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2章―1

 翌朝。窓から差し込む柔らかな陽光に照らされて、リベアは目を覚ました。

 軽く身だしなみを整えると1階へ下り、朝食を食べた。

 その後、ギルドに向かった。


「リベアさんですね。こちらへ来てください」


 入って来たリベアに受付嬢はすぐ気づき、別室へと案内された。


「こちらが依頼主です」


 依頼主は若い商人の女性だった。


「早速依頼内容の確認だが、基本報酬はなしだ。ただ、道中で魔物の襲撃があって、守ってくれたら成功報酬を出す。これで良いか?」


 その言葉にリベアは頷く。

 それを見て、女性は片手を出した。


「王都までよろしくな」

「よろしくお願いします」


 リベアはその手を握り返した。



 ◇◇◇◇



 馬車に揺られながら、街道を進む。


「王都に行ったことあるか?」


 リベアは首を横に振る。


「それなら、きっとびっくりするぜ。あたしも初めて行ったときには、夢を見てるのかってなったからな」

「もっと教えて、王都のこと!」


 リベアは目を輝かせながら聞く。すっかりいつもの調子に戻っている。

 女性は頬を緩ませながら、答えてくれた。


「王都の建物はどれもデカいし、人も多い。市場に行けば、新鮮な食べ物も、綺麗な服もあって――」


 女性は楽しそうに笑いながら、リベアに話した。

 その後もたくさんのことを教えてくれた。

 突然、馬車がガタン、と揺れ、振動が大きくなった。


「おっと、ここから先は、道が整備されてないみたいだな。ちょっと揺れるが、我慢してくれよ」


 リベアは手すりにつかまり、揺れに耐える。

 やがて揺れは収まり、馬車は草原を走る。


「……今日は魔物少ないな……全部ナルに行ったのか?」

「どうかしたの?」

「いや、なんでもねぇよ。それより、もうすぐ王都に着くぞ!」



 ◇◇◇◇



 馬車はさらに進み、遠くの方に王都を囲む城壁が見えてきた。

 やがて、門の前で停まった。長い列ができていたが、すぐに順番がきた。

 女性が商人ギルドカードを見せて、王都の中に入る。


「わぁ! すごい……!!」


 王都の街並みにリベアは目を輝かせる。

 見上げるほどに高い建物、その窓に飾られた色とりどりな花々。街を歩く人たちはみな綺麗に着飾っている。

 女性は冒険者ギルドの前でリベアを下ろす。


「そうだ、これ」


 そう言いながら、女性はリベアに小さな袋を渡した。

 リベアが中を見ると、ビスケットが入っていた。


「これ……」

「昨日の残りだ、やるよ。それじゃあ、気をつけてな。カトレア様のご加護があらんことを」


 女性は片手を振りながら、馬車は遠ざかっていく。

 リベアは大きく手を振る。

 姿が見えなくなると、リベアはギルドの中へ入った。


「シオンいるかな……?」


 ギルド内にはたくさんの冒険者がいる。

 だが、その中に瑠璃髪の少年はいない。

 リベアは2階に上がり図書室に行くが、そこには誰もいない。

 ギルドの外に出て、リベアは彼の姿を探す。


 青い髪の少年が歩いている。

 ――違う。彼の髪はもっと深くて鮮やかな色をしてる。

 黄色い瞳の少年が立ち止まっている。

 ――違う。彼の瞳はもっと濃くて星のように輝いている。


 リベアは歩く。

 大通りを、路地を、広場を。

 リベアはどこまでも歩き、彼を探した。

 それでも、どこにも彼の姿はない。


「ねぇ、シオン。どこにいるの」


 明るかった空は、いつの間にか暗くなっていた。

 人々の姿がたくさんあり賑やかだった大通りは、静かになっている。

 冷たい風がリベアの金色の髪を揺らす。


「明日は、会えるよね」


 リベアは小さく呟き、宿屋に向かった。

 3階の部屋に案内され中に入ると、椅子に座ってビスケットをかじる。

 1枚食べ終わると、部屋の窓を開けて星空を眺める。

 リベアは膝をつき、指を組んで祈る。


「カトレア様、どうか私をシオンと会わせてください」


 窓から差し込む星明かりが、リベアを優しく静かに照らしていた。

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は10月14日(水)です。

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