11話 発覚
ポキっ
お兄さんは関節を鳴らす。
「久しぶりに動くと疲れるね。」
ドッ
お兄さんの動きに合わせて龍が前に出る。
「!?」
動きが止まった――寸止め。
ドスッ
「寸止めはさ、お前の特権じゃないんだぜ?」
どういうことだ、明らかに寸止めのはずだった。ただどう考えてもこの距離感で出せる威力ではない。一度止まってから動き出したはずの拳がやけに重い。何かがおかしい。
なるほど。これが敵の能力。まだ具体的なことは分からないものの何か『理』を捻じ曲げる力を持っている、ということだけは分かる。ただ、未知数すぎる。勝率45%。
「あれ、確実にやったと思ったんだけどな。君は丈夫だね。」
「それだけが取り柄なもんでな。」
面倒な音使いから倒したいところだがこいつを倒さない限り割って入られる。こいつ自身も音使いを守ること前提の動きの組み方。なかなかにやるね。
「おらああ!!」
ガシッ
鉄也の剣をお兄さんは片手で押さえつける。
「それに対してこっちはただの脳筋ね。面白みのない。」
「なんでお前は俺らの邪魔をするんだ。」
「邪魔?それはこっちの話だ。仕事の邪魔をしてきやがって。」
「ヤクザの麻薬の取引を真っ当に働いている他の人間と同列に語るな。そんな事を仕事だなんて言うんじゃねぇよ。俺はその仕事を止めるために来てんだ。」
「⋯⋯麻薬?」
「は?」
「え、俺の運んでる荷物に麻薬が混じってんの?」
この場の全員がぽかんとし今までとは少し異なり空気が和む。
「知らなかったのか?」
「ちょ、たんま。確認してくる。」
お兄さんは荷物を確認する。
「マジかよ、クソ怪しい粉あるじゃん。会社からは荷物は確認するなって言われてたけどこんなもん運んでたとはな。」
「あなた、ヤクザの一員じゃないの?」
「ああ。てっきりチンピラが俺の仕事邪魔しに来てるもんかと。」
こいつが本当のことを言ってる確率76%。ただいままでの発言、圧倒的に優位に立ち回っていた展開を考えると敵だとは考えにくいか?
「お前ら、何者だ!」
青の制服でその身を包んだ集団。
その胸には金色のバッジが煌めく。
「公安一課……。」
「げ、公安かよ。」
5人はダッシュでその場を離れる。
「騒ぎが聞きつけられちゃったみたい。」
「麻薬運んでたおっさん…⋯。どう考えてもエグい黒じゃねえか。これ俺逮捕されちゃう感じ?」
「だろうな。」
「何がなんだか分からんが逃げるぞ!!全員俺の車に乗れ!!」




