19話 旅行
「父さんの会社倒産しちゃった、どうしよ。」
「成瀬さん、僕は成瀬さんの息子じゃないですよ。」
「まさかうちの社長がヤクザの幹部だったはな、道理でブラックな訳だ。ほかの社員もヤクザ関連の仕事につかされてたらしいし。まぁこの機会だし久しぶりに羽でも伸ばすかぁ。」
「横浜旅行とかどうです?」
「横浜か、久しく行ってないからな、ありだな。」
迅はこくこく頷く。
「⋯⋯あのなあ、お前ら。」
鉄也は呆れた顔つきになる。
「ここは川崎アウトローズのアジトだぞ?無関係の人間がここに住み着くんじゃねぇよ。」
「でも僕たちがいなかったらもう既に死んでいたのでは?」
「俺はそもそも会社で寝泊まりしてたからな。住む場所なくなっちまったんだよ。」
2人の発言の正しさも理解できてしまう鉄也には何も言い返せない。
「お前らも来るか?横浜旅行。」
「たまにはちょっと遊びに行くのもアリだと思うわ。旅行というには近場だけど。」
「俺も傷を癒すためにしばらく休みたいからな。助かる。」
龍も旅行に行きたそうにウズウズする。
「もちろん僕も行きますよ。」
「あのなぁ、俺らは遊びじゃ⋯⋯。」
「横浜のみなとみらいで異能力者を拘束して魔力を発電に利用している輩がいる、という話を聞いても来る気はありませんか?」
ドンッ
迅は思いっきり机を叩き立ち上がる。
「てめぇハメやがったな!!俺はもう働きたくねぇんだよ。」
「成瀬さんが働かざるを得なくなる確率、93%。」
「わーったよ。行きゃあいんだろ?」
迅はどこか諦めたような目で空を見つめた。
「どうするんですか?鉄也さん。」
「分かったよ。目の前に助けられる人間がいるのにそれを見捨てるのは俺のポリシーに反する。」
「⋯⋯だそうですよ、ってことで〜」
「「「「全会一致!!」」」」
「こんなとこで全会一致使うんじゃねぇよ。」
そう言いながらもどこか旅行も楽しみにしている自分もいる鉄也だった。




