2-2-2
大会に出場しているのは全部で四校。それぞれ順番に対戦していき、戦績がいちばん良かったチームが優勝、というシンプルな総当たり戦だ。
咲によると今大会は、公式の団体ではなく、件の明泉高校が主催するものらしい。そう言われるとたしかに、受付を担当していたのもあたしたちと同い歳くらいの男の子だったし、他スタッフも学生と思しき頃合いの人たちが多いような気がする。さっきの無礼女も、運営の手伝いかなにかで来ているのだろう。公式大会の少なさから、明泉高校が独自に開催している大会のようだ。余計なことを。
参加高校数が四校と少ないのも、本大会が非公式大会ゆえ。かどうか、あたしは知らない。単に競技人口の少ないマイナースポーツだからかもしれない。いずれにしろ、対戦相手が三校だけならば、想定していたより早く終わりそうだ。帰宅したあとのだらだらリラックスタイムを想像して、なんとか乗り切りたい。
そうして始まった大会だが、初戦、二回戦と見事に惨敗した。当然の結果なので、特に驚かない。あたしたちにとっての最終戦、第三回戦の開始を前にして、咲が言った。
「さっきの試合、すごく惜しかったです! 弥里先輩はいい位置にいてくれることが多かったですし、まな先輩も、一回戦より格段に動きが良くなってました! 次はさらに積極的に動いて、一点でも多くポイントをとれるように頑張りましょう!」
「う、うん!」
と、まなが拳をぎゅっと握って頷く。その隣であたしは日焼け止めを塗ってこなかったことを後悔している。思ったより日差しが強い。まだ四月だからと油断した。
「弥里先輩も、いいですか?」
「え、ああ、うん。……つっても、一回戦二回戦ともに、うちらほとんど点とれずに負けてるわけじゃん。仮に頑張って得点が一点二点増えたところで、結果は変わらないんじゃない? どうせ負けるなら、頑張るだけ体力の無駄だと思うけど」
「み、みーちゃん」
困り顔でまなが言う。怒るかな、と思いきや、咲は腕組みをして「ふふふ」となにやら不敵に笑い出した。
「ところが、です。次に対戦する茂野高校、出場する選手が全員一年生らしいんですよ」
「え、そうなの? なんで?」
前述のとおり、この大会は非公式に開催されている規模の小さな大会だ。それゆえ学校によっては本大会を、たとえば練習試合代わりだとか、新入部員に経験を積ませるための場として捉える向きもあるらしい。次の対戦相手の茂野高校が、まさしくその後者である、ということのようだ。
「だから勝てる可能性は充分ありますよ! ここまでの二回の実戦で経験値は着実に積めています。頑張りましょう! 次の大会に繋げられるように、なんとか今日、一勝して終わるんです!」
咲が高らかに言い放つ。二回の実戦から経験値を積めているのは、むこうも同じだと思うけど。
あたしたちの一つ前の試合が終わったようだ。咲たちは他の学校の試合もなにやら熱心に観戦したりしていたようだけど、あたしはその間本を読んだりスマホゲームをしたりしていたので、ほぼ見ていない。次はどんなのが出てくるのか。
なんにせよ、頑張るとしたらできるだけ疲れず、怪我なく終われるよう頑張りたい。これが終われば、ようやく家に帰れる。
試合が始まる。




