「お口に合いましたか?」/「あれ……痛くない」
……何か聞き覚えのある叫び声が聞こえた気がしましたが多分気のせいでしょう。
時折、話しかけようとしてくる父ですが振り返れば目を逸らされて何事も無かったようについてきます……何か言いたい事があるなら言ってほしいです。
昼食代わりに入った喫茶店でもそれは変わらず、私たちの周りの席に人がいないのはこの重い空気のせいでしょう……お店の人ごめんなさい。
「……体調が悪いのか?」
「いえ、いつもこんなペースですのでお気になさらず」
曖昧に微笑んでから小さくタマゴサンドを食みます。
食べるペースが遅いのは父に見られているからです……父のように飲み物だけ頼もうとしたのですが、顔馴染みのウェイトレスさんに気を使われていつものメニューが来てしまいました。
「そうか……そこの方、私にも彼と同じ物を」
通りすがりのウェイトレスさんにそう声を掛ける父。
しばらくして来たタマゴサンドをかじると、ゆっくりと味わっていました。
「……お口に合いましたか?」
「ああ……美味いな、暖かくて」
また一口食べて少し目を細めている父に、何だか気が抜けて私もまたタマゴサンドにかじりつきました……やっと、味が分かった気がします。
タマゴサンドをオレンジジュースで流し込み、少しだけ目が合った父に笑いかけました。
ーーーーー
「「"ギアスファイト"レディセット!」」
炎柳 百火【継承する火炎】
VS
『第一騎士』皇導 ジュン 【黒き刃の聖騎士】
ギャーギャー喚いていたのに、"ギアスファイト"になった瞬間に黙って手札を睨みつけるオウドウとか言う兄ちゃんの後ろにはデッケェ黒い鎧の騎士が立っていた……アイツの"ギアスモンスター"なんだろうけど見た事が無いモンスターだ。
俺の"ギアスモンスター"の【クリカラ】は前の事件の時の姿ではなくていつもの竜姿だ。あの時の姿のカードはいつの間にか消えてしまっていた。
「「スタートアップ!!」」
兎に角、ユギトに連れられてるあのおっさんを助けなくちゃいけない!
俺がいる限り、悪い事はさせねぇぜ!!
「俺の先行!ドロー!」
百火 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「俺は【烈火ネズミ】をサモン!ターン終了だ!」
頼れる新しい切り込み隊長【烈火ネズミ】!くるくるとその場で回転を始めて炎の輪っかみたいな軌跡を描いている。
初手の俺の動きにオウドウの兄ちゃんは何も反応を見せずにターンを始めた。
「私のターン、ドロー」
ジュン 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「【黒曜騎士ガレスⅩI】をサモン、スペルカード【黒の生贄】を発動し、【ガレスⅩI】を破棄してライフを1回復する。さらに、【ガレスⅩI】が破棄された事でデッキからそれよりコストの2大きい【黒曜騎士】モンスターの【黒曜騎士ボールスⅤ】をデッキから場に出す」
【黒曜騎士ボールスⅤ】
黄・黒 コスト:3 騎士
A:3 B:3
このモンスターは自分の場に黒曜騎士モンスターがいるならば場に出せない。
このモンスターが場に出た時、自分の場にアーティファクトが存在しなければ【騎士は消して引かず】をデッキから手札に加える事が出来る。
このモンスターが破棄された時、手札またはデッキからこのモンスターよりコストが2大きいまたは1小さい黒曜騎士モンスター一体を場に出す。
このモンスターはデッキに一枚しか入れられない。
ジュン ライフ:10→11
一気に回される盤面、女っぽい騎士が出たかと思ったらその騎士の背後から出てきた馬に乗った騎士とバトンタッチして何処かに行く。
その馬に乗った騎士──【ボールスⅤ】が手に持ってたお守りを掲げたら光が溢れて、【烈火ネズミ】が目をくらませてゴロゴロ転がっていた。
「【ボールスⅤ】の効果で【騎士は消して引かず】を手札に加えて発動する。バトルだ!【ボールスⅤ】で【烈火ネズミ】を攻撃!」
馬に轢き殺されかけて、【烈火ネズミ】が抗議の鳴き声をあげるが、そのまま踏み潰される……
「バトルを行った【烈火ネズミ】の効果発動!デッキから【炎熱人斬カイエン】を墓地に破棄するぜ」
「勝手にしろ、私はこれでターン終了だ」
黒曜騎士……なんかおっかねぇモンスターだけど俺にはみんながついてるから怖くなんかない!
「俺のターン、ドローはせずにカウンターブースト!」
百火 第二ターン
ライフ:10
手札:5 ターンカウンター:3
「俺の場にモンスターがいない時、ファイト中に一度だけコイツは墓地からサモン出来る!来い【炎熱人斬カイエン】!」
【炎熱人斬カイエン】
赤・黒 コスト:3 勇者・炎・屍
A:5 B:5
ファイト中に一度だけ発動できる。自分の場にモンスターがいない時にこのモンスターは墓地からサモン出来る。
このモンスターは自分の場のモンスター一体を破棄しなければ攻撃が出来ない。
紫色の火柱が立ち上り、それを切り裂いて現れたのは一本の刀を持った黒い武者鎧の男、どことなく【ゴウエン】に似ているソイツの足元は霞んでいて既に死んでいるのが分かる。
「ターン終了だ」
「……【カイエン】か」
ジッとオウドウの兄ちゃんが【カイエン】を見てくるけど……そういえばあのドクロのねーちゃんもおんなじ名前のモンスター使ってたからか?
「いや、今は関係ないか。私のターン……ドローせずにカウンターブースト!!」
ジュン 第二ターン
ライフ:11
手札:4 ターンカウンター:3
手札を睨みつけてから俺の場を見てくるオウドウの兄ちゃんは一度目を閉じ……そして、開けた瞬間にまた展開を始めた。
「アーティファクト【託宣の剣】を発動!」
【託宣の剣】
黄・白 コスト:3 アーティファクト・騎士・予言者
一ターンに一度、デッキから騎士カードを一枚手札に加える。自分はターンが終了するまでこのターン手札に加えたカードを使用出来ない。
一本の片刃の剣が地面に突き刺さる。
それをオウドウの兄ちゃんが引き抜けば、空から一枚のカードが降ってきた。
「デッキから【朽ちたる黒曜の処刑場】を手札に加える。バトル、【ボールスⅤ】で【カイエン】を攻撃!」
【ボールスⅤ】が手綱を振るうと馬がいななきを上げた。そのまま【カイエン】を轢き殺そうと向かってくるが、一太刀で馬ごと真っ二つに両断されていく。
「【ボールスⅤ】が破棄されたのでデッキからコスト2の【黒曜騎士ユーウェインVI】を場へ出す。そしてその効果でデッキから二枚ドロー……そして、スペルカード【黒曜の純化】を発動!」
【黒曜の純化】
黄・黒 コスト:2 スペル・騎士
自分の場の黒曜騎士モンスター一体を選択する。
そのモンスターを破棄してそれよりコストが2大きい黒曜騎士モンスター一体をデッキから場に出す事が出来る。
ライオンみたいな鎧の若い騎士が現れたかと思うと、苦しみ始める。
そして、でっかい黒い石に覆われたかと思うと中から黒い鞭を持った意地悪そうな顔のおっさん騎士が姿を現す。
「【ユーウェインVI】を破棄し、コスト4の【黒曜騎士ケイIV】を場に出す!」
【黒曜騎士ケイIV】
黄・黒 コスト:4 騎士
A:1 B:5
このモンスターは自分の場に黒曜騎士モンスターがいるならば場に出せない。
このモンスターが場に出た時、手札を一枚破棄する事でデッキからスペルカードを一枚手札に加える。この効果で手札に加えたスペルカードのコストは2少なくなる。
このモンスターが破棄された時、手札またはデッキからこのモンスターよりコストが2大きいまたは2小さい黒曜騎士モンスター一体を場に出す。
このモンスターはデッキに一枚しか入れられない。
「【ケイIV】の効果で手札を一枚破棄し、デッキからスペルカード【黒曜神の神託】を手札に加える。そしてバトル継続だ!【ケイIV】で【カイエン】を攻撃!」
手に持っていた鞭で【カイエン】を縛る【ケイIV】だけども、その鞭をバラバラに切り刻まれてしまう。呆然とタダの紐になった鞭を見つめていた【ケイIV】が何かを喚き散らしてからその場から逃げ出した。
その後に出てきたのは四肢を黒い結晶に覆われ、トサカが付いた兜を被った騎士だ。
「【ケイIV】が破棄された事によりコスト6の【黒曜騎士ランスロットⅡ】を場に出して効果発動!」
【黒曜騎士ランスロットⅡ】
黄・黒 コスト:6 騎士
A:4 B:4
このモンスターは自分の場に黒曜騎士モンスターがいるならば場に出せない。
このモンスターが場に出た時、相手の場のカード一枚を破棄してそのコストと同じコストの黒曜カードを一枚手札に加える。
このモンスターが破棄された時、手札またはデッキからこのモンスターのコスト未満の黒曜騎士モンスター一体を場に出す。
このモンスターはデッキに一枚しか入れられない。
【カイエン】の前に一瞬で現れたかと思うと、いつの間にか手に持っていた両端に刃の付いた長い棒みたいな武器でその胴を切り裂く【ランスロットⅡ】
「【カイエン】を破棄し、そのコストと同じ黒曜カードの【黒曜の戒め】を手札に加える……【ランスロットⅡ】でダイレクトアタック!!」
【ランスロットⅡ】の武器が真ん中から二つに割れて、双剣になる。
そのまま、俺の体が十字に切られるけども……痛く、ない?
「あれ……痛くない」
「当然だ、こんな所でそんな危ないファイトが出来るか……する理由もない」
百火 ライフ:10→6
フンと鼻を鳴らすオウドウの兄ちゃん。そのままターン終了を宣言してくるけど……どんどん墓地に破棄されていってる黒曜騎士モンスターに俺は嫌な予感がしてたまらなかった。
カード紹介
【炎熱人斬カイエン】
赤のデッキに制限なく入れられるモンスターでは最大ステータスを誇るカード。防衛をする際にはコストを使わないので、防御札として場に置かれるとかなり手強い。
このカイエンが死んでから獄炎の方のカイエンとなる。




