表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/48

第四十四章:「吐き捨てられた言葉」

病院を出ていく仁さんはどこか冷静で、

でもその冷静さの中に深い怒りを隠しているようだった。


その姿を見た私は、どうしても泣きそうになった。

仁さんが私を守ってくれると信じられたから。


”これ以上、誰にも迷惑をかけたくない”


心の中でそう誓いながらも、足元がふらつく。

その瞬間、病院の入り口に停まった車が目に入る。


一瞬、目を見開いてしまった。

その車の中に、あの顔が見えたからだ。


「咲…さん」


体が硬直して、その場から動けなくなった。

咲は車の中から降り、私の目の前に立つ。


「ひなちゃん、どうしたの?…酷い怪我ね」


心配する言葉とは裏腹に、私を見るその目はどこか冷たい。


「何かあった?」


咲の表情は、明らかに私が元気がないことを知っていて、それを隠そうとしているようにも見えた。

でも、私は何も答えられなかった。


「…すみません。帰るので。」


咲はその場を後にしようとする私をじっと見つめて、口を開いた。


「ひなちゃん、このままで後悔しない?」


その一言で、私の胸が締め付けられる。

咲の言葉は、全てを物語っているようだった。


「私、ずっと仁のことを想っていたのよ。

そして、ずっとあんたに嫉妬してた。」


私を見つめるその目には、得体の知れない何かが宿っていた。


「私だって、仁を手に入れたい。仁の心が欲しいの。

なのになんであなたが…後から現れたあんたが彼の特別になれるの…!」


私が言葉を返すことなく、咲は続けた。


「あなたが私にできることは、せいぜい目の前からいなくなることよ。

あんたも分かるでしょ?自分のことを守りたいなら、私の元に戻す方法を考えなさい。」


その言葉は、まるで本音を言い切った後の満足感に満ちていた。

何も言わずに去っていった咲の背中に、私は何も言い返せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ