22話 到着
「ここが横浜ですか、案外近いですね。」
透はキョロキョロと周りを見回す。
ネオンに光る街が透の瞳には映っていた。
「まぁな、一応隣の市だし。」
「すげぇでっけぇ門だな、これが中華街。」
鉄也はそびえ立つ赤い門を見ると自分がちっぽけな存在であるかのように感じさせられた。
「ほら、こっちだ。昔テレビで紹介されたのを見たことがあるんだよ。」
そう口にする迅の後を追う。
赤中心の街並み。裏路地などもどこか期待を感じさせるような。シュウマイや餃子。数々の中華の食品サンプルが目に入る。しばらく歩くと目的の建物に到着した。
「ザ・中華って感じだな。」
迅が真っ先に店に入っていく。後を追うように4人は暖簾をくぐった。
シャーーーーンッ
特徴的なシンバルの音。中華系の音楽が流れている。心音はその音に耳を澄ます。
「中華の金物ってこういう風に使うのね、勉強になるわ。」
ついつい職業病で心音は音楽ばかり聴いてしまう。
「音楽のこともいいけどよ、今は飯を楽しもうぜ。俺のおごりで一杯食え⋯⋯とは言えねえけどよ、美味いもんは食えるときに食うに限る。」
「すごい、このテーブル回りますよ!!こういうお店来るの初めてなんですよね、見聞になりました。」
透が回転卓を横から覗き込みくるくると回す。彼の瞳には面白そうなオモチャが映るばかりで飯は視界に入っていなかった。
「おまえ、こんな時も分析ばっかしてるんじゃねぇよ。さっさと食おうぜ。」
鉄也がそう言うとみんなは一斉に飯を食べ始める。
「青椒肉絲、小籠包、麻婆豆腐。何でもあるな。さて、何から食べようか。」
龍は箸で空を掴み、カチカチと音を鳴らす。ご馳走を前にして体がソワソワしてしまう。
「僕が杏仁豆腐を食べる確率、100%。」
透が杏仁豆腐を取り、食らいつく。一心不乱に貪る。
「ちょ、お前いきなりデザートから行くのかよ。」
食後のデザートに残そうとしていた鉄也が慌てて透を止める。
「僕一人で独占してみせます。」
透は杏仁豆腐を腹に流し込む速度を上げた。
「てめ、許さねぇからな!」
対抗するように鉄也も杏仁豆腐を勢いよくかきこむ。
最初はギスギスしててどうなるものかと思ったけど透もてっちゃんもなんだかんだ仲良しになれそうでよかったわ。
「ボケっとしてると心音さんの分まで食べちゃいますよ?」
心音はハッとする。
「あ、ちょっと待ちなさいっ!!」
心音も杏仁豆腐を手に取り、食べ始める。
「お前らさ、少しは落ち着き持って食えないのかよ。」
ため息をつく迅を見て龍は微笑した。




