第四十五章:「最後の会話」
ひなが怪我をしてから、数週間が経った。
俺はあの日、心に誓った。
”これ以上、ひなを傷つけることは許さない”
そしてやっと。
咲がやってきたこと全ての証拠を掴んだ。
その証拠を元に、俺は咲を呼び出した。
今までのように、なあなあに済ますつもりはない。
「俺にバレないとでも思ったのか」
咲の前に立ち、冷たく言い放つ。
その声はまるで別人のようだった。
「なんで人を傷つける」
その言葉に咲は冷静を装おうとしたのか、どこか目に焦りが見えた。
しかしその目は、すぐに歪んだ。
「私がやったのは、あの女があなたに近づいてきたからよ!!
あなたが私に振り向かないから!!私だって…私だってずっと…!!!」
咲は涙を浮かべながら俺に訴えていたが、それがただの演技であることはわかっていた。
「仁、私はずっとあなたのことを愛していたの!!
それを、あの女に奪われるなんて耐えられない!!」
そして、急に笑みを浮かべた。
「私があなたを手に入れるためには、これぐらいのこと、仕方ないでしょ?」
その言葉に、俺は深いため息をついた。
「これ以上、ひなに近づくな。お前がやったことは許されないし許す気もない。
会うのはこれで最後だと思え。」
その言葉に、咲は一瞬にして取り乱した。
「なんで!?なんで…、私が捨てられるの!?こんなに愛してるのに…!」
そんな言葉は俺には届かなかった。
「もうお前と話すことはない。俺の大切なものを壊すな」
最後に言い放ったその言葉に、咲は狂ったように泣き叫んでいた。
「仁!!あなたは私のモノよ!私だけのモノなの!!」
その叫び声を背に、俺はその場を後にした。




