18話 発展
やっぱ最初の銃撃によるダメージが響いてるな。上手く体を動かせない。単純に運動不足で鈍ってるのもあるけど。
鉄也は敵を見つめる。
想定以上の筋肉強度。どんだけ鍛えてきたんだ、こいつは。これを破るのは相当の至難の業だな。
「透くんさ、なんかいい作戦とかないわけ?」
「簡単にそんなの提示できたら困ってませんよ。」
この戦い、負けない可能性は高いのに勝てる可能性は低い。
互いの相性の悪さ、敵の突破しづらさからかなりしんどいな。
「私に⋯⋯任せて。」
「無理だけはしないでくださいね?」
「大丈夫。もう戦える。」
思ったよりも復帰が早い。大丈夫。僕たちなら勝てる。
心音はバックからドラムスティックを取り出す。
「私、ピアニストだけどさ。常備しておいた甲斐があったわ。」
空を叩く。空が鳴る。見えなくてもそこにドラムは存在する。
異能力によるドラムの顕現?かなり魔力を食いそうだな。ただ確実に勝率は上がってきている。
ドンッ ドドン
響き渡る。それはボスを鳴らす。
「チッ。」
ドラム攻撃がやつの体の内側まで振動して届いているのか?決定打にならなかったはずのこちら側の攻撃が効いている。勝ち筋が見えた!!
いや、でもまだだ、心音さんの出音が悪い。明らかにいりょくも最初から下がってる。演奏の精度が関わってるのか?データ更新だな。
鉄也は落ちている銃弾を拾う。そしてそれを絶対領域とする。
これがあれば攻撃を通せるかもしれない。
「成瀬さん。この弾を能力で弾いてください。」
「おうよ。」
鉄也は金属操作で弾を最速で放つ。
俺のすべての思いを乗せ金属操作で最速まで加速させてぶん投げる。
んでそれを俺が慣性で強化すればいいっていうわけか。
そこに成瀬の慣性が乗る。
バシュン
鋼の肉体がついに打ち砕かれる。
肩に弾がめり込む、ボスは意識を失う。
その巨体は轟音を立てて地に伏した。
「ナイスだぜ、鉄也くん。」
「うまく行ってよかった。成瀬さんはおそらく俺と違って能力に絶対領域が必須ではない。」
「正解。概念そのものに干渉してるからな、物質に干渉するお前の異能力は絶対領域必須だろ。代わりに俺の異能力はあらかじめ時間をかけて慣性をオフにしながらエネルギーを貯めなきゃいけないんだがな。」
ボスの体を紐でぐるぐる巻きにして放置する。
あとは悔しいが公安が勝手に逮捕するだろう。龍が意識がない時点で全会一致が確認できないから殺せないしな。ほんとは今すぐ殺してやりたいが。まあいいか、どうせ起きてても反対される。
「龍くん放置するのもやべーよな。俺がどこにでも運んでっってやるよ。とりあえずもっかいトラック乗ろうか。」
5人はすでに用を失った相手を置き去りにして歩き出した。




