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要の意味  作者: かなりあ
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ギルvsハリソン

今、ギルが一騎打ちをしている…



走る勢いを利用した、手強い一撃を交わす時もあれば、馬でグルグル回りながら高速に打ち合う事も…



『互角』




どっちが勝つか分からない緊迫感で、周りの敵兵も剣を下ろし見入っている…



ギルが勝つと信じてる…

信じているが、確信出来ない…

ギルが負けるなんて想像つかない…

でも、もし、ギルが傷つけられたなら…

私は……




「カナメ」


呼ぶのは、私の手に持つ剣を下に抑えたアルだった。

いつの間にか剣を上げてしまっていたらしい…


「俺はお前に怒ってんだけどよ…今は良い。この勝負は当人以外が手を出しちゃいけねぇ…」

「うん。分かってたんだけど…ごめん」

「そうか…お前はここで見てろ。俺の代わりに」

「…うん。」

「じゃ、俺は行くからな?……おい!お前ら行け!見てる暇はない!」



周りに味方は誰も居なくなったが、囲む帝国兵の誰1人…私を狙おうとはしなかった。

コイツらは、ハリソンの部下なのだろう…

この一騎打ちを手出し無用で見届けることが、軍人の…武人の美学ルールなんだな…



命が懸かってるというのに、実に良い笑顔で戦うハリソンとギル…

こちらはハラハラ胸がすく思いをしてるってのにな。


両者とも息が荒くなっていて、疲労が見え始めている。


心配だ…お願いだから…


「勝ってくれ!ギル!!」


「負けやしないっ!!」


キーンッ


『こっちも負けられないんだ!』



敵兵の安堵の声が一斉に響く…



横の敵兵を覗き込んで顔を見た。


『…あ?』

「……あのさ…この勝負、不毛だと思わないか?」

『あ?隊長を愚弄するか!?』

「違ぇよ…戦争だよ。とち狂った王の独断なんだろ?この戦…」

『お前…』

「やりたくてやってるのか?たかが鉱山一つ…それのために命を捨てて戦って、死んだら、自分の人生に満足なんて出来ねぇと思うんだけど。」

『我らは皇帝の下僕…命など既に預けている。』

「そっか…納得しなくても、やらなきゃいけないんだな…」

『…………』

「若いのに、カッチリした軍人だなぁ!」

『触るな!俺達は女だろうと容赦しないぞ!』

「ハハハハッ!一緒に観戦してんだろ?勝負が付くまでただの客だ。」

『貴様…』

「もし…私の男が倒れたら…皆殺しにしてやる……」

『………』

「あ、私の男じゃねぇ!違う!違うからな?」

『離せ!!次触れば斬る!』

「おぉ、怖っ…」

『……決まる』

「なに?勝負が?」



円の端と端で呼吸を整え睨み合う二人…

明らかに雰囲気が違っていた。

試合のような空気だったのが、シンと静まり返り、遠くの喧騒が聞こえるのみ…



祈るように手を組み、ゴクリと唾を飲む…




ーーーーワァーーーー!ーーーー



遠くで歓声が上がり、それを合図にしたかのように馬を蹴った。




キーンッ!!!


振り下ろすハリソンの剣をギルが受け止め、スッと力を抜いてギルの剣を頭上に滑らせた。

するとハリソンは、後ろに持っていかれた剣の柄を突き出した!



ガンッ!



『これを見切るかっ!』



手首を返し、柄で受け止めたのだ…




ーーーーー敵将確保!!アルタイン勝利!!ーーーーー

ーーーーー敵将確保!アルタイン軍勝利!!ーーーーー

ーーーーー降伏せよ!!帝国兵は降伏せよ!ーーーーー




ギリギリと柄を押し合っていたのがスッと離れた。



『我らの負けだ……』



ハリソンが剣を放り投げ、地面に突き刺さる。



「…ありがとう御座いました……」



ギルが胸に拳を当てて、ハリソンに頭を下げた。



『ハハハハッ!俺も歳かね〜…こんな若造と互角とはなぁっ。…ほら、お前らも剣を捨てろ…』

『しかし…この男と女のみ…逃げ』

『馬鹿野郎!潔くあれ!!…忘れたとは言わさんぞ…つう事だ…ギルバート=フレデリック…』



1つ頷き、馬から降りる…

周りの兵士がハリソンの剣の所に剣を置きに集まっていく…



「ギル…お疲れさん!」

「ああ…勝てなかった…すまん」

「バーカ!めちゃくちゃ格好良かったぞ?すげぇもん見せて貰った。」

「ふっ……そうか。……しかし、男に…ましてや敵兵に触るなど、我慢ならん…」

「が、我慢って何だよ!?え?待てよ…ギル!近い!近い!!」


睨みながら迫るギルに後退る…

走って逃げようとかかとを返して


ドンッ


固いもので顔面を打ち付け、顔を抑えてしゃがみ込むと靴があった…



「カナメ…馬鹿野郎が!!!」


アルの拳骨も後頭部に落とされ、悶絶するしかない…


「暴力…反対……」

「お前がそれを人に言えるのか!?」

「……申し訳御座いません…」

「夜には洗いざらい吐いて貰うからな!今はそこで這いつくばってろ!クソ女!」

「承知した…」



地面にうつ伏せになり、痛みを逃がす…



…我慢って何だ?

何を我慢?私が?男に?触るのが?

バカ、アホ、マヌケ、ナスビ!自惚れんな!

本当に私はクソ女だああぁぁ!!


違う意味で悶絶し、ジタバタと……

頭の中もごちゃ混ぜになれ!!!バーカ!




「グエッ」


後ろ襟を引っ張り、強制的に立たされる…


「何してる?」

「ゴホッ…セシル…猫じゃねぇよ?私…」

「ククッ…」

「いや、笑えねぇし…」



ーーーーーカナメ!こっちに来い!ーーーーー



アルに叫ばれ、肩を震わせて笑っているセシルを一睨みして駆け出す。



「なんだ?」


人を掻き分け、真ん中に行くと、ギルとアル…アルタイン兵士とハリソンら捕虜達の視線が痛い程集まる…


「なにか…したかな?」




ハリソンが立ち上がり、鋭い目を向け、口を開いた。


『お前、白馬はどうして手に入れた?』




「……貰った」



『殺してねぇだろうなあぁっ!?』



その怒りが嬉しく思う。

ムリードには、心配してくれる人が居る。

ムリードを慕って居るからこそ怒る、ハリソンら兵士が居る。


『笑ってんじゃねぇぞ!!』





「大丈夫。捕まえただけだ…真の総大将ムリードをな」






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