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2章―2

 それから数日間、王都中で彼の姿を探した。

 しかし、会えなかった。

 もうここには、いないのかもしれない。

 そう思ったリベアはギルドへ行き、依頼板を見る。

 後ろを青髪の男性が通った。

 それをちらりと見るが、やはり彼ではない。


「この街への護衛依頼が多い……」


 心優しい彼ならば、この依頼を受けるだろうか。

 リベアは依頼書を剥がして受付嬢のところへ行った。


「この依頼を受けたいです」

「分かりました。水晶にカードをかざしてください」


 リベアが冒険者カードを水晶にかざすと、淡く光った。


「依頼受注完了です。依頼主は裏の待合室にいます」


 リベアがギルドの裏手にある待合室へ行くと、老男性の姿があった。


「やぁ、君が護衛をしてくれるんだね。よろしく」


 男性は優しく微笑みながら片手を出すので、リベアも握り返した。



 ◇◇◇◇



 リベアを乗せた馬車は王都を出て、しばらく平らに整備された街道を走っていたが、やがて岩場の谷を走る。


「街に行くにはこの道しかないんだ。でも、近くに魔物の巣があって危険だから、護衛を頼むんだよ」


 リベアがまだ若く、新人冒険者だろうと思った男性が教えてくれた。

 遠くの方から何かが駆けてくる音が聞こえた。

 リベアは杖を構えて魔物の襲撃に備える。

 やがて魔物が――ウルフの姿が見えてきた。ウルフは一瞬のうちに馬車へと近づいてきた。


「氷球(アイス・ボール)」


 リベアが詠唱するといくつもの魔法陣が現れ、そこから氷球が飛び出していく。

 氷球がぶつかったウルフはその場に倒れた。

 その屍を超えて、なおも馬車に迫ってくる。

 リベアは詠唱を続けるが、それでもウルフは追いかけてくる。


「足止めはできるかい? その間に距離をとろう」


 男性の問いかけにリベアは頷き、新たな魔法を展開する。


「氷壁(アイス・ウォール)」


 リベアの詠唱とともに、馬車とウルフを隔てる壁が現れた。

 だが、ウルフの大軍は体当たりで壁を壊す。

 リベアは何重にも氷壁を創る。

 これには、さすがのウルフも徐々にスピードを落とした。

 それから十分に距離が開いたところで、ウルフは全ての壁を突破した。


「氷球(アイス・ボール)」


 リベアの詠唱により、谷を埋め尽くすほどの氷球が現れた。

 氷球が飛ぶ音が谷に反響する。

 やがて静かになり、全てのウルフが地に伏した。



 ◇◇◇◇



 ウルフの死体はしばらくすると魔力の塊になり、霧散していった。

 それからは魔物に襲われることもなく谷を抜け、街道を走り始めた。

 馬車はそのまま走り、街へと入った。

 リベアたちはギルドへ入り、受付嬢のところへ行った。


「護衛依頼中に魔物を倒しました」


 男性が受付嬢に説明する。


「分かりました。では、水晶にカードをかざしてください」


 リベアがカードを水晶にかざすと、少し強く光った。


「ランク昇格基準を超えたようです。冒険者リベアをBランクへと昇格します。こちらの水晶にかざしてください」


 受付嬢は別の水晶を出して、リベアはそれにカードをかざした。


「さてと成功報酬だが、金貨5枚と銀貨7枚でどうだろうか」


 リベアはランク昇格に驚いていたこともあり、男性の言葉に頷いてしまった。

 だが、受付嬢が何も言わないので、相場と離れてはいないのだろう。

 男性はリベアに報酬を渡すと、街中へと消えていった。

 リベアは男性と別れた後、ギルド内で彼の姿を探す。

 ギルド内は冒険者があまりおらず、すぐに彼がいないことが分かった。


「外で探そう」


 リベアはギルドの外へ彼を探しに行った。

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は10月21日(水)です。

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