5話 開示
「いやあ、やっぱり戦闘能力はすごいですね、相手が弱かったのはありますけど。」
言い方が鼻につくな。鬱陶しい。
「ごめんなさい。彼との話に集中するあまり周りに気を配れていなかったわ。」
「これで僕が単なる敵ではないと認めてくれましたか?」
「たったこれだけのことで?お前は敵として俺らを欺き続けてる、違うか?」
鉄也は否定の姿勢を見せ続ける。どこか意地を張ってしまっているところもあったのかもしれない。事実アウトローズは彼のおかげで奇襲に対応できた。
「まあ今はそれでもいいですよ。」
少年は3人について行く。
「あなた達は僕のことを信用していない。別に話を全部聞き入れろとは言いません。まあ一応耳に入れといたほうが今後の作戦の失敗率が下がると思いますけどね。僕の能力は確率の計算。その事象が起こる可能性を計算することができる。精度はある程度は保証しますよ。」
心音は話を耳に入れると同時に周囲を警戒し続ける。
「つまり僕の指示に従い続ければあなた達は負けない、単純な話なんですよ。」
鉄也はもう反応すらしない。
こいつの話を聞こうが無駄だ。
「つまりですね⋯⋯。」
「止まって。今度は多分二人⋯⋯かな?気を引き締めていこ。」
心音が耳がピクリと揺れる。
ビュンッ
銃弾を龍の絶対領域が弾いた。
「サンキュ、龍。それにしてもこいつら学ぶってことを知らないのかよ。」
ヤクザの一人が鉄也へと近づく。
「だからそんなことしてもっ――。」
プラスチック製のナイフ!?普通なら金属製を使うだろうと警戒していなかった!!
「その甘さがあなた達を崩壊させるんですよ。」
「痛えじゃねえか。」
鉄也のオーバーサイズのパーカーの袖から金属が出てくる。その金属は意思を持っているかのようにヤクザに衝突した。もう一人のヤクザは既に龍が羽交い締めにしている。
「金属を仕込んでましたか、失礼。僕の中であなたの評価、勝率の訂正をしなくてはいけない。」
「悪いな、龍の盾があるからって油断してた。」
鉄也は腹からナイフを引き抜き応急処置と止血を行う。
「俺の絶対領域の強化だって万能じゃない。攻撃を防げるのはおまけみたいなもんだからな。」
心音は鉄也の胸に耳を当てた。
「大丈夫。心臓の鼓動は正常よ。まだ動ける。」
「このまま先に進もう。」
大丈夫。こいつなんかいなくったって俺らは十分戦えていた。
お前がうちに不要だってこと教えてやるよ。




