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第十七章:「心の叫び」

『今日もお疲れさま。』


仁さんから届いたLINEは、いつものように短く、そしてこれまでと変わりなかった。

返事をしても、内容はいつも通り。

それでも、私はこの関係を続けたかった。

だって、彼女になれたと思っていたから。

でも、実際には何も変わっていなかった。


最初は少しの期待もあった。

彼女と言うポジションがあることで、少しでも私を大事にしてくれるのでは…。

でも、毎日のように思うのは、結局、私がホストの客であることには変わりがないということ。

会えるのは、月に1回あるかないか。

連絡も、2、3日に1回。機嫌がいい日は1日に何通も連絡があった。

私はいつも、彼に振り回されているのを感じていた。


そんな状態が続き、気づけば、私は少しずつ心が冷めていた。

最初のうちは、何とか我慢もできたのだ。


(彼女って言っても、相手はホストだからこんなものだろう)


それに、彼の仕事を理解しようとしていたからこそ、無理に何かを変えようとは思わなかった。

でも、日が経つにつれて、その我慢がどんどん私自身を苦しめていた。


私はただ、彼女らしいことがしたかっただけ。

一緒に過ごす時間をもっと大切にしたい。

普通にデートして、彼が私を気にかけてくれることが嬉しいと思いたかった。


でも、現実はいつもと同じ。

「ただのお客さん」そのものだった。

どんなに愛を伝えても、相手はホスト。

彼の目の前にいるのは、常に「お客さん」で、私にとっての「彼氏」ではないのだと、痛いほど理解していた。


今日もまた、仕事帰りにLINEを送る。

「今日は少しだけ会える?」と、少しでも期待を込めて送ったけれど、返ってきたのはまたいつも通りの冷たい返事。


『仕事終わりに幹部会あるから。』


それだけ。

その瞬間、胸が詰まった。

こんなにも冷たく返されることに、もう耐えられない気がした。


会えないことが辛いのではない。

お店ではなく、気軽に会えるような関係、会えなくても次会う予定を立てられるような関係。

そんな関係ではないことが何より私の心蝕んでいった。


「私って、やっぱりただのお客さんでしかないんだ…。」


ふと、そんな言葉が口をついて出た。

気づけば涙がこぼれていた。

どうして、こんなに切ないのだろう。

彼女としての位置をもらったはずなのに、私の心はますます遠く感じるだけだった。


その日、私は部屋の中で一人、泣いていた。

誰にも見せられない姿を、ただひたすらに押し殺していた。

何度も何度も、自分に言い聞かせていた。


(私が我慢すればいい…ただそれだけ…)


でも、その言葉が虚しく、心の中で響くばかりだった。


次の日、私は彼に会うために店に足を運んだ。

でも、会う時間になっても、心の中でまたモヤモヤとした不安が大きくなっていくのが分かった。


仁さんはいつも通りに接してくれるけれど、私はどこかで、彼の優しさの裏に「お客さん」としての距離を感じてしまう。

彼が私を本当に大切に思ってくれているのか、それすら分からなかった。


その日、会った時の会話も、いつもと変わらない。

でも、心の中で限界が来ていた。

私はもう、これ以上何も隠したくなかった。


「仁さん、私、もう耐えられないや。」


突然、そんな言葉が口から出てしまった。


「彼女って意味、なんだかよく分からなくなったよ。」


言った瞬間、胸が苦しくて、どうしていいか分からなかった。

仁さんの表情が少しだけ変わったのが見える。

でも、すぐにまた冷静な顔をして彼は言う。


「どうした?」


その言葉に、私はますます胸が痛くなった。


「私、何も変わらない関係が辛い。会えない時間が多すぎて、私がただのお客さんでしかないって思うと、心が苦しい。」


言いたいことを言うと、少しだけ心が軽くなった気がしたけれど、それでも仁さんの反応が分からなかった。


彼は少し黙った後、ゆっくりと答えた。


「お前の言ってることは分かるよ。でも、俺も仕事があるから、どうしようもないんだ。」


その言葉に、私はもうどう返していいのか分からなかった。


「…分かってる。そんなこと分かってるよ!でももう限界…!」


そう言って、私はお店を後にした。


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