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要の意味  作者: かなりあ
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呼び出し

酒のテンポが落ち着き、自分の腹を満たしたところで、シンと静かになっていくハンター達…

最後のウインナーを口に放り込み、皆の視線の先に目を向けると、闘王が1人、こっちに向かってくる…


皆の笑顔がスッと消え、緊張感に包まれた…




ん?んん?私を見てないか?


「……私?」


立ち上がり、私を挟むように移動したマッドとライネル。椅子を退かせて、私も迎える…





『この娘、剣聖のカナメで合ってるか?』


『はい…』


『借りてもいいか?』


『俺達も構いませんか?』


『ああ。付いて来い…話を聞くだけだ。』


マッドが残る団員に声をかけ、闘王と歩き出す…


『…思ったより若いな…』

「はい…16歳です。」

『ハハハッ!16?どんな強靭な女かと思えば、子供ではないか。』

「ああ、はい。…まぁ…女らしくはありませんが…」

『俺の想像ではゴリラだったぞ。くくく…』

『くふふふ…』

「ライネル!……それは酷いですよ。」

『事情を聞けば無理もないと思うがな。……吐いて貰うぞ。色々とな…』

「…騎士に話しましたが?」

『誰もが気になってんだ…あの爆発をな。国のお偉いさんがお待ちかねだ。隠すと良いことはないぞ…』

「はぁ…めんどくせぇ…上手くいったんだからそれでいいじゃないか…」

『カナメ…』

『くくく……それで、青蘭鳥は?』

「何処かな?…シローーウ!!」

『『『……………』』』


「…近くに居ないみたいです。」

『…仕方ない…喋ると聞いたのだが…』

「…喋らせない方が良いですよ?さっきもーーーー』


案外喋りやすい闘王と四郎ネタで笑いながら、領主館の廊下を歩く…

そして、部屋の前で立ち止まった。

私達の顔を見回し、ノックも無しに扉を開ける。闘王に続き、マッド、ライネル、私と、明るい部屋へ入った…



『おお!カナメ嬢!!待ちわびたぞ!』


椅子から跳び上がり、機敏に駆け寄ってくる、オッサン…というより、親父って感じかな?

両手を捕られ、熱烈な握手をされる…


誰だろう…?分からないけど…


「初めまして…ですよね?」

『そうだけどなっ、わしは初めて会った気はせんのだよ!よーーーく、聞いてるぞ!息子は教えてくれんが、アルからこっそりとな!』

『親父っさん!!バラしちゃ……』


「ギルのお父さん?!」


嘘だろ?全然似てない…あ、目の色は同じだな。体格もデカいし…


『そうだ。父ちゃんだ!…やや、すまんすまん、座ってくれ。剣聖の…団長と神風かな?』

『はい…団長のマッドです。』

『ライネルです。』


ギルのお父さんに椅子を引かれ、恐縮ですよ…はい


「ありがとう御座います…」

『遠慮するな。ハハハハッ!』


バシッと肩を叩かれ、少し痛いが笑って頷いた。


『父上…席へ。』

『そう怖い顔するな。な?カナメ嬢?』


頷く事しか出来ませんよ。私には…


この部屋にいる人は、グレイトピエロの面々と、闘王と、ジグルードさんと、スバル、アルそっくりな父さんだろう人と、アルの兄ちゃんだろう2人…

後は、貴族か騎士か、知らない5人が席に着いている。


戦場で会って以来のスバルに微笑み返すと、上座に居るアルの父さんに視線を合わせた。



『この戦の総大将をさせて貰ったリヴィアス=ラス=ハリストンである…カナメ殿。話を聞かせてくれ。船の出来事から順に頼む…』


「船から…人質になった経緯はご存知でしょうか?」


『スバル殿から聞いているが、そこから頼む。』


「…イベルナ族から報告を受け、引き返すか人質を出すかという事態になり、イベルナ族長を差し出すわけにはいかないと、娘と偽って人質になりました。木を架けただけの橋を渡り、ムリード殿に案内された部屋で話をしました…アルタインを恨んでるからどうしても前線に立たせてくれと頼み、騙されてくれたムリード殿は、私を同じ馬に乗せ、本陣に行きました。」


『眠っていた従者2人も行ったのだな?』


「そうです。…そして、そこで、ムリード殿がメシアム殿になじられたことで皇子と分かり、私が話すまでもなくイベルナ族の参戦を無理矢理に承諾させたんです。そして、陣から離れて、北の林の側に移動しました。そして」


『何故そこに?』


「……御手洗いと嘘ついて…」


『ふっ…ふふ…』


笑ったヴィルを睨み、続ける…


「まぁ、している振りをして、眠り薬を塗った手針を用意し、従者2人を先に眠らせ、ムリード殿を捕らえ、話をしました。総大将であることを確認し、イベルナ族を思う気持ちと、帝国の現状を少し聞きました。」


『なんと言っていた?』


「第二皇子が即位して、繁栄するには土地が居るとかなんとか…で、イベルナに目を付けた王がムリード殿に命令して、何度か通った様です。しかし、期日を急に早めて、今回の戦になったと…王が他の皇子へ威嚇や警戒、牽制…具体的には言いませんでしたが、愚痴みたいな感じで教えて貰いました。…多分ハンターと私が名乗ったから、そんな事を話してくれたんだと思います。政治云々には無関係だから。そうは言っても、自らの王に逆らう気はない、受け入れると言っていました。それと、私の拘束を解いても逃げませんでした。従者2人が居るからですね…大事な人だったようです。」


『なるほどな…小屋で逃げずに待っていたそうじゃないか…』


「はい。責任は自分が取るって言ってましたから…。そして…まぁ、ムリード殿を置いて、合図を出しに移動したんです…」


『ほう!こっからだな?』


ワクワク感を漂わせた闘王が身を乗り出す。


「……船と本陣を結ぶ延長線に移動し、これ…沼蛙の頬袋に、…灰を入れ、膨らませて、石と一緒に飛ばし、手針で破裂させて煙幕を作りました。そして、キツい酒の栓の所に縄を詰め、火を付けて投げました。思ったより爆発が激しくて驚きましたが」


『ちょっと待て…何故灰なんか持っていた?』


「あれです…臭い消しにいいって知りません?」


『知らん。…まあ、それはいい。酒は何を使った?どれくらいの量だ…』


「……何処かの国の…露天商から買い…あの、消毒用の酒です!量はこれぐらい…」


『………嘘だな。お前、嘘が下手すぎる。』


「違います!本当です!」


『なら聞くが、マッドとライネル…コイツがそんなもの、本当に持ってたのか?』


『え?……』

『…知りません…が、カナメの全てを把握してる訳じゃありません。』


『庇うか…しかし、ライネルは顔に出てるぞ?全く心当たりねぇってな!白状しろや…言ったろ?隠すと良いことねぇってな。』


「………」


『何故隠す必要がある?特別なもんなのか?』


「ごめんなさい…言う気はありません。」


『あ?』


『カナメ嬢…何故だ…』


「…言わない。私は、誰だろうと言いません!例え王様を前にしても!」


『……お前…俺は何をしても聞くぞ…想像してみるか?』


「何をされても言わない!私だって、一か八かの曖昧な手段だったんです!煙りで気づかなかったらどうしようって…私が行き当たりばったりの勝負で勝っただけじゃないか!私はイベルナ族と運命を共にしていた。私が失敗すれば、イベルナ族は王に嘆願出来なくなる。だからなんとしても成し遂げたかった。…結果、ムリードもメシアムも捕らえた…帝国との交渉で有利過ぎる程のものを手に入れたんだ…生きているからな!方法は突飛なものでも、私は役目を果たした。………間違えてますか?私は。」


『うーむ…間違えてはいないが…』


『俺には関係ねぇな…帝国との交渉も、お前の立場もな。』


「……そうでしょうね…私も貴方とは関係ない。言わなきゃいけない理由はない。」


『…言ってくれるじゃねぇか!面白ぇ!どうしてそこまで拒む?そこを教えてくれねぇか?』


「…身近な物だから…もし広まったら大変なことになる。ある決まった条件じゃないと爆発なんてしないんだ…でも、これをやって何度も試したなら、偶然出来てしまうかもしれない…私の様に…」


『そんな確率の低いもんなのか…広めなきゃいいんじゃねぇか?ここにいる奴だけってことでよぉ。』


「……無礼を承知で言いますが…信用出来ません。」


『…く……くはははは!お前、俺らを前に、そりゃ…いい、度胸だ。ふふふ…』


「…今はそう約束できても、恨み辛みが絡むとわからない…特に、貴方が一番信用できない。絶対に面白がって試す。…嫌なんですよ…巻き込まれて貴方達が死ぬのも、見知らぬ人が私のせいで死ぬのも…お願いします…見逃して下さい!」


『……お前がやるかもしれねぇじゃねぇか。』


「私が?もう二度としません…もし死ぬ程殺したい奴ができたなら、私は私の手で殺します!」


『そこまで言われると聞きたくなんのは俺だけか?くそぉ!気になるぜ!!…うん………あ!もしよぉ、原因のわからねぇ爆発が起きたら、お前のせいになるかもだぜ?』


「………わかってくださいよ…」


『止めて下さい!』


『あ?黙ってろ。…それにそうなったら、当然疑うだろ?お前ら貴族はな。この娘を追っかけ回して聞きにいくのか?いつ、何処にいましたか?ってよ…言えよ…もしこん中でやった奴が出たら俺が殺してやるからよ…』


「…闘王の貴方が一番信用できないって言いましたよね?貴方は約束出来ますか?仲間の誰にも言わず、試さず、墓まで持って行けますか?!」


『…約束しよう!』


「…口約束でしょ?誰が信用するんですか?さっき初めて喋った人を!」


『左の小指一本でどうだ?』


「馬鹿じゃねぇの!?小指なんているか!」


『俺のは高いのによぉ。文句の多い奴だ…何が欲しいんだ?』


『俺の息子でどうだ?』

『何を馬鹿な…』

『いいですね、それ!賛成します!』

『俺も!』


『お〜!乗ってきたな?』




ふざけるな!!

こっちはどれほどの覚悟で発言してると思ってんだ……!!!!



「うるさい!人をなんだと思ってる!!私は…こんなことで手に入れたって嬉しくない!お前らなんか…もう知るか!!」



走って扉に行くが、ドアノブが動かない。



「糞野郎ぉぉ!!!」



バーンッ!!!



蹴り破り、吹っ飛んだ扉を見ることもなく、走り去る…


もうここには居られない。

この国には居られない…

このマールに生きる意味はない…





領主館を突破して直ぐ、私の横を飛び、付いて来る…


「四郎……」


「泣クナヨ!」


そうだ…私には、四郎がいる…



生きる意味…コイツに縋っていいかな…?





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