約束も守ったでしょう?」
「まさか……だからショップに来たのかよアンタ……律儀だよな」
話が纏まったので、ホッと一息ついて振り返れば父とミト嬢達、そしてジュンくんが話をしていました。
私たちの話が終わったのを見て、父が歩いてきますが……何やら険しい顔つきです。
「…………聞いたぞ、京都での出来事。死にかけていたとは……どういう事だ?優義徒、後で少し話を聞かせてもらおうか」
「えっ……?」
ギリギリとゆっくり首を動かせば、ミト嬢の『言ってやったわ』と言わんばかりの表情とマイバラ嬢の『ごめんっぺ〜』と小さく言いながら両手を合わせている姿が見えます……なるほど、貴方たち二人から漏れたと。
少し、空を見上げれば透き通るような秋晴れの青空が広がっていました……私は、この後どうなるのでしょうかね。
カード紹介
【黒曜騎士キングアーサーI】
黒曜騎士の切り札にして騎士たちが仕える王様。
特殊勝利効果は唯一無二で、攻撃さえ通せば防ぐ事はほぼ不可能。その身を包んでいる鎧は身を守る為の物ではなく、力を制限する為の物だ




