表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/48

第三十五章:「あなたは私の”モノ”」

”あの子、また来てる”


私の視線は、自然と仁を追いかけていた。

私の席から微かに見える仁の横顔。

仁が笑顔を向けているその相手が誰かなんて、考えなくても容易に分かる。


“やっぱり”そう思った。

仁があの子を特別視しているのが、私にはすぐ分かった。


最初は全く気にしていなかった。

だって、私は仁をずっと見てきたし、ずっと仁の”1番”だったから。

彼は私のモノ。

他の客なんか、私の足元にも及ばない。

私と仁の人生に出演する、ただの脇役でしかなかった。


でも今、ふと感じる違和感。

あんなに冷たい、無表情で誰にも興味を示さない仁が、

あの子にだけは違う顔を見せている。


「……ふーん、面白い」


あの子もただの“客”でしかない。

そう思っていても、段々と沸き上がる黒い感情。

あの子の無邪気な笑顔が、私の怒りに火をつけたのを感じた。


“私はあの子と違う”

そう、私は特別なの。仁にとっても。


あの子にはその「特別」の意味を理解させる必要がある。


「ねぇ、仁を呼んで。」


ヘルプでついているキャストに笑顔で声をかけると、

少し引き攣った顔で、小さく「はい」と答えた。


少しして、仁が私の席に戻ってきた。


「ごめん、遅くなった」


仁はいつも通りの様子を装っている。

でも。

あの子と一緒にいた余韻が残り、表情がどこか穏やかであることを私は感じた。

それがまた、私の苛立ちと独占欲を煽っていた。


“私の、私だけのモノでなきゃ、ダメなの”


その言葉が頭の中で繰り返し響く。


私は何もかも察している。

あの子がどれだけ純粋で、仁もあの子を特別に思っているということを。

でもそれが、私の「支配」から外れるなんて許せない。

私が”全てにおいて1番”じゃなきゃダメなの。


「この後、私と飲みに行ってくれるよね?」


仁が少し戸惑ったように顔を曇らせる。

でもすぐに、いつもの表情に戻った。


「ごめん、今日はちょっと。」


その一言が、どこか虚しく響く。そしてまた察した。


”あの子との予定があるんだ”


それが私の黒い感情をヒートアップさせた。


“どうしてあの子と?”

“私じゃダメな理由は?”


私は思いっきり口角を上げて、仁の目をじっと見つめた。


「今度3桁使う予定だからいいよね?

じゃあ、終わったら連絡して」


その言葉が、仁の心を揺さぶることを願って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ