表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
丗一章 第五回公式大会 Day0

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

408/409

31-9.宣言

 肌触りの良いシーツ。

 いつもより少し硬い枕。

 空調の効いた室内は、加湿器を動かしているけれど少し乾燥している。


「…………寝れない」


 原因は分かりきっている。昼寝のしすぎだ。分かりきりすぎていて本当に今更どうしようもない。


 のそりとベッドから起き上がり、諦めて軽く服を着た。

 お茶でも買ってこよう。自販機ってどこにあったっけ。エレベーターのとこにあったかな?


 そろそろ日付が変わるホテルの廊下は人がいない。

 照明が絞られ薄暗くなった館内をゆっくり歩いて。エレベーター前の自動販売機にはなんとなく欲しいものがなくて、お風呂の近くに自販機コーナーがあったなと思い出して足を向けた。



 あったかいミルクティー……ほうじ茶……緑茶……うーん。ミルクティーかな。結局ミルクティーを買うなら最初の自販機にもあったなぁ。

 小さなぬくいペットボトルを取り出して、そのまま手近なソファに腰掛けた。


 休憩スペースには風呂上がりらしい人が数人いて、それぞれ飲み物を片手にスマホを手にしている。

 うーん、お部屋戻ったほうがいいですかね。多分今いるのマネージャーさん達だとは思うんですけど、少し視線が来るのがちょっと気にはなる。



「――――セリス?」


 思っていなかった声に振り返ると、リーダーさんと目があった。




「寝なくて平気?」


 どうやらリーダーさんも飲み物を買いに来たらしい。ホットのほうじ茶を買って、ソファに腰掛ける。

 並んで座って、小さな声で喋る。


「あー…………その、実は、ちょっとお昼寝をしてしまったら、寝付けなくなってしまって……」

「え、昼寝?」

「うっ……えと、今日結構早く着いたんですけど、電車移動で疲れてしまって。少しだけ横になろうと思ったら気付いたら2時間以上寝てて……」


 リーダーさんはしばらくぽかんとして、それからくすりと笑った。


「セリスでもそういうことあるんだ」

「うぅ……本当にそんなに寝るつもりなかったんですよ……」


 彼がくすくすと笑う声が耳に心地良い。

 でも恥ずかしいので話題を変えたい。うーん……。


「そ、そういえば、グライドさん、来てましたね」

「あーあれね。俺宛のドッキリだったらしいんだけど本気で何も知らんかった。マジでビビった」

「私にも流れ弾が当たりました」

「ああ、セリスも知らなかった?良かったギルドごとグルだったわけではないんだ」

「今回は違いますね。BMS就職の件はご存知だったんですよね?」

「聞いて驚け――――何も知らなかった」

「えぇ……」


 そんなことあるんだ。事務所設立の流れで流石に知っていると思っていた。


 お部屋が綺麗で少し落ち着かない。もらった名刺をどうすれば良いのだろうか。ジンさんと少し話したこと。VR機器で初めて脚がすべった話。

 リーダーさんは到着してからほとんどずっと喋り通しだったらしい。本当に今日はVR潜ってる余裕もなかったとか。

 そんなとりとめのない事をぽつりぽつりとゆっくりおしゃべりをする。


 気がつけば休憩スペースに人はもういなくて、手持ちのミルクティも空になっていた。

 ゆっくり喋っていたせいか、少しだけ眠気が持ち上がってきた。


「セリス」

「はい」

「――――紬さん」

「っ………は、はい」


 名前を呼ばれて心臓が跳ねた。

 リーダーさんも瞳を彷徨わせて、それからこちらをまっすぐに見てくる。


「その……、明後日、チャンピオン戦終わった後」

「はい」

「閉会式前に流石に休憩時間もらうことになってて。それで、あの」

「はい」

「少しだけ、時間をもらえないかな」


 手が震える。心臓が耳元でばくばくと脈打っている。


「――――ぁ、えと」

「俺の部屋の方に、できれば来てほしくて。まあ別に、先に部屋で待っててくれても良いんだけども。702室だから」

「り……」


 一瞬、どちらで呼ぶべきか迷う。


「リーダー、さん」

「うん」

「あの、時間は、いくらでも大丈夫です。進行に障りがない範囲でしたら」

「ありがとう」

「でも、すみません、お部屋で待っているのはムリです」


 リーダーさんがそりゃそうかと一瞬苦笑する。

 まあ、部屋主の居ないお部屋に勝手に入るのは、何も予定がなくてもちょっと気持ち的に難しいですけれども。


「明後日の最終試合」


 でも、今回はそうではなくて。




「チャンピオン戦であなたの前に立つのは、私です」




 宣言した言葉に、彼は少しだけ驚いて。


「…………そっか」


 先程までの柔らかな微笑みがするりと消える。


「それは――――楽しみだ」


 そうして本当に、心底楽しそうに、笑った。



31章ここまで、この後閑話が予約投稿済みです。

瑞穂の概算ではおそらく32章間に合わないです……また少しお待たせします。


感想・ブックマーク・評価・リアクションありがとうございます!励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
BMS就職の件、「知らなかった」といったけど、正確には「知れたけど、知ろうとしなかった」ですよね。リーダーさん。 ※400話で再確認しました。 「あなたの前に立つのは、私です」 ※読み直したら、倒…
部屋に来いって……!!リーダーのことだから他意はないんでしょうけどキャー!!! って思ってたらセリスちゃんの格好良すぎる宣言でそれどころじゃなくなりました。 そんな……イケメンすぎる……。大言壮語じ…
ラブラブで緩みきってた頬がシャキッとする展開 締めがかっけーな 宣戦布告はアツい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ